生理中のランニングのメリットと注意点。スポーツの秋こそ楽しく走ろう!

2018.10.16

記録的猛暑が続いた夏が終わり、早くもすっかり秋が深まってきました。

夏の間あまりの暑さに運動を控えていた方も、さわやかな心地よい気候のなかで、ダイエットや健康のためにもスポーツを始めたいなと思っている方も多いのではないでしょうか?

そう、「スポーツの秋」到来です。

秋はもともと体を動かすのに最適な気温であることからスポーツに適した季節と考えられてきたのですが、実はもうひとつ理由があります。

1964年に開催されたオリンピック東京大会の開会式が10月10日だったことから、1966年に10月10日を国民でスポーツに親しみ健康な心身をつちかおうという趣旨で「体育の日」と制定されたそうです。(体育の日は2000年から10月第二月曜日に変更されました。)

ご存知でしたか?

参照:「体育の日について」:文部科学省 告示・通達/総青第205号・文体体第213号(昭和41年9月22日)

 

さて、秋に新たにスポーツを始めようと思っている方に、おすすめしたいのがランニングです。

だんだんと気温も湿度も下がってくるこの時期は、心地よく外を走るのに最適なシーズン。

穏やかな日が続くことが多い時期なので、天候に左右されずに楽しめるのもいいですよね。

また、全国のスポーツ大会を掲載するSPORTS ENTRYによると、10月・11月は全国各地でもっともマラソン大会が多く開催されるシーズンでもあります。

秋は、ランナーにとって自己記録を狙う絶好の季節でもありそうです。

しかし多くの女性ランナーにとって心配なのが「生理中のランニング」やその「対策法」なのではないでしょうか。

今回は、女性ランナーが抱える「生理中のランニング」に対する疑問や問題について考え、対策法についてご紹介します。

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生理中のランニングは大丈夫?

過去の記事で「生理と水泳」について取り上げましたが、そこでは「月経中のスポーツ、特に水泳の可否」については「医学的に問題ない」ということが明らかになりました。

では、ランニングを含めた陸上でおこなうスポーツについてはどうなのでしょうか。

「月経期間中のスポーツ活動に関する指針」(日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会,2010年)によると、「基本的には本人の自由意志が大切であり、特に禁止する必要がない」と示されています。

さらに、「自由意志を尊重しすぎて生理期間中という理由だけでスポーツを絶対に行わないということのほうが問題」であることを指摘しており、「健康管理の面でもむしろ生理期間中にスポーツをおこなうことが望ましい」とも述べてられています。

つまり水泳と同様に、生理中のランニングは強制するべきではありませんが、走っても問題はないということです。

 

関連記事:生理中の水泳って大丈夫?元水泳選手が伝えたいこと

 

生理中にランニングをおこなうメリット

ではまず生理中にランニングをおこなうことで得られるメリットをご紹介します。

① 血流が良くなり、むくみが軽減される

生理中は身体が水分を溜め込むため、むくみやすくなります。

生理中に洋服がきつくなったり、体重が増えたりして「太った!」と感じるのは、体内の水分量が増えたことによるものです。

筋肉は心臓と同じように全身に血液送るポンプのような働きがあるため、筋肉を動かさずにいればいるほど血流や老廃物は滞り、身体の不調を招きます。

したがって、体内に滞っているものを流すのに全身の筋肉を動かすランニングは有効と言われているのです。

ランニングは「有酸素運動」といい、筋トレや短距離走のような「無酸素運動」に比べると、身体への負担が少なく長い時間継続して運動ができるため生理中でも実施できるスポーツです。

さらに、骨盤周辺の血流を良くすることで生理痛が和らぐという効果もあります。

 

参照:苫米地 真弓ほか月経随伴症状に対する有酸素運動の有効性についての検討母性衛生 49(2), 374-381,日本母性衛生学会2008年7月)

 

② 気持ちがスッキリする・リラックスできる

スピードと強度を上げすぎると逆効果になりますが、「気持ちいい!」と感じる軽めの強度でおこなうランニングは、心のリフレッシュにつながり、生理前や生理中の不快症状の緩和に有効です。

ゆっくり無理せずに走ることは副交感神経が優位になるため、リラックス効果を得たり自律神経が整う効果もあります。

 

生理中のランニングにおすすめの対応策は?

① ランニングウェアの工夫

前項でも述べたように、生理中は水分をため込みやすく、むくみが出やすい時期になっています。

したがって、生理中は締め付けの強すぎるランニングウェアは避けましょう。

また、万が一経血が漏れてしまった時のために白などの薄い色のウェアよりは、濃い色のウェアを着用しておいた方が良さそうです。

身体が冷えると血流が悪くなり、生理痛などを強める原因になりますので、半袖短パンのような薄着で走るのも避けましょう。

 

② 低容量ピルの使用

特にマラソン大会に生理が重なる場合には、思い切って低容量ピル(経口避妊薬)を使用するのも有効です。

独立行政法人 日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS)が2013年に発行した「女性アスリートのためのコンディショニングブック」では、試合と生理が重なった場合を想定し、低容量ピルを使用した「月経移動」(=生理日を試合日からずらす)の方法を紹介しています。

ピルを計画的に服用することで、生理を予定よりも早めたり遅くしたりすることが可能です。

このコンディショニングブック には、「自ら月経周期をコントロールしてベストなタイミングで試合を迎えようとする発想があってもよいと思います。」という記載があります。

生理周期をコントロールすることに抵抗がある方もいるかもしれませんが、トレーニングをする以上目標にしている大会に万全な状態で臨みたいと思うのは当然のことです。

低容量ピルを使用して生理周期をコントロールする選択肢があってもよいと思います。

この方法は、事前に専門の先生に相談して処方してもらい、事前に計画的に服用することが必要です。

 

③生理用品の工夫

・ナプキンとタンポンの併用


ランニングは全身を動かす運動で、特に下半身を継続して動かすため、ナプキンだけでは走っている間にずれて経血が漏れてしまう可能性があります。

そこで、より経血漏れをふせぐためにはタンポンと併用するのがおすすめです。

タンポンのみの使用だと、経血量が多い日は数時間で容量がいっぱいになってしまい、紐をつたって漏れることがあります。

万が一のためにナプキンを付けておくことでウェアへの染み込みは回避できるでしょう。

もし、タンポンを使用したくないという場合は、多い日用や夜用の大きなナプキンを使用したり、「羽根つき」のナプキンを選んでズレを防いだりと、走る距離や時間に応じて適切な組み合わせを見つける必要があります。

 

・生理カップ


ナプキンをつけて走ると、汗をかいてどうしても蒸れ、かゆみ、においなどでいつも以上に不快ですよね。

ランニング時におすすめの生理用品は、「生理カップ(月経カップ)」です。

生理カップとは

ナプキンでもタンポンでもない新しい生理用品として徐々注目が集まっている生理カップは、タンポンと同じように膣に挿入し、膣内で経血を溜めるという仕組みです。

カップに経血が溜まったらカップを取り出し、経血はトイレに流し、カップを洗って再度装着します。

従来の生理用品と異なる大きな点は、「長時間連続で使用できる」「漏れにくい」「洗って繰り返し使用できる」ことです。

最大で12時間の連続使用が可能のため、経血量にもよりますが走る前に装着すれば走り終えて家に帰るまでは、ナプキンのように新しい物と交換する必要がありません。

なにより、ナプキンのような蒸れや不快感がないこと、走るときに生理用品を一切持ち歩かなくてもよいことは、ランナーにとって嬉しいポイントですよね。

 

・サニタリーショーツ


生理カップの取り扱いに不安があるという方には、超吸収型の特殊素材を使用しているサニタリーショーツ「エヴァウェア」がおすすめです。

こちらは、およそタンポン2本分(約20cc)の経血量を吸収することができるため、経血量が多い方やナプキンかぶれで悩んでいる方などを中心に大人気の生理用品です。

普段のショーツと同じように、すっきりしたデザインの「ビキニ」や、お腹から腰まですっぽりと覆ってくれる「ブリーフ」など、全部で4つのスタイルがあり、お好きなスタイルを選ぶことができます。

通常のショーツより少し値段は高めですが、エヴァウェアがひとつあれば、走っている最中の経血漏れに対する心配がなくなり、いつもより集中して走ることができます。

経血量が少ないときにはエヴァウェアをはくだけでもOKですが、多い日は、「タンポン&エヴァウェア」「ナプキン&エヴァウェア」の組み合わせがおすすめです。

個人的には、経血漏れ知らずの最強の組み合わせは、「生理カップ&エヴァウェア」ですね。

これで漏れたことは一度もありません!

 

参考記事:

もう生理で漏れない!最強の吸収型サニタリーショーツとは

生理をもっと楽にする。ナプキンいらずのサニタリーショーツを使って、「生理日」を3日に減らす!

 

生理中のランニングにおける注意点

① 涼しいからこそウォーミングアップはしっかりおこなう

夏は気温が高く、最初から身体が温まっているため怪我のリスクは低いのですが、涼しくなると身体が冷えやすいため、急にスピードを上げると怪我のリスクが高まります。

怪我のリスクを下げるためにも、運動前には必ずストレッチをおこない、走り始めはゆっくりと、徐々にスピードを上げていくなどのウォーミングアップが重要になります。

また、薄着だとなかなか身体が温まらないので衣服の調整も必要です。

ウォーミングアップ中は着込み、身体が徐々に温まってきたら薄着になるなど、体を冷やさないように工夫しましょう。

 

② がんばりすぎない

秋は夏に比べて汗をかきにくく、非常に動きやすい気温のため、ついつい走るスピードが上がってしまいます。

特に、夏から継続して走っているランナーにとっては、走りやすくなったことで自然とスピードが上がり、距離も伸びるでしょう。

スピード・強度・距離が上がれば、身体への負荷もかかり、怪我のリスクも高くなります。

オーバーワークにならないように適切な負荷を守り、計画的にトレーニングをおこなうようにしてください。

特に生理中のランニングは無理をすると貧血につながることもあります。

自分が気持ち良いと感じる程度に抑えてリフレッシュを目的に走るのがおすすめです。

もし生理痛や過多月経で身体がつらい時は、無理せずに休みましょう。

 

③ 走ったあとこそ冷えに注意する

走ったあとは汗をかき、身体も熱くなるためついつい薄着で過ごしてしまいますが、外の気温は涼しいためそのままでいると身体はすぐに冷えます。

走り終えたあとこそ、身体が冷えなように、汗をしっかりふいてすぐに上着を着る習慣を身につけましょう。

これからますます気温が下がっていきます。

風邪をひかないように注意しましょう。

 

さいごに

生理中というと、「安静にしていなければいけない」というイメージが強いですが決してそういうわけではなく、特に今の時期に実施しやすいランニングは、血流改善によるむくみの軽減、生理痛の緩和、心のリフレッシュなどの効果が期待できることがわかりました。

最近では生理カップ超吸収型のサニタリーショーツなどの新しい生理用品も増え、これまで以上に生理中のスポーツ参加がしやすくなりました。

これらの製品は、ランニング女子にとってのお助けアイテムになること間違いなしです。

心地よい風を感じ、赤や黄色に色づいた木々を眺めながら走れるのは、この季節ならでは。

ランニングマシンで走るのはもったいないかもしれません。

外へ出て、深まりゆく秋を楽しみながら走りましょう!

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インテグロ株式会社 アソシエイトディレクター・生理アドバイザー

1990年東京都生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科体育学専攻、博士前期課程修了(研究分野:体育史スポーツ人類学)。在学中、カンボジアにてスポーツ指導や小学校体育科教育の普及にも従事。

3歳から水泳を始め、高校3年時に全国高校総体400m個人メドレー第3位。約18年間の競技生活を経て引退後、競泳選手として生理と向き合ってきた経験と、途上国生活で満足する生理用品に出会えず苦労した経験から、生理について他者と情報共有することや、生理用品の重要性を感じました。そして生理カップとの出会いをきっかけに、女性がより快適で自由に過ごせるように、そして分野問わず国内外でアクティブに活躍する女性たちをサポートしたいと思うようになりました。日本ではまだまだタブーとされている生理や女性の体についてもっとオープンに話せるような環境をつくっていきたいです。

・愛用の生理カップ:スーパージェニーのスモール(ブルー)

・愛用のサニタリーショーツ :ステインフリーのビキニ(ピンクドッツ)