災害時の生理ケアについて考えておこう

2019.02.22

災害が起きたときの生理用品の備えはできていますか?

「災害大国ニッポン」と言われるように、日本は世界的に見ても自然災害が多い国です。

観測史上最大の震度を記録し、死者・行方不明者合わせて1万8千人を超えた東日本大震災から8年が経とうとしています。

SNS上では、支援物資として送られてきた生理用品を「贅沢品だ」「不謹慎だ」と言い、避難所を仕切っていた男性が送り返したという「噂」が広がり、一時期話題となりました。

しかしこれはあくまでも噂のため、その真偽は不明ですが、このような話題があがったことに対して、女性として非常にショックを受けた記憶があります。

それと同時に、生理用品は必需品であることを再認識させられ、自分たち自身でも備えておかなければいけないと感じました。

そこで今回は、災害時の生理ケアについての問題とその対策についてご紹介します。

 

災害時の生理ケアの問題

災害時の生理ケアに関わる問題には以下のようなものがあげられます。

・物資不足で生理用品が足りないため使えない。

・トイレが使えない。使えたとしても混雑する場合には自分のタイミングで生理用品を交換することができない。

・洋服や下着が不足している場合、経血で汚してしまっても替えがない。

・水が止まったら洗濯ができず、汚れた下着を洗えない。

・お風呂やシャワーがなくて不衛生になる。臭いが気になる。

・避難所はプライバシーが確保しづらく、生理のことを相談しにくい。

・生理痛など、体調が悪くても十分に休めない。痛み止めの薬がない。

・使用済みの生理用品の捨て場所に困る。

これらは主に「被災者」目線での、生理の問題です。

 

被災者だけではない災害現場における生理の問題

実は、災害現場で生理の問題に直面するのは被災者だけではありません。

いつも被災地の最前線で被災者の救助のために活動し、現場の様子をよく知る消防士の方(男性)から、生理に苦労する女性隊員の話を伺う機会があったので、ご紹介します。

「地震や豪雨の現場では必ずと言っていいほどに、被災者向けの生理用品が足りなくなりますが、その問題はなかなか解決されません。個人の備えも重要ですけど、行政などの対応の遅さにも疑問を抱いています。救助隊員は現場によっては泥だらけになったり、ずぶ濡れになったりもします。しかし、基本的にトイレもお風呂も被災者が優先のため、自由に入れません。生理中の女性隊員は想像するだけでも本当に大変だろうと思います。救助に当たる隊員以外だと、被害の様子を伝える女性記者の方々も同様に、生理に苦労しています。彼女たちは現場の決定的瞬間をおさえることが最優先ですよね。トイレに行っていたらその瞬間を逃してしまうかもしれません。たとえ生理中でも同じ。経血で洋服が汚れてもなお現場に立ち続ける姿をみると、とても複雑な気持ちになります。しかし災害現場では珍しいことではありません。そのため、生理カップのような生理用品は災害現場で大いに役立つのではないかと思いました。」

筆者は、この話を伺って初めて、被災者の救助にあたる女性の消防士、警察官、自衛隊員、医師や看護師、さらには、現場の様子を伝える報道記者やカメラマンもまた、生理の問題を抱えていることに気がつきました。

災害時に生理の問題を抱えた女性

災害時の生理ケアに役立つアイテム

① 生理カップ(月経カップ)

生理カップはシリコーン製で洗って繰り返し使えるものなので、ひとつ持っているだけで経血の対処をすることができます。

生理カップは、被災者だけでなく、どうしても被災者を優先しなければならない状況におかれる、被災者を救う側の女性の救急隊員や自衛隊員、医師や看護師、報道関係者の方々にも非常に役立つはずですので、ぜひ知っていただきたいと思っています。

主なメリットは3つ。

  1. 荷物が減る: 小さくて幅も取らないため、防災バッグの中に入れてもかさばらない。
  2. 長時間使用できる: タンポン約3本分〜約4本分の経血を受け止めることができるため、トイレに行く回数を減らせる。(最長で12時間連続使用が可能。)
  3. ゴミが出ない: 洗って繰り返し使えるものなので、ゴミが出ない。臭いも気にならない。

ただし、生理カップは交換時に水で洗う必要があるため、水道が止まってしまって水が確保しづらい状況になった場合には、使用するのが少し難しいかもしれません。

そんなときのためにウェットティッシュや清浄綿などを用意しておくと、カップを拭いたり手を清潔にするのに役立ちます。

ウェットティッシュは他にもいろいろな場面でも使用できるので、防災グッズの必需品ですね。

生理カップは使い方に慣れるまでに2〜3クールほどの時間がかかるため(なかには1回目からすぐに使える人もいますが)、いざという時にサッと使えるように、普段から練習して慣れておくことをおすすめします。

緑のカップと赤い爪の女性

② 生理用ナプキンとタンポン

「水が足りない」「トイレが使えない」「怪我や体調不良などで体を自由に動かせない」などの状況では、ナプキンやタンポンが使いやすいかもしれません。

災害のレベルによっては、避難所にテントをはり、その中で生理用品を交換しなければいけないことも想定されます。

そのため、普段から使い慣れているナプキンやタンポンも、1クール分程度は用意しておいた方がよさそうです。

ナプキンは怪我した際の止血にも応用できますし、生理中でなくても下着に付けて交換するだけで下着を洗濯する回数を減らすことができます。

 

③ 低容量ピル

計画的に飲み続けることで生理日をずらすことのできる低容量ピルも、災害時の生理の対処法としては有効です。

低用量ピルは経血量を減らしたり、生理痛などを緩和させたり、生理日をずらしたりすることができるため、避難の際に持っていれば、避難所生活の期間、生理をコントロールできます。

かさばらないので、普段から携帯しておくこともできそうですね。

しかし、ピルを使うには医師に処方してもらう必要があり、スケジュール通りに服用しなければいけません。

希望する場合には、災害が起こる前から病院へ行って準備をしておきましょう。

 

まとめ

筆者は茨城県に住んでいたころに東日本大震災を経験しました。

ちょうど生理中で特に経血量が多い日でした。

外出の予定があったのですが、場所が近くて短時間で済む用事だったため生理用品を持たずに出かけてしまい、その出先で地震が起きたのです。

茨城県は最大震度6強を記録し、沿岸部では津波の被害もありましたが、東北に比べると被害が少なかったため報道がほとんどされず、援助不足や物資不足が問題となりました。

筆者の住む地域でも水道やガスが停止し、余震がおさまるまでは外の広い場所に避難していたためトイレにも行けませんでした。

もしトイレに行けたとしても、生理用品を持たずに家を出てしまったので何も対処ができなかったと思います。

余震の不安があるなかみんなと身を寄せ合って過ごしながら、付けっ放しのナプキンから今にも経血が漏れ出しそうな不快な感覚とヒヤヒヤ感は忘れられません。

幸いにも夜用のナプキンをしていたため洋服を汚すほどの大惨事にはなりませんでしたが、この経験から生理用品の備えの重要性を実感しました。

ここで言う「備え」というのは物を揃えて準備しておくだけではなく、事前に生理ケアの選択肢を増やしておくということも含まれます。

生理カップやピルなどは日本ではまだ馴染みがありませんが、いざというとき、自分の身を守る選択肢のひとつとして持っておく必要があるのではないでしょうか。

「天災は忘れたころにやってくる」といわれますが、最近では、忘れる前に次から次へと新たな災害が発生してるのが現状です。

平成30年を例に挙げると、6月に大阪北部地震、7月に西日本豪雨、災害級と言われた夏の酷暑、8月には立て続けに5つの台風が発生、9月にも大型の台風が25年ぶりに上陸、同じく9月には北海道胆振東部地震など、全国各地で大きな災害が起きています。

それでも私たちはついつい日々の忙しさに流されて、備えを先のばしにしてしまいがちです。

ぜひこの機会に、災害時の生理ケアについて考え、必要な準備をしておきましょう。

 

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インテグロ株式会社  生理ケア&生理カップアドバイザー

1990年東京生まれ。筑波大学体育専門学群 卒業、中高保健体育教員免許取得。筑波大学人間総合科学研究科体育学専攻 博士前期課程 修了。

小さいときから身体を動かすことが好き。3歳から水泳を始め、約18年間競泳選手として活躍。大学院在学中は、スポーツを通じた国際協力としてNGOにてカンボジアの小学校の体育科教育の普及に携わる。また、日本では小学生から大人までの幅広い年齢層に水泳の指導を行う。

2017年生理カップと出会い、生理中の過ごし方や生理に対する捉え方が大きく変わり、生理カップを通じて女性がより快適で自由に過ごせるように、社会や家庭でアクティブに活躍する女性たちをサポートしたいと思うようになる。世界中の数十種類もの生理カップを試してきた経験から、生理カップの選び方や使い方、経血量やライフスタイルに合わせた生理ケアについて、アドバイスを行ったり、ワークショップを開催したりしている。

現在、女性の体や性教育、妊娠・出産・子育てについてより専門的な知識を身につけるため、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会(代表理事:丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄先生)主催「これだけは知っておきたい」講座を受講中。