生理の乱れ 原因は甲状腺の異常かも?!

2019.07.10

女性が生きていく上で、長い間付き合っていかなければならない生理(月経)。

しかし必ずしも全員が安定した周期・経血量で生理期間を過ごしているとは限りません。

生理不順・過多月経・月経困難症・無月経など、生理のトラブルはさまざまあります。

トラブルの原因には、ストレスや環境の変化、生活習慣や食生活、また、子宮系の病気を患っている可能性もありますが、今回は甲状腺の異常と生理の関係についてご紹介します。

 

身体のさまざまな作用をコントロールする甲状腺

甲状腺とは具体的には何か知っていますか?

「よく耳にはするけど具体的にはわからない!」という方が多いのではないでしょうか?

甲状腺は喉の前面、付け根にある蝶々のような形をした内分泌腺です。

女性の甲状腺

小さい腺ですが、ここでホルモンが作られています。

では具体的にどのような働きをしているのかを具体的にみていきましょう。

 

甲状腺ホルモンの働きとは

甲状腺で作られるホルモンは全身の活性化を促進させるホルモンで、私たちの身体に多くの影響を与えます。

以下は甲状腺ホルモンの主な働きです。

 

① 心臓への作用;心臓の収縮力を強くしたり、心拍数の上昇に影響します。

② 骨格筋への作用;筋肉の維持や強化を促進します。

③ 基礎代謝の維持;酸素を消費するのを活性化させます。

④ 糖や脂質の代謝;糖の吸収を促進したり、血糖値を上昇させたりします。さらに血中脂質を減らす働きもします。

⑤ 神経への作用;思考を活性化させたり、脳や刺激感受性を促進します。

⑥ 発育・成熟作用;全身の発育や成長、成熟を促進します。

 

このように、甲状腺ホルモンはエネルギーや体温、心臓や脳などのさまざまな部分に作用し、身体全体をコントロールしています。

普通に生活しているとあまり気にならない又は、気にして過ごすことはないところだと思いますが、異常がみられると身体に多くの支障をきたすので無視することはできません。

 

甲状腺がうまく機能しないとどうなるの?

では、甲状腺がうまく機能しなくなるとどうなるのでしょうか?

まず、ホルモンが過剰に生成されると「甲状腺機能亢進症」という全身の代謝が活発になりすぎる病気になります。

一方、ホルモンが十分に分泌されないと「甲状腺機能低下症」という全身の代謝や臓器の働きが弱る病気になります。

ではこの2つの病気の具体的な症状をみてみましょう。

 

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に生成されて全身の代謝が活発になりすぎるのを甲状腺機能亢進症といい、その代表的な病気が「バセドウ病」です。

最近では歌手の絢香さんや、競泳元日本代表でオリンピックメダリストの星奈津美さんが患った病気として話題になりました。

主な身体症状としては、脈が速くなったり、手が震えたりして、発汗や体重の減少、疲れやすいなどの症状もあります。

精神的な症状としてはイライラするそうです。

自覚症状に「大量の汗をかく」「のぼせる」「動悸息切れ」「皮膚がかゆい」「イライラする」などが当てはまると、バセドウ病の可能性が高いといえます。

 

甲状腺機能低下症

一方で、甲状腺ホルモンの分泌が十分にされず、代謝や臓器の働きが弱ってしまうのを甲状腺機能低下症をいい、その代表的な病気が「橋本病」です。

主な身体症状としては、寒がりになったりむくみやすくなったりして、便秘や声がかすれるなどの症状も出ます。

精神的な症状としては記憶力の低下や無気力などがあらわれ、動作がゆっくりなることもあるそうです。

そのほかの自覚症状に「髪の毛が抜けやすい」「肌がカサカサ」「疲れやすい」などが当てはまると、橋本病の可能性が高いでしょう。

 

甲状腺機能の異常が生理不順を招く?!

バセドウ病と橋本病、甲状腺ホルモンが多すぎるのと不足しているのとで、原因も症状も真逆であることは前項で明らかになりました。

しかし、この異なる2つの病気にはある共通する自覚症状がありました。

それは「生理が乱れる」という点です。

生理は、子供をつくるため、排卵するためのシステムの中で、妊娠しなかったときに、一旦リセットするため剥がれ落ちる子宮内膜のことです。

そのため、甲状腺に異常があると、体は子供を作れる、育てられるような健康な状態ではないため、一旦排卵のシステムが止まります。その結果、生理は乱れます。

これはホルモンが多い場合でも、不足している場合でも同じことが言えるため、どちらの病気でも「生理不順」「経血量が少ない・多い」などの症状があらわれます。

症状のあらわれ方については

・生理周期が長くなる又は短くなる

・経血量が多くなる又は少なくなる

など、人によっていろいろな形であらわれるため、コレ!と断定できる症状はありません。

しかし、生理に異常がある場合は、原因のひとつとして、甲状腺機能の異常を疑うことがあります。

 

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甲状腺に異常がある独身女性

さいごに

今回は少し視点を変えて、甲状腺機能の異常が原因による生理のトラブルについてみてきました。

生理の乱れは心身の問題の有無を判断する最も身近な指標だと思います。

心と身体が健康でないと、結果として子供を作るための排卵システムに乱れが生じて、結果として生理がちゃんとこなくなるのです。

ぜひ生活や生理周期を振り返り、適切な判断、対応をして少しでも快適に日々の生活を過ごしましょう。

 

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この記事の監修:宗田聡先生

広尾レディース院長・東京慈恵会医科大学講師(非常勤)
筑波大学産婦人科講師を経て、米国ボストンのNew England Medical Center(NEMC)遺伝医学教室に留学。
帰国後、茨城周産期センター長。その後、女性のこころと身体を総合的にサポートする医療をこころざし、2012年より女性の健康をトータルにケアするクリニック、「広尾レディース」開設。
産婦人科専門医・臨床遺伝専門医(指導医)・アメリカ人類遺伝学会(ACMG)フェロー・産業医・医学博士。
筑波大学、首都大学、東京慈恵会医科大学の非常勤講師。
著書に『ニューイングランド周産期マニュアル』『31歳からの子宮の教科書』『これからはじめる周産期メンタルヘルス』「EPDS活用ガイド」等。