30代から増える子宮の3大病~子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症とは?

2019.09.12

月経困難症(ひどい月経痛)の原因となる子宮の病気(器質性月経困難症)で多いのは、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症の3つです。いずれも30代から多くなる病気です。これらは、将来の不妊症の原因にもなります。月経痛などの症状が以前よりひどくなってきた、月経量が多くなってきたら、隠れた病気があるかもしれません。市販薬だけで対処せず、我慢しないで早めに婦人科を受診しましょう。

文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

 

いつもと違う…を感じたら、婦人科へ

子宮の病気で良性のものは、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症が代表的な病気です。腹部の痛みやひどい月経痛、月経以外の不正出血、普段と違うおりもの、下腹部のしこり、月経の周期や量の異常などは、自分でチェックできる病気のサインです。

 

少しでも異常を感じたら、早めに婦人科を受診すれば病気を軽いうちに治療することができます。月経のある女性なら、日ごろから基礎体温表をつけておくと、異常の早期発見や診断にも役立ちます。

 

女性の子宮3大疾患とは?

子宮の病気には、子宮頸がんや子宮体がんなどの悪性のものもありますが、最も多いのは、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症です。

子宮の良性の3大疾患とは、どのようなものなのかをまとめました。

参考資料/公益社団法人日本産科婦人科学会

 

  • 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)

30歳以上の女性の20-30%にみられます。悪性ではありませんが、貧血や痛みなどの原因になります。

子宮筋腫は、女性ホルモンで大きくなり、閉経すると逆に小さくなります。複数できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできる場所によって、症状が異なります。

できる場所は、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)。症状は、過多月経(月経血の量が多い、血の塊があるなど)と月経痛です。ほかに生理以外の出血、腰痛、頻尿などもあります。不妊の原因にもなります。

小さくて、無症状の場合は治療の必要はありません。症状がつらく、大きくなったり、貧血がひどければ治療(薬や手術)します。

 

  • 子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)

子宮内膜がなんらかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し、発育する病気です。20~30代での発症が多く、ピークは30~34歳です。

子宮内膜が女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖して、生理時の血液が排出されず、周囲の組織と癒着を起こして、月経痛、腰痛、性交痛、排便痛などの痛みにつながります。

不妊症の原因にもなります。卵巣に起こるチョコレートのう胞も、子宮内膜症です。チョコレートのう胞は、40代を過ぎると一部、がん化するリスクが伴います。定期的に婦人科でチェックしていくことが大切です。

手術や薬物療法など治療の選択は、病態、年齢、妊娠・出産希望の有無によってさまざまです。自分の希望を医師に相談して決めていくことが大事になります。

 

  • 子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)

子宮内膜によく似た組織が、子宮の筋層内にできてしまう病気です。

子宮内膜症は、子宮以外の場所に内膜組織ができますが、子宮腺筋症では子宮の筋層内に内膜組織ができます。そのため、子宮の壁が徐々に厚く、硬くなり、子宮が大きくなっていきます。

また、子宮腺筋症は、子宮筋腫とも似ています。筋腫はこぶができますが、腺筋症はこぶは見られず、子宮全体が大きく固くなっていきます。

子宮筋腫や子宮内膜症と合併することが多い病気です。ひどい月経痛、過多月経に悩まされます。

一般に月経痛は子宮内膜症よりも強く、過多月経は子宮筋腫よりも重症です。息切れ、倦怠感などの貧血も強く出る傾向にあります。

症状がひどい場合は、薬や手術で治療します。

 

過多月経の人は貧血に要注意!

過多月経(月経血の量が多い、血の塊があるなど)、頻発月経(月経周期が短い)の人は、貧血を起こしている可能性があります。放置すると心臓に負担がかかり、ひどい場合は心不全につながるので要注意です。貧血を軽く見ず、決して放っておかないようにしましょう。症状がない人もいて、立ちくらみ、息切れなどに気づかないこともあります。

健康診断で貧血を指摘されたり、過多月経の人は、婦人科を受診してください。

過多月経による貧血

子宮のおもな症状と疑われる病気

よくある子宮周りの症状と考えられる病気です。当てはまるものがあったら、早めに婦人科でチェックしましょう。

 

  • 月経異常

量が多くなり痛みが強い … 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症

期間が長くなり量が多い … 子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣機能不全

月経痛 … 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、月経困難症

 

  • 不正出血

不正出血 … 子宮筋腫、子宮頸がん、子宮腟部びらん、ポリープ、子宮頸管炎、子宮体がん、機能性子宮出血

閉経後の不正出血 … 子宮体がん、子宮頸がん、萎縮性腟炎、子宮肉腫、卵巣腫瘍、ポリープ

セックス後の出血 … 子宮腟部びらん、子宮頸がん、ポリープ

セックスと関係ない出血 … 子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫、ポリープ、卵管がん

その他の不正出血 … 流産、子宮外妊娠、胞状奇胎

 

  • おりもの

色の変化や量の異常、かゆみ … トリコモナス腟炎、カンジダ腟炎、細菌性腟炎、萎縮性腟炎、子宮がん

悪臭をともなう場合 … 進行した子宮頸がん、子宮体がん

 

  • 腹痛、腰痛 

急激な痛み … 卵巣のう腫の茎捻転、卵巣のう腫の破裂、子宮外妊娠の破裂、卵巣出血

慢性的な痛み … 子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮がん、子宮肉腫、クラミジア感染症

発熱を伴う痛み … 骨盤腹膜炎、クラミジア感染症、子宮内膜炎、卵管炎

腹部のしこり … 子宮筋腫、卵巣腫瘍

外陰部の痛み … 外陰炎、性器ヘルペス、外陰がん

 

参考文献/『新版 知っておきたい子宮の病気』上坊敏子(新星出版社)

 

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女性医療ジャーナリスト

エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌『婦人画報』『GINGER』『美的』ほか、女性WEBマガジン『MY LOHAS』『Web GINGER』『女子カレLOVABLE』『@cosme A-beauty』ほかでヘルスケアや女性医療の連載を行う。テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。

NPO法人「みんなの漢方®」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事長、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、「マンマチアー委員会 ~乳房の健康を応援する会」主宰、「日本女性ウェルビーイング学会」副代表、一般社団法人「ウイメンズヘルスリテラシー協会」理事、NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員