「デリケートゾーンがかゆい!」「おりものがいつもと違う」「デリケートゾーンの臭いが気になる」それってもしかしたら、腟カンジダかもしれません。
腟カンジダは5人に1人が経験するといわれる、女性であれば誰にでも起こる可能性のある疾患で、自然に治ることもありますが、再発を繰り返しやすい疾病としても知られています。
今回は、女性がなりやすい疾患のひとつである「腟カンジダ」に注目し、原因や症状、対処法についてご紹介します。
腟カンジダには効果的な治療法があり、発症のリスクを最小限におさえる方法もありますので、この機会に正しい知識を身につけ、デリケートゾーンの不快な症状とおさらばしましょう!
腟カンジダとは、腟の中でカンジダ菌が増殖して発症する、女性の性器感染症のなかでもよくみられる疾患です。
カンジダとは、カビの仲間で「真菌」といわれる微生物のグループに所属していてます。
水虫の原因も真菌ですが、デリケートゾーン にできるカンジダとは種類が異なります。
デリケートゾーンのトラブルについてはなかなか周囲に相談できず、悩んでいる女性もいるかと思いますが、カンジダ菌自体は健康な女性でも皮膚や口の中、消化管や腟に存在する常在菌です。
通常、腟内は、乳酸菌によって酸性に保たれており、自浄作用により菌が繁殖しにくくバランスの取れた環境になっています。
しかし何かのきっかけで常在菌のバランスが崩れたり、免疫力が低下したり、高温多湿な環境などで、カンジダ菌が一気に増殖すると、かゆみやおりものの変化などの症状をもたらします。
一般的には生理がある年代に多いと言われていて、体質によってなりやすいこともあるようです。
自然に治ることもありますが、再発することも少なくないため、適切に対処するとともに日常生活を通して発症を予防することが大切になります。
もともと私たちの体の中にいるカンジダ菌によって発症や再発を繰り返す腟カンジダ。
その原因のほとんどが日常生活によるものが大きいのはご存知ですか?
腟カンジダは性感染症に分類されることもありますが、一般的な性感染症とは異なり、膣の常在菌のバランスが壊れて原因菌が増殖し、発症の原因をつくってしまう日和見(ひよりみ)感染症の一種なのです。
日常生活でカンジダ菌が増殖しやすい環境には以下のようなものがあります。
・体調不良や疲労、ストレスなどで体力や免疫力が落ちた状態
・ホルモンの変化が起きやすい生理前
・抗生物質を服用している
・蒸れや汗などによるデリケートゾーンが高温多湿な状態
・締め付けの強い下着やストッキングなど通気性の悪い服装
・妊娠・出産などのホルモンバランスの変化
・セックスの後
このように、腟カンジダになる原因の大多数は日常生活によるもの大きく、私たちは知らず知らずの間に常在菌のバランスを壊してしまっている可能性があります。
では、実際に腟カンジダになってしまったら、どのような症状がでるのでしょうか。
腟カンジダには、分かりやすい2つの症状があります。
腟カンジダになると、粘度が高く、白い酒かす(カッテージチーズ状ともいう)のようなおりものに変化するため、おりものがポロポロとかたまったような状態のときは腟カンジダの可能性があります。
また、通常のおりものは臭いがしないと言われていますが、臭いが気になる場合もまた、菌の増殖や感染が考えられます。
腟カンジダ以外の疾患にかかっている可能性もあるので、自分で判断せずに気になる場合は産婦人科を受診しましょう。
腟カンジダになると、デリケートゾーン(外陰部) に強いかゆみを感じると言われています。
かゆいからといって掻きむしってしまうと皮膚が傷つき、症状の悪化を招くので注意が必要です。
そしてさらに炎症が強くなると、排尿時や性交時に痛みを感じることがあります。
皮膚が熱くてヒリヒリするようなときも、腟カンジダの疑いがあるため、我慢せずに産婦人科を受診しましょう。
もともと腟には自浄作用があるため、症状が軽いと自然に治ることもありますが、おりものの量が増えたり、かゆみがどんどん強くなったりする場合には、早めに病院を受診しましょう。
特に腟カンジダになったことのない方は、病院で適切な診断と治療を受けてくださいね。
腟カンジダの治療には、腟錠・軟膏・経口剤などが用いられます。
腟錠は腟の中に入れる錠剤のことで、数日で効果が出はじめ、約1週間で症状がおさまります。
経口剤は2015年に日本で認証されたフルコナゾール経口剤が用いられますが、妊娠している場合には使用を避けなければいけませんので、妊娠の疑いがある方も含めて、医師にきちんと伝えるようにしましょう。
軟膏などの外用薬は、腟錠と組み合わせて使用することもできますが、外陰部のひだ(大陰唇)よりも外側に炎症が起きている場合は、カンジダに対する皮膚科の軟膏が必要になることもあります。
最近では、ドラッグストアで簡単に手に入る薬もありますが、それらを使っても症状が治まらない場合には病院へ行き、適切な薬を処方してもらったほうが、早く治すことができます。
デリケートゾーンなので病院に行くことに不安や緊張を感じるかもしれませんが、辛い症状を我慢せずに産婦人科を受診することが大切です。
カンジダ菌は高温多湿の環境を好むため、菌の増殖を防ぐには、清潔で乾燥した環境を作り、それを維持することが大切です。
日常生活の中で、次のようなことに注意していきましょう!
スキニーやガードル、タイツやストッキングなど、下半身を締め付ける格好は熱が外に逃げにくく、デリケートゾーンが蒸れやすい環境を作ってしまいます。できるだけゆったりとした、通気性のよい洋服を選び、素材にも気をつけましょう。
ナイロンや皮素材、生地の厚いデニムもまた、熱がこもりやすいので注意してくださいね。
「おしゃれに我慢はつきもの!」と言いますが、腟カンジダの症状が疑われるときや、発症する可能性が高い生理前後は、おしゃれを少し我慢して自分の体を大切にしてあげましょう。
菌の増殖を防ぐためには、通気性に優れたコットン素材の下着を選ぶとよいでしょう。
特におりものが気になるときは、手軽に使えるおりものシートを使いたくなりますが、おりものシート自体が蒸れの原因にもなるので注意しましょう。
夏は汗をかきやすくデリケートゾーンが蒸れやすくなるのはすぐにイメージできますが、実は何枚も洋服を重ね着する冬もまた、蒸れやすい環境は整っています。
また、入浴後はデリケートゾーンを十分に乾かしてから下着をつけるようにすると、さらに菌の増殖を予防することができます。
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湿った洋服や下着をいつまでも身につけていると、菌はどんどん増殖していきます。
汗をかいたら、すぐに着替える習慣をつけましょう。
特に、梅雨や夏の時期は高温多湿になりやすい条件が整っているため、下着の替えを持っていると安心ですね。
濡れた水着や、運動後の運動着もでも同じことが言えます。
一般的なボティ用ソープはデリケートゾーンにとって刺激が強く、ゴシゴシと念入りに洗ってしまうと、腟カンジダの症状を悪化させる原因となります。
洗う際は、ぬるま湯でやさしく洗うか、デリケートゾーン専用ソープを使い、腟カンジダの疑いがある場合には、ビデなどの腟洗浄も控えるようにしましょう。
また、アンダーヘアーが多いと蒸れの原因にもなるうえ、おりものが付着して臭いの原因にもなります。
アンダーヘアのお手入れをして、風通しをよくすることもおすすめです。
生理のたびに、デリケートゾーンのトラブルが起きるという方は、生理用品を変えるのも発症や再発を防ぐ方法のひとつでしょう。
ナプキンは長時間つけることによってデリケートゾーンが蒸れやすく、腟カンジダを引き起こす大きな要因になります。
そこでおすすめするのが、ナプキンやタンポンに代わる第3の生理用品と言われている生理カップ(月経カップ)です。
生理カップは、医療用シリコーン素材のカップを膣内に挿入し、体内で経血を溜めるタイプの生理用品で、きちんと挿入することができれば体外に経血が出ることはありません。
その結果、従来のナプキンをつける必要がなくなり、デリケートゾーンの蒸れを抑えることができます。
実際に、生理カップを使いはじめてから腟カンジダ症にならなくなったという喜びの声も届いています。
腟カンジダの予防だけでなく、肌が弱くてナプキンによるかゆみやかぶれにお悩みの方にもおすすめです。
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腟カンジダになりやすい人は、パートナーの男性とともにセックス前後のシャワーや入浴を心がけ、いつも清潔に保つことが大切です。
必ずコンドームをつけることや、肛門などに触れた手で腟や外陰部に触れないようにすることも感染予防につながります。
今回は、女性がかかりやすい疾患のひとつである「腟カンジダ」の原因や症状、予防法について紹介しました。
デリケートゾーンの強いかゆみや痛み、不快なおりものなどを我慢するのは非常に辛いですよね。
腟カンジダになってしまったら治療することが最優先ですが、治療後には再発を繰り返さないために、カンジダ菌が繁殖しやすい高温多湿の環境を作らないことが、もっとも有効な予防法であることが分かりましたね。
特別な対策ではなく、通気性のよい服装を意識したり、いつもの生理用品を生理カップに変えてみるとか、日常のちょっとした心がけが、カンジダ菌の増殖を抑えることにつながります。
腟カンジダについて正しい知識をもって、デリケートゾーンにやさしい生活習慣を身につけましょう!
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インテグロ株式会社 生理ケア&生理カップアドバイザー
1990年東京生まれ。筑波大学体育専門学群 卒業、中高保健体育教員免許取得。筑波大学人間総合科学研究科体育学専攻 博士前期課程 修了。
小さいときから身体を動かすことが好き。3歳から水泳を始め、約18年間競泳選手として活躍。大学院在学中は、スポーツを通じた国際協力としてNGOにてカンボジアの小学校の体育科教育の普及に携わる。また、日本では小学生から大人までの幅広い年齢層に水泳の指導を行う。
2017年生理カップと出会い、生理中の過ごし方や生理に対する捉え方が大きく変わり、生理カップを通じて女性がより快適で自由に過ごせるように、社会や家庭でアクティブに活躍する女性たちをサポートしたいと思うようになる。世界中の数十種類もの生理カップを試してきた経験から、生理カップの選び方や使い方、経血量やライフスタイルに合わせた生理ケアについて、アドバイスを行ったり、ワークショップを開催したりしている。
現在、女性の体や性教育、妊娠・出産・子育てについてより専門的な知識を身につけるため、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会(代表理事:丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄先生)主催「これだけは知っておきたい」講座を受講中。