月経カップ ユーザーアンケート調査
生理を忘れるほどの快適さと安心感と、体にも地球環境にもやさしい生理ケアの選択肢として、日本でもユーザーが急増している月経カップ。インテグロでは、日本初の月経カップユーザーのアンケート調査を実施。月経カップユーザーの実態や使用感、メリットが明らかになりました。
月経カップユーザー実態
- どんな年代の人が使っているの?
- 出産経験のある人だけが使っているの?
- 月経カップを使い始めた理由は?
- 月経カップを使う前に使っていた生理用品は?
月経カップの利用状況
- 月経カップをスムーズに使えるまでの期間は?
- 月経カップを使って感じているメリットは?
- 今後も月経カップを使い続けたい人は?
月経カップの使用 Before After
- 経血モレに関するBefore After
- かゆみやかぶれに関するBefore After
- ムレやにおいに関するBefore After
月経カップユーザー実態
どんな年代の人が
使っているの?
ヘルスケアに関心が高まる30代以上が多い。
10代、20代のユーザーも徐々に増加中。
出産経験のある人だけが
使っているの?
59%は、出産経験がない人。カップをスムーズに使えるようになるまでの期間も、出産経験の有無による違いはほぼない。
対馬ルリ子先生からのアドバイス
女性器を知っておくと、月経カップを安心して使えます。
指を入れることができれば大丈夫です。
女性器を知っておくと、月経カップを安心して使えます。指を入れることができれば大丈夫です。
腟の深さ(長さ)は、だいたい人差し指の長さくらいで8~ 12 センチほどです。50 代以上になると萎縮して浅く(短く)なる傾向にありますが、10 代~ 40 代は大きく変わりません。ですから、長さ6センチほどの月経カップのサイズは問題なく収まります。
腟の向きはお尻のほうに後傾しています。これを知らずに間違った方向にカップを挿入しようとすると、痛みを感じることもあるので確認しておきましょう。また、腟は指を入れて第一関節くらいまでは感覚がありますが、その奥は無感覚ゾーン。腟の入り口さえ通過できれば、その奥は縦に深く、横に広がりのある空間なので、きちんと装着できれば違和感はないはずです。
腟口は、性交経験がある人のほうが伸縮しやすいので、月経カップを挿入しやすいでしょう。ただ、私が診察しているなかで、性交経験がない中学生でも、リラックスして力を抜けると、痛みなく内診ができます。
もちろん個人差はありますが、性交経験の有無にかかわらず、腟の中はやわらかく伸縮するため、性交経験がなくてもカップを使うことはできると思います。月経カップが入るかどうか不安な方は、まず水で濡らした自分の指を入れてみてください。指が入れば、月経カップは入ると思います。
また、腟は、口と同じように、体の外とつながっている場所です。雑菌の侵入を防ぐために常在菌による自浄作用があります。そのため、腟も月経カップも清潔であれば十分で、無菌状態を目指す必要はありません。
腟の深さ(長さ)は、だいたい人差し指の長さくらいで8~ 12 センチほどです。50 代以上になると萎縮して浅く(短く)なる傾向にありますが、10 代~ 40 代は大きく変わりません。ですから、長さ6センチほどの月経カップのサイズは問題なく収まります。
月経カップを使い始めた
理由は?
その他の回答:
- 水泳時に使用したい
- 寮暮らしで生理中も湯船につかりたい
- 娘の経血モレが気になり、まずは母である自分が試してみようと思った
- ゴミ収集日にカラスにいたずらされた
- 海外赴任にあたり生理用品の入手に懸念があった
- ワンオペ育児で毎日快適に子どもとお風呂に入りたかった
月経カップを使う前に
使っていた生理用品は?
74% の月経カップユーザーは、ナプキン・布ナプキンから月経カップにトライした人。
月経カップの利用状況
月経カップをスムーズに
使えるまでの期間は?
79% の人が3ヶ月以内に使えるようになったと実感。
月経カップを使って
感じているメリットは?
1人が生涯に使用する生理用品(ナプキン、タンポン)はおよそ12,000個*。85%がゴミが減ったことを実感。
* 毎月の生理でナプキンまたはタンポンを25個使用した場合、40年間生理があるとすると、生涯に12,000 個を使用する計算になる。
月経カップを使うことで、ネガティブに捉えられがちな生理がポジティブに変化しているのがわかる。
今後も月経カップを
使い続けたい人は?
95%が「使い続けたい」と、満足度が高い。
月経カップの使用 Before After
経血モレに関する
Before After
経血モレが「ひどくある」「ある」と答えた人は45%。使用後はほぼゼロに。「全くない」と答えた人は約7倍に増加。
かゆみやかぶれに関する
Before After
月経カップ使用後、かゆみやかぶれが「ひどくある」「ある」と答えた人がゼロに。「全くない」と答えた人は82%に。
対馬ルリ子先生からのアドバイス
湿ったナプキンが敏感な外陰部の皮膚や粘膜を傷つけ、かゆみやかぶれの原因に
月経血を吸収した湿ったナプキンを当てて、立ったり、座ったり、歩いたりと動くことで、外陰部の皮膚や粘膜がすれて細かい傷がつき、かゆみ、かぶれなどの不快感が起こりやすくなります。腟内の奥は、知覚がないので痛みを感じ
ませんが、腟入口部周辺の外陰部は、敏感で症状を感じやすい部位なのです。ですから、湿ったナプキンをつけたまま動き回れば回るほど、湿った皮膚や粘膜は傷つきやすく、かゆみ、かぶれなどを起こしやすくなります。きついジーンズや締めつける下着なども、不快症状の原因になりますね。腟内に挿入する月経カップは、敏感な外陰部にストレスを与えないため、かゆみやかぶれを感じにくいでしょう。
ムレやにおいに関する
Before After
月経カップ使用後、「ムレやにおいがある」「ひどくある」と答えた人はゼロに。「全くない」と答えた人が73%に。
対馬ルリ子先生からのアドバイス
ムレやにおいが発生するのは、ナプキンに吸収された月経血が空気に触れて酸化するから
月経血を吸収した湿ったナプキンを外陰部に当てたままにしていれば、皮膚はふやけてムレてしまいます。濡れている皮膚は傷つきやすいのです。月経血は、本来、イヤなにおいはほとんどありません。ナプキンに吸収された月経血 が空気に触れることで酸化して、においが発生するのです。月経カップは腟内に挿入することから、月経血がナプキンほど空気に触れにくいため、においが少ないのではないでしょうか。
USER'S VOICE
ユーザーの声
10代
コロナ禍の休校期間中に貯金で月経カップを買いました。使い始めて8カ月。最初、不安はありましたが今では快適で手放せません。生理が試験とかぶってしまうことも多いのですが、集中できる環境をつくることができます!高校生や中学生にもこんな選択肢があるということを広めてほしいです。
20代
想像していたよりも挿入しやすく、取り出しやすい。そして、きちんと装着できた際には経血が漏れないので、ナプキンが必要なくなりました。最初、何回か練習をしましたが、特に大変に感じることがなく、迷っていた期間が無駄だったと思います。
20代
私は、生理の2~3日目以外であれば12時間連続で使っても平気でした。快適なだけでなく、自分の生理の傾向がわかるようになって予定も立てやすくなりました。
30代
子どもとお風呂に入るので購入しました。漏れないし、立った瞬間のドロっと感がないし、においも気にならない。半日放置できるのでめちゃくちゃ楽です!
40代
50歳目前に月経カップデビューしました!あと生理が何回あるのかわかりませんが、ドロっとした経血が出る感じやナプキンのモレの不安などのストレスが嫌で、不快感を取り除きたいと思いました。経血の量や色などが目視でき、自分の体のことがよくわかると思います。むしろ、閉経に向けてこそ使用するべきアイテムかもしれません。
MESSAGE FROM USERS
アンケート回答者から
これから使う人へのメッセージ
10代 | 漏れる心配もなく思いっきり運動できるので、中高生にもオススメしたいです!
20代 | 最初は抵抗があるかもしれませんが、使ってみると驚くほど快適で虜になります!友達みんなに勧めたくなります。
30代 | ゴミが出ないのでにおいも気にならず、自分の経血量も把握できて、快適な生理生活になりました!慣れるまでは不安だと思いますが、慣れたらすごく快適です。
40代 | 月経カップのおかげで、毎月の生理がつらくて嫌なものという印象が変わりました。10 代の女の子たちにも知ってほしい!安心して使える方法を伝える機会があればと願います。
調査・監修
産婦人科医師、医学博士。専門は周産期学、女性医療(ウィメンズヘルス)。日本産科婦人科学会専門医。東京産婦人科医会 副会長。女性の心と体、社会とのかかわりを総合的にとらえ女性の生涯にわたる健康を推進する「NPO 法人女性医療ネットワーク」理事長。「一般財団法人日本女性財団」代表理事。著書に『「閉経」のホントがわかる本』(集英社)ほか多数。
対馬ルリ子先生からのコメント
今日本では、フェムテックで女性の健康問題を解決していこうという機運が高まっています。女性をケアするための新しいシステムやテクノロジー、医療・健康機器もたくさん生まれてきています。これまで女性たちが感じていた不便さや苦痛、不自由さを改善していくために、さまざまな新しいケアアイテムを実際に使い、その使用実感を声に上げることは、とても大切なことだと思います。
かつて女性の生理のことは、恥ずかしいこと、人に言ってはいけないことと考えられていた時代がありました。しかし、今は違います。女性たちが不自由さや不便さを感じたことは隠さず、その解決のために実践してみたことは声に出してほしいです。そうすることで、みんなが安心し共感し、体にも地球にもやさしい方法を一緒に考えていくことができます。
今回の調査も、女性たちの大切な声です。その声から学んで、さらに女性たちの健康に役立つアイデアが生まれたら、最高だと思っています。
構成・執筆
当事者視点に立った女性のヘルスケアや医療について執筆、講演を行う。著書に『もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。NPO法人女性医療ネットワーク理事、NPO法人医学ジャーナリスト協会会員。