月経カップアンバサダー交流会にてパラ競泳入賞の石浦選手のトークセッションを開催

2021年12月19日(日)、インテグロで月経カップアンバサダー交流会を開催しました。
当日はゲストに、東京2020パラリンピック競泳競技(S11全盲クラス)にて、出場した3種目すべてで入賞を果たした石浦智美選手お招きしました。

石浦選手は2019年から、エヴァカップやエヴァウェアを愛用してくださっているユーザーでもあり、昨年は「生理についてはなそう」のインタビューでも、生理のときの困りごとや、エヴァカップを試して、生理中のトレーニングが快適になった話をしてくださっています。

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ゲスト:石浦智美選手について
先天性緑内障と無光彩症のため、小さいときから視力が0.01くらいで、将来的に見えなくなると言われる。2歳から水泳を始め、筑波大学附属特別支援学校在学中に国際大会に出場。2019年全盲クラス女子50m自由形にて日本記録を樹立し世界選手権代表の座を手にする。2020年東京パラリンピックでは、50m自由型で7位、100m自由型で8位、混合400mフリーリレーではアジア新記録で5位入賞を果たした。

パラ競泳 石浦智美選手

「水泳」「生理」「パラリンピック」の3つのテーマでトークセッション

交流会では石浦選手とインテグロ代表の神林が、「水泳」「生理」「パラリンピック」の3つのテーマでトークセッションを行い、水泳を始められたきっかけや、生理のときの苦労話、パラリンピックを目指すまでの道のりについてお話しいただきました。
インテグロ 月経カップアンバサダー交流会

ー目が見えない視覚障害の選手は、コーチからどのように泳ぎの指導を受けるの?

視覚障害の選手は、コーチのお手本や、自分の泳ぎを録画したものを目で見て確認ができないため、指導は基本的に手取り足取り。選手もコーチも共に想像力を働かせながら、感覚を研ぎ澄まし、ミリ単位の調整をしながら泳ぎを作っていくとのこと。 

また、パラの世界では、ひとりひとり障害が違うため、一般的な指導マニュアルが全く通用しません。コーチと選手が共に、その選手の身体の特徴を最大限に活かしながら、それぞれの独自の方法を見つけるために日々研究を重ねていくのだそうです。

 

ー目が見えない状態で、曲がらずに真っ直ぐに泳ぐのはとても難しいのでは?

左右のバランスをどんなに意識して泳いでも、呼吸をしたり、腕の掻く力が左右で違ったりするので、真っ直ぐ泳ぎ切ることはトップ選手でもかなりむずかしいことのようです。レース中に隣同士の選手がコースロープに寄りすぎて、接触してしまうことも珍しくないのだとか。実際に今回、石浦選手が出場した50m自由形決勝では、メダルを争う2人の選手が接触し、交錯したことが理由で異例の再レースとなりました。

「視覚障害の選手たちはコースロープを頼りに泳いでいます。私の場合は、泳ぎ始めて途中でコースロープにぶつかったら、そこから軌道修正してゴールを目指すタイプ。しかし、今回のパラのレースで自分よりも速い選手たちを見ると、スタートして浮き上がったら、自らコースロープにぶつかり、そこからコースロープに沿うようにして真っ直ぐ泳ぐ方法をとっていたんです。どちらの方法でもコースロープにぶつかること自体がタイムロスにつながるのですが、ぶつかるタイミングを変えたらタイムがどう変化するのか。ぜひこれから試してみたいと思っています。」

目標としていたパラリンピックの舞台で堂々入賞を果たしてもなお、決勝のレースで世界のトップ選手たちの泳ぎを肌で感じ、技術や戦術に課題が残ったようです。石浦選手はすでにパリ大会を目指し、始動しています。

 

ーパラアスリートの生理事情について

石浦選手は現在、ピルを服用しながらトレーニングに励んでいますが、経血量や生理痛が軽くなったとしても、生理は完全にはなくなりません。「その数日間も快適に過ごしたい…」そう思っていたときに、SNSでエヴァカップやエヴァウェアを知り、試してみたいと思ったそうです。

視覚障害があると、ドラッグストアなどで生理用品を買うときにも、そのたびに店員さんのサポートが必要です。そのため、くり返し使える月経カップやエヴァウェアの存在はありがたいと話してくれました。
タンポンは長時間プールにはいっていると、本体が水を吸っていまい、漏れやすくなり、不安に感じている選手が多いようです。プールから上がったときに、水着から水が垂れているのか、経血が垂れているのかが分からず不安になるので、その点でも月経カップは心強いとのことでした。

肢体の不自由な選手は、障害によっては、介助者がいないと生理用品の交換ができません。月経カップは、長時間交換しなくても大丈夫なので、本人にとっても、介助者にとってもよさそうとのこと。実際に、パラの選手村で同室だった両腕のない選手から月経カップを使ってみたいと相談を受けているそうです。 

ー月経カップアンバサダーから石浦選手に質問

アンバサダーからの「もし障害がなかったら、何をしていたと思いますか?」という質問に対して石浦選手は、「たぶん仕事をバリバリやっているだろうな。」と回答。その理由は、障害があると、普段の生活はもちろんのこと、就職することも簡単ではないことを実感しているからとのことでした。

一方で、「水泳以外にどんなスポーツをやってみたいですか?」という質問には、「水泳以外考えたことがないなぁ。水泳は他の競技と違って、障害があっても義足などの道具に頼らず、自分の体だけで勝負ができるのが面白い。水の中では障害を忘れられる。」と、水泳の魅力を語ってくれました。

ー参加者からのコメント

  • 世界で活躍されている選手たちにも愛される「エヴァカップ」を、自分も使っているという喜びを確認することができた時間でした。同じユーザーということが、とても誇らしく思います。

  • オリンピック選手のお話は何度か聞いたことがありましたが、パラ選手のお話を聞くのは初めてで、どのエピソードも目からウロコでした。私は今、世界を目指す競技チアのジュニアアスリートたちを指導しているのですが、石浦選手のパラリンピックに向けた覚悟や、日々の過ごし方などを伺い、刺激を受けました。

  • これまでは、障害のある方に、障害のことを聞いていいのかわからず、自然と距離を取っていた気がします。今日石浦選手とお話できたことで接し方が少しわかり、身近に感じることができました。

  • もうすぐ初潮を迎える娘がいるのですが、今日の話はすべて娘にも聞かせたかったです。お母さんと一緒に参加されたお子さんもいらしたので、私も連れて来ればよかったです! 

インテグロ 月経カップアンバサダー交流会

ーまとめ

今回の東京2020パラリンピックでは、各競技種目や出場する選手たちが毎日テレビで紹介され、障害者スポーツを身近に感じるようになった方も多いのではないでしょうか。
インテグロでは今後も、障害を持つ方にも月経カップや吸収型サニタリーショーツなどの新しい生理ケアの選択肢を知ってもらい、より快適な生理期間を過ごせるよう、できる限りサポートしていきたいと思っています。