【月経カップ体験談】当たり前を手放したら、人生が豊かになった。『フランスでやめた100のこと』の著者ロッコさん
2024.05.282017年からフランス在住。「フランスでやめたこと」をテーマに、インスタグラムやVoicyなどSNSで等身大のシンプルライフを発信しているデジタルクリエーターのロッコさん。月経カップは、フランスでかかりつけの助産師さんから勧められて使いはじめたそうです。
愛用中のアイテム:エヴァカップ・スーパージェニー・エヴァウェア
フランスの生活と「やめたこと」
ーー ロッコさんのSNSのテーマ「フランスでやめたこと」は、どんな思いで発信されているのですか?
以前は東京で写真の仕事をしていて、いつも終電で帰るような超仕事人間でした。撮影が始まればスタジオにこもりっぱなしで、太陽の光はほとんど浴びず、食べるのも不規則で、人と話すのもあまり好きではありませんでした。思い返すと今よりも笑顔がなく、ずいぶん根暗だったと思います(笑)。休日になれば買い物やサービスにお金を使い、モノを沢山所有していました。現在とは真逆の生活です。
過去にイギリス、スロヴェニア、南フランスに滞在した経験から、「フランスで子育てがしたい!」と思い、2017年にフランスのリヨンに移住しました。
フランスといえば、パリのおしゃれで華やかなイメージを持つ方が多いと思いますが、あのような生活をしているのはごく一部の人たちだけ。フランス人でも「パリはフランスじゃない」と言っていて、実際はほとんどの人がとてもシンプルな暮らしをしています。
また日本とは明らかに時間の流れが違い、例えば、電車やバスが定時にこないことは日常茶飯事です。でも、住んでみると人々は温かくて家族思いで、多少の不便さもいいやと思えてきます。そういうフランス人の生き方を知ったときに、「私もこういう人生を歩みたい」と思い、お金の使い方や人生の優先順位について考えるようになりました。
おかげで私は、今まで「当たり前」だった常識や固定観念を手放すことになり、これまでよりずっと豊かで自分らしく生きれるようになりました。今はフランスに移住して出会った人たちや、日々の暮らしで学んだこと、自分の考え方や暮らしの変化を発信することで、フランスにいながら日本の仲間とつながり、お互いに成長できることがうれしいです。
月経カップとの出会い
ーー ロッコさんの「フランスでやめたこと」のひとつに、使い捨ての生理用品がありました。どんなきっかけで月経カップを使い始めたのですか?
2017年にフランスに移住してすぐ、仕事と子育てに忙しくしていたころ、かかりつけの助産師さんに勧められたのがきっかけです。私のライフスタイルに月経カップが合うのではないかということで提案してくれたんです。
ーー そうなんですね。フランスでは月経カップも日本より普及しているのでしょうね。
はい、そうだと思います。私が助産師さんに月経カップを勧められたときには、すでに義理の妹たち三人全員がカップユーザーでした。そして、私が月経カップを買おうとスーパーに行ったときにも、5種類ほど販売されていました。私は実験するのが好きなのでとりあえず全部買いました(笑)。使ってみると、ブランドごとに形や質感、使用感などが全然違うことがわかって面白かったです。
月経カップのメリット
ーー 月経カップを使って、生活がどう変わりましたか?
子育て中は本当に便利ですよね。量が多い日は日中にも数回リセット(取り出して空にして再度装着すること)が必要ですが、量が減ってくれば1日中つけけっぱなしでOK。生理のことを気にしなくていいのが楽です。
ゴミが出ないこと、荷物が減ることもメリットですよね。フランスでは日本以上に国全体で環境への意識が高まっているので、使い捨てのものは極力使わないようになってきています。月経カップでエコに貢献できることは重要なポイントです。
ーー 子育て中のカップユーザーのみなさんから「月経カップは子どもと一緒のお風呂のときに大活躍!」という喜びの声をよく聞きます。ロッコさんはどうですか?
日本では子どもと一緒にお風呂に入る人がほとんどだと思いますが、実はフランスでは湯船につかる習慣がないからか、子どもと一緒にお風呂に入る文化がないんですよ(笑)。
私も日本のカップユーザーの方から「子どもとのお風呂のときに便利」と聞いたときに、自分にはない感覚だったので、あらためて文化や習慣の違いを認識した瞬間でした。
おすすめのアイテム
ーー「エヴァカップ」や「スーパージェニー」を選ばれた理由は何でしたか?
月経カップをもっとたくさんの人に知ってもらいたくて、2021年の終わりごろにSNSで紹介するようになりました。体の中に入れるものなので、品質が高く安心して使えて、日本でも購入できる商品を紹介したいと思って調べていたところ、インテグロさんを見つけたんです。
エヴァカップは、しっかりした作りで安定感がある印象を持ちました。私が試したカップの中には薄くやわらかすぎるものもあったので、エヴァカップを手に取ったときは「しっかりしていて、安心して使えそう!」と思いました。
その1年後くらいに、より容量が大きいスーパージェニーも使いはじめました。個人的にはスーパージェニーのほうがほどよいやわらかさとほど弾力があるように感じて、気に入っています。さらに、大容量なので、量が多い日や頻繁にトイレに行けない環境のときに大活躍です。
ーー 吸水ショーツ「エヴァウェア」も愛用されていますよね。
はい、月経カップとエヴァウェアのセット使いが最強ですよね。ショーツは生理が始まる前から使えるので便利です。
フランスと日本の違い
ーー フランスと日本を知るロッコさんにぜひ聞いてみたいことがあります。フランスでは性教育やフェムケアが進んでいると聞きますが、どんな違いがあるか教えていただけますか。
フランスでは3歳ごろから性教育がはじまります。「3歳で何をするの?」と思うかもしれませんが、まずは「防犯」という視点で、危険な目にあったときは「声を出すこと」を教えます。自分の身に何かあったときって、大人でも声が出なくなる人が多いじゃないですか。だから、子どものときから実際に声を出して訓練するんです。大事なことですよね。
またフランスでは初潮を迎えたら、かかりつけの助産師さんを見つけて、ライフステージごとのいろいろな悩みを相談できる仕組みがあるんです。その助産師さんに更年期、閉経までずっとお世話になることになります。医師ではなく、助産師というのがポイント。じっくり話を聞いてくれて、質問に答えてくれて、わからないことは教えてくれて、心強い存在です。生理のことや避妊のことも相談すると、自分に合った方法を一緒に見つけてくれます。妊娠・出産のときだけではなく、専門知識をもつ大人に気軽に相談できるなんて、とてもいいシステムですよね。私も10代のころに、親とは別にそういうお姉さんのような存在が欲しかったなと思います。
そんなフランスでは、自分の身体を大切に扱うことがベースにあって、みんなが自分の身体を知ることにも興味を持っていると感じます。体にいいものや気になるものがあったらすぐに使ってみるんですよね。
生理や身体の話を恥ずかしがらずに、家族でもよく話すことにも驚きました。義理の家族や親戚たちと、避妊について2〜3時間のディスカッションをすることもありますよ。20代の男の子も「女性の体のことを男性も一緒に考えないとだめだよね!」と熱心に議論に参加しているのを聞くこともあります。各家庭で普段からよく話しているからこそ、親戚が集まったときにも自然に話題になるのでしょうね。いいですよね、こういうの。私もこういう環境で育ちたかったなとうらやましく思います。
最後にメッセージ
ーー これから月経カップや吸水ショーツを使ってみようかなという人へメッセージをお願いします。
一般的に、女性は妊娠や出産をきっかけに自分の身体と向き合うようになることが多いと思いますが、いまの時代は子どもを産まない人もたくさんいます。そんな時代だからこそ、月経カップを使うことで、自分の身体と向き合うひとつのきっかけになればいいなと思います。
月経カップは一度使ってみないとわからないことも多いと思います。まずはぜひ使ってみてほしいですね。
目標や夢
ーー 今後の目標や夢について教えてください。
私はフランスに来てから以前より自分の心に素直に生きることができるようになりました。だから、いま日本で仕事に家事に育児に…とがんばっている人たちに、私の体験を伝えることで、新しい視点やヒントを提供できたらと思っています。
私にとっては、フランスにいながら日本のみなさんと繋がっていられることが宝物です。これからもSNSを通じて交流を続けながら、一緒に学び、知識を共有し、お互いに刺激し合い成長しながら、楽しく歳をとっていきたいです。
プロフィール
ロッコさん
フランス在住のデジタルクリエーター。東京出身、3児の母。ロンドンで写真の勉強をし、フォトグラファーとして勤務。フランス人の夫と結婚し、2017年からフランスのリヨン在住。元浪費家・完璧主義ながら、フランス人の生き方を見て、やめたこと、手放したことといった等身大のシンプルライフをInstagramに投稿し、多くの支持を得ている。着物講師としても活動中。2023年初著書『フランスでやめた100のこと』、2024年7月に新刊『フランス人に学んだ「本当の感性」の磨き方』を出版。