過多月経かも、と疑ったら、まずは生理カップを試してほしい理由。産婦人科医・宋美玄先生に聞く、過多月経への対処の仕方

2019.07.31

従来、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人病は、卵巣機能が活発な20~30歳代の女性に多いとされていました。

しかし、生理開始の年齢が下がってきている現在、10代や20代のうちからの発症も目立つようになりました。こうした病気ともつながりがあるといわれるのが、経血量が極端に多かったり、期間が長引いたりする過多月経。貧血気味になり、立ちくらみや動悸、だるさなどの症状が現れることもあります。

正常な生理期間中の総経血量は平均20〜140mlといわれており、それ以上多い場合を過多月経といいますが、自分がそれに該当するか、なかなか気づきにくいもの。

過多月経を疑ったら、どのように付き合っていけばいいのでしょうか。また、どういった対策や治療が考えられるのでしょうか。丸の内の森レディースクリニック院長の産婦人科医 宋美玄(そん みひょん)先生に聞きました。

過多月経と生理カップ 産婦人科医師 宋美玄先生

―正常な生理期間中の総経血量は平均20〜140mlといわれており、それ以上多い場合を過多月経ということですが、実際に自分の経血量を調べるのは難しいですよね。何かわかりやすい方法はありますか?

 

宋美玄先生(以下、宋):そうですね。量の目安として、「昼間でも夜用のナプキンを使わないといけない」とか、「ナプキンが1時間もたずに経血であふれてしまう」という人は、過多月経を疑った方がよいでしょう。なかには、経血の漏れに備えていつも着替えを持ち歩く人もいますが、そういう人は過多月経である可能性が高いです。

実は、過多月経を疑って受診された人には、自分の経血量を計るためにも生理カップ(月経カップ)をおすすめすることもあるんですよ。生理カップを使ってみて、どれくらいで経血がいっぱいになるのかを知っておくといいですね。

 

過多月経の原因には何があるのでしょうか?

 

宋:ひとつの原因は、子宮内膜の厚くなる子宮内膜増殖症や、まれですが子宮体がんが考えられます。もうひとつは、突然、生理の量が増えた場合などは、子宮筋腫や子宮内膜症などが原因になっている場合があります。一方で、子宮に何も異常がなくても経血量が多い人もいますね。

 

経血量が多い人は生理痛も重いのでしょうか?

 

宋:子宮内膜症や子宮筋腫などの病気のために、経血量が多くて、さらに痛みがある、ということはあります。しかし、経血量が多いから必ずしも痛みも伴うとはいえません。経血量が多くても痛みはないという人はいます。

つらい過多月経の対処法

―過多月経を疑ったら、まずは、やはり婦人科に受診するのがよいでしょうか?生理中の受診は避けたほうがいいですか?

 

宋:そうですね。過多月経は、経血量が多いだけ、と軽視されやすいのですが、放っておくと重い病気を進行させる可能性もあります。過多月経かなと思ったら、早めに婦人科を受診してほしいです。受診は、いつでも大丈夫です。生理中でもかまいません。

 

―過多月経の治療や対処方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

宋:一般的な治療法のひとつが、低用量ピルなどを使用したホルモン療法です。ピルによってホルモンバランスをコントロールして、経血量を抑える方法です。

その他にも、妊活中の人でなければ、ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)というのもあります。ミレーナは、子宮内に入れておく器具で、黄体ホルモンという女性ホルモンが少しずつ放出されるようになっていて、これを入れておくと、卵が着床する部分である子宮内膜が薄くなっていきます。それによって、着床が妨げられるという避妊の効果とともに、月経が非常に軽くなるという効果があります。過多月経や月経困難症に対しては健康保険が適用されるので、自己負担は1万円程度です。

 

経血量が多い人は、生理のたびに常に「漏れ」の不安がつきまとい、なかには、夜寝るときはバスタオルや子ども用のおねしょシートを敷いている人もいるそうです。そういう人にはどのような対処法があるのでしょうか?

 

宋:ナプキンやタンポンだけでは不安な場合には、生理カップを使ってみてはどうでしょうか。生理カップの容量は通常20〜35mlくらいなので、ナプキンやタンポンの3倍くらいの経血を受け止めることができるため、経血量の多い人は試してみる価値があると思います。

 

生理カップはナプキンと違い、体の中に入れる生理用品です。生理カップを体の中に入れるのに抵抗がある、怖い、不安だと感じる人もいるようですが、そういう人に何かアドバイスはありますか?

 

宋:ミレーナもそうなのですが、生理カップを入れるのが不安な人の傾向として、腟やデリケートゾーンを恥ずかしい、自分で見たこともない、触れることに抵抗があるという人が多いと思います。そういう人でもパートナーになら触られたりセックスしたりすることはできることが多いのですが、ぜひ自分の体を管理するのは自分だと意識して欲しいです。

膣から先は「タブーなエリア」という感じかもしれませんが、健康管理のためにも、自分の体を見たり触れたりすることは大切です。生理カップを使うことをきっかけに、自分の腟に触れることへの抵抗感をなくしてもらえるといいですよね。

生理カップ(月経カップ) 産婦人科医師 宋美玄先生

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産婦人科医、医学博士。1976年、神戸市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院(胎児超音波部門)留学を経て、2010年から都内で産婦人科医として勤務。診療やセックスに関するカウンセリングのかたわら、書籍の出版や雑誌連載、テレビ・ラジオへの出演等で、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。2012年、2015年に出産した2児の母。

主な著書に、「産科女医からの大切なお願い 妊娠・出産の心得11カ条」(無双舎)、「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)、「幸せな恋愛のためのSEXノート」(ポプラ社)、「ずっとずっと愛し合いたい セックスしつづける男と女のルール」(幻冬舎)など。