女性の性器のしくみ、知ってる? 外性器と内性器を知ると体のことがよくわかる!
2019.07.09女性の性器は、授精や胎児の成長、分娩という女性の生殖に大きくかかわる器官です。生命を育んで未来につなげる大切な役割を担っています。でも私たち女性は、意外と自分の性器について、よく知りません。子宮や卵巣の存在はもちろん、そのほかの性器のしくみを知って、自分の体の理解に役立てましょう。不調の原因や発見にも役立ちます。
文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)
外性器=外陰部は、体内に雑菌が入らないよう守る役目です
女性性器のうち、体の外に現れているもの「外性器」といい、体内に隠れているものを「内性器」といいます。
外性器は、外陰部のことです。外陰部には、恥丘、大陰唇、小陰唇、陰核(クリトリス)、腟前庭などがあります。
まず、大陰唇は、いちばん外側にあり、小陰唇を左右から囲んで守る、ふくらみのある部分です。
大陰唇のすぐ内側に、小陰唇があります。小陰唇はひだ状になっていて、腟前庭を囲んでいます。
小陰唇のヒダヒダに囲まれた粘膜の部分が、腟前庭です。ここには、尿の出口(外尿道口)や腟口があります。
大陰唇と小陰唇はともに、外尿道口や腟口を保護し、体内に雑菌が侵入しないように防いでいます。
腟の奥にある子宮の大きさは、鶏の卵くらい!
内性器には、腟、子宮、卵巣、卵管があります。
腟は、腟の入り口である腟口と子宮頸部の間にある筋肉に囲まれた管です。弾力性に飛んでいて、外陰部から子宮までの長さは、7~10センチくらいと言われています。普段は、月経血や子宮からの分泌物(おりもの)を体外に排出する通り道。
性交時には、男性のペニスを受け入れる場所であり、出産のときには赤ちゃんが通る産道になります。
子宮は、腟の奥にあります。子宮は、洋梨を逆さにしたような形です。20代から40代の女性だと、鶏の卵ほどの大きさです。
子宮の長さは、約7センチ、最大幅は約4センチです。子宮の厚さは、妊娠していないときで約2.5センチ。閉経すると、子宮は小さくなってしまいます。
子宮は、上部3分の2のふくらんだ部分の子宮体部と、下部3分の1の細くくびれた部分の子宮頸部に分けられます。
子宮体部は赤ちゃんを育てるところで、子宮頸部は子宮の入り口で腟につながっています。
卵巣の中にある卵の数は40代になると急速に少なくなります
卵巣は、子宮体部の両側にあるアーモンドのような形をした親指大の器官です。卵子のもとになるたくさんの原子卵胞を持っています。
生まれたときに、左右の卵巣あわせて、約200万個の原子卵胞を持っていますが、思春期には40万個に減少し、40代からは急激に少なくなり、閉経後1~2年でほぼなくなります。
女性ホルモンを分泌するのも、この卵巣です。卵巣の機能が低下すると、女性ホルモンの分泌のバランスが崩れます。
原子卵胞が成熟して(成熟卵胞)、卵子を排出するのが排卵です。初潮を迎える思春期から閉経を迎えるまで一定の周期で、排卵は繰り返されます。
原子卵胞が少なくなると、排卵もしなくなり、妊娠の確率も著しく減りますから、妊娠、出産に最も適した時期は、20代~30代までなのです。
排卵した卵は、卵管内を子宮に向かって移動します
卵管は、子宮体部から伸びる細い管です。
卵巣から排卵された卵子は、卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)というイソギンチャクのような部分でキャッチされて、卵管の中に取り込まれ、卵管内を子宮に向かって移動します。
もし、卵管で精子と出会って受精すると、受精卵になります。受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら、子宮に移動して子宮内膜に潜り込みます。これが着床で、妊娠の成立です。
内性器の子宮、卵巣、卵管は、毎月、妊娠成立のために、働いています。
でも、受精卵が来ないと、受精卵を着床させるために、厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ち、月経(生理)となって体外に排出されるのです。
私たち女性の体は、毎月、妊娠成立のために、子宮内膜をフカフカのベッドのように整え、受精卵が来るのを待っているのですね。
こんな性器のしくみを知ると、毎月、一生懸命に働いている体のことが愛おしいと思えてきますね。
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参考文献
『病気がみえるVOL.9 婦人科』医療情報科学研究所(メディックメディア)
『新版 知っておきたい子宮の病気』上坊敏子(新星出版社)
『女性ホルモンの教科書』日経ヘルス(日経BP社)