子宮口(子宮頸部)の高さと月経カップの関係

「子宮口(しきゅうこう)」または「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」とは何か知っていますか?

これらが子宮のどの部分にあるのか、どんな形をしていて、どんな役割をしているのかを正しく説明できる人は少ないのではないかと思います。

「子宮口」「子宮頸部」は、女性の排卵周期の段階に合わせて形や位置を変え、さまざまな役割を果たす重要な臓器です。

今回は、自分の体をもっとよく知るためにも、また、月経カップをうまく使いこなすためにも、知っているようで実は知らない、「子宮口」「子宮頸部」についてご紹介します。

 

子宮頸部(しきゅうけいぶ)とは?

子宮は「子宮体部」と「子宮頸部」の2つの部分によって構成されています。

上部の3分の2は「子宮体部」といい、妊娠したときに赤ちゃんが入る場所のこと。

そして残りの3分の1が、今回のテーマの「子宮頸部」です。

子宮頸部は、子宮の下のほうに位置し、洋なしを逆さまにしたような形をしています。

子宮頸部は簡単にいうと「子宮の首」。

首と聞くと驚くかもしれませんが、子宮の下部と膣の上部を結ぶ、せまい通路のようなものです。

そして、子宮頸部の最下部の膣へつながる穴のことを「子宮口」といいます。

 

子宮の断面図
<子宮の断面図>

 

子宮頸部の役割って何?

子宮頸部の主な役割は以下の3つです。

  • 子宮への細菌の侵入を防ぐ

女性は肛門や尿道と膣が近い場所にあるため、細菌が集まりやすく、他の臓器と比べると、外から細菌が入りやすくなっています。それらの細菌が子宮の中に入らないために、膣は常在菌のはたらきによって酸性に保たれ、子宮頸部によって細菌が入ってこないようにしています。

 

  • 精子が子宮内に入りやすいようにサポートする

いつも酸性に保たれている子宮頸部は、排卵期になるとアルカリ性に変化します。性交渉によって精子が膣内に入ってきやすくするためです。妊娠が成立しやすいように、精子を迎え入れるのをサポートしています。

 

  • 出産のときに赤ちゃんが通る産道となる

妊娠をすると、子宮口(子宮頸部の最下部にある穴)は固く閉じるため、赤ちゃんが外に出ないようになっています。しかし出産のときはホルモンの作用によって、膣と子宮頸部はやわらかく、そして伸びやすくなります。子宮から出てきた赤ちゃんが通りやすい状態を作るのも、子宮頸管の大事な役割です。

 

子宮頸部(子宮口)の位置は変化する!?

子宮頸部は、生理周期に合わせて下がったり上がったりします。

一般的に、生理前や生理中は子宮頸部が下がり、生理が終わるころに再び上がっていくといわれています。

しかし位置が動く理由については、医学的な研究や、調査による正確なデータが存在するわけではないため、いまだ解明されていないようです。

有力な説は、「不要になった子宮内膜を排出しやすくするため」や「精子が子宮の奥に入りやすく、妊娠しやすい状態にするため」とされています。

妊娠や出産をスムーズに行うために女性に備わった機能のひとつといえますね。

また、子宮頸部の位置については個人差があり、もともと低い人もいれば、高い人もいます。

 

子宮頸部(子宮口)の位置と月経カップの関係

月経カップを挿入したり、取り出したりするときに焦らないためにも、自分の膣や子宮頸部の特徴を知っておくことはとても大切だと思います。

それでは、子宮頸部の高さと月経カップの関係についてみていきましょう。

透明の月経カップ

 

子宮頸部(子宮口)の位置が低い場合

子宮頸部が低いと、カップが装着中に膣の入り口近くまで下がってきてしまったり、ステムの先が膣の外に出てしまい違和感や痛みを生じたりすることがあります。

その場合は、カップのステムをお好みの長さにカットしてみてください。

ステムはカップを取り出すときに引っ張るためについているのではなく、膣内にあるカップの位置を把握するために必要なものです。

そのため、指先がステムの先端に届くのであれば、ステムがどんなに短くても問題なく使用できます。

取り出すときは、カップ本体の根本をつまみながら行ってくださいね。

取り出しに慣れていない初心者にとってはステムが長い方が安心感があるため、最初からいきなりステムを切ってしまうのではなく、カップの使い方に慣れてきたころに、自分の好みにあわせてステムの長さを調整することをおすすめします。

 

カップがきちんと膣内で開いているのにも関わらず、どうしても漏れてしまうという方は、子宮頸部の低さが原因かもしれません。

カップの位置は、子宮口から遠くても近くても、子宮口の真下に位置すれば、漏れることはありません。

しかし、子宮頸部が低いと、カップのリムが子宮口にぶつかって斜めになり子宮口の位置より上に装着されてしまったり、子宮口から外れて子宮頸部と隣り合うように装着されてしまったりすることがあり、そうなると、子宮口から出てくる経血を受け止めることができなくなり、漏れてしまうのです。

子宮頸部が低く、子宮頸部とカップが接しても、子宮口の部分がちょうどカップの中に収まっていれば、漏れることはありません。

そのときに、違和感や痛みがなく、心地よい位置がどうかは、自分で確認できますね。

 

もともと子宮頸部が低い方もいますが、一般的には、自然分娩の出産経験がある方や骨盤底筋が弱い方は、子宮頸部が低い傾向にあります。

月経カップをより使いやすくするために、ぜひ骨盤底筋トレーニングをして鍛えるとよいでしょう。

骨盤底筋を鍛えることは、将来の尿もれの予防にもつながりますし、より楽しいセックスにもつながるので、メリットしかありませんね!

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気になる妊娠中・産後の尿もれ。原因とおすすめの対策は?

 

子宮頸部(子宮口)の位置が高い場合

一概にはいえないのですが、子宮頸部が高いと、カップが膣の奥に入りやすい傾向があるように感じています。

取り出そうと思ったときにステムが見つからないというパターンです。

あるはずのステムがないと、焦りますよね。

しかし、子宮の体部と頸部の構造を思いだし、子宮の入り口である子宮口は非常に小さな穴だということを知っていれば、カップがどんなに奥にはいってしまっても、子宮の中まで入ることはないことはわかりますよね。

また、セルフチェックによって頸部の位置が高めであることを事前に知っておけば、カップの挿入位置を低めにするなどの対処が落ち着いてできると思います。

最初は取り出しに少し苦労するかもしれませんが、骨盤底筋に力を入れて、何度かいきむことによってカップは少しずつ下がってきます。

2〜3サイクルくらいでコツをつかんで快適に使えるようになる方が非常に多いので、ぜひ1回であきらめないでくださいね。

関連記事:月経カップの取り出しに苦戦している方へ 3つのケースと解決方法

 

子宮頸部(子宮口)の位置を確認しよう

自分の子宮頸部の位置が低めなのか、それとも高めなのか、それはセルフチェックによって知ることができます。

実際に自分の指を腟内に入れ、自分でおりものや子宮口の状態を確認します。

妊娠したい人が排卵日を特定する方法で有名な「福さん式」と同じですね。

では実際に、チェックしてみましょう。

なお、月経カップのために子宮頸部の位置を知りたいという方は、子宮頸部の位置が下がるといわれている生理中に行うのがおすすめです。

 

<手順>

① 手を洗い、清潔にします。膣をきずつける原因になるので、爪が長い場合には切った方が安全です。

② 中指もしくは人差し指を、ゆっくりと膣にそって挿入していきます。

*子宮口(子宮の入り口)に届くまでには5~10㎝ほど挿入する必要があります。ドキドキしますが、息を吐きながらリラックスして挿入していきましょう。

③ 指先がドーナツ型の開口部に触れ、それ以上奥に指が進まないのであれば、そこが子宮口です。

④ 指がどこまで入ったか確認しましょう。

 

<結果>

  • 指の第2関節以上入った場合:「子宮頸部の位置が高め」
  • 指の第2関節くらいで子宮口に届いた場合:「子宮頸部の位置はふつう」
  • 指の第2関節まで入らない場合:「子宮頸部の位置が低め」

 

さいごに

女性器は男性器と違って、体の内側にあるので、見たり触れたりする機会が少ない分、自分の性器をさわることに対して、強い抵抗や嫌悪感がある女性が多いように感じます。

女性として産まれた私たちの体に備わっている大事な機能にもかかわらず、それを本人が知らないというのは、よく考えてみるとおかしなことですよね。

自分の体は、誰よりも自分が一番知っていなければいけないと思いませんか?

子宮頸部の高さだけでなく、私たちの体には個人差があります。

月経カップと付き合っていくなかで、自分の体の構造や機能を知り理解することで、自分の体をもっと好きになれたらいいですよね。

女性のカラダと生理の関係

 

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