子育て中のイライラ。PMS(月経前症候群)の可能性も?!

はじめに

毎日、ニコニコ笑顔で元気に育児。…母親になる前は、そんな理想もありました。

育児の現実が始まると、そんな理想は吹き飛んで、イライラしないだけでも一苦労だな…と感じている筆者です。

「抱っこ~」「おなかすいた…」「おもちゃ買って~!」といった要求。

おもちゃが出しっぱなし。食べながら立ち歩く、といった行儀に関すること。

言っても聞かないことが多く、小さい子を育てるのは、どんなに辛抱強く待とうとしても、やはりイライラするもの。

わがままや勝手な行動、はたまた、子ども同士のけんかに、こらえきれずに「爆発」してしまった経験のあるママも多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその一人です。

ある日、実家で、娘のわがままを叱ったことがありました。

出しっぱなしのシャボン玉を、娘が片付けなかったことが原因ですが、

「あなたはいつもそうじゃない?!」

「どうしてそうなの?!」

「また、おうちでも同じことするんじゃないの?!」

自分でも、ちょっとしつこいかもと思うくらい、重ねて言ってしまいました。ちょっとヒートアップしすぎてる…と途中から気づいたものの、言葉があふれて止まらないのです。

私の様子を見ていた母が、「PMSっていうのがあるらしいよ」と耳打ちしてきました。

それを言われて、ハッとなった私。

まさに、そのときの私は、ちょうど生理前だったのです。

PMS、聞いたことがあるけどよく知らなかったことば。これを機に、調べてみることにしました。

PMS(月経前症候群)とは?その定義と症状

『PMSとうまくつきあう』によると、PMSとは、Premenstrual syndromeの略で、日本産科婦人科学会による定義では、「月経前、3~10日のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で、月経が始まると減退したり消失したりするものをいう」とされています。

主な身体症状は、次のようなものがあるそうです。

・疲労感

・頭痛

・むくみ

・眠気

・下腹部が張る・痛む

・乳房が張る・痛む

・便秘がちになる

・味覚が変化する

・食欲が増進する

・甘いものが食べたくなる

・偏頭痛

・吐き気

・にきびが出る

・肌が荒れる

・腰が重い

・冷え性が悪化する

また、精神症状には、

・イライラする

・怒りっぽくなる

・涙もろくなる

・憂うつになる

・集中力が低下する

・判断力が低下する

・無気力になる

・眠くなる

といったものが挙げられるそうです。

自分の場合

もしかしたら私も、PMSなのかも?

ふり返ってみると、確かに自分も、「疲労感」「甘いものが食べたくなる」「イライラする」「怒りっぽくなる」「判断力が低下する」などを感じることが多くありました。

昔からこんなにイライラするタイプではなかったようなのに…最近はこの傾向が強いです。

上述の本によると、年齢とともにPMSの症状は強まる傾向があること、また、育児疲れなどから、産後PMSが強くなる人もいることが指摘されています。

セルフチェックしてみた

PMSの症状が、生理の前に出ていれば、PMSと自己診断できそうです。そこで、自分で表を作り、項目に印をつけながら、毎日セルフチェックすることにしました。

PMSの身体症状、精神症状の中でも、自分が特に感じやすいものをピックアップしました。

チェックするのが多くなると億劫になり、続かないので、項目は以下の5つのみにしました。

・疲れ

・眠気

・甘いもの欲求

・イライラ

・判断力・集中力低下

これらの項目と、その日の日付、そして生理開始日からの日数をメモできる欄を合わせたものを、「PMSチェックカレンダー」として、一日の終わりか翌日に記していきました。

このカレンダー、体重や体脂肪率や、運動や食事のことも一緒に記録すれば、体調やダイエットの記録としても有効なものになりそうです。

チェックの結果、気づいたこと

「夫の休日」には疲れを感じにくい

2ヶ月ほどチェックすると、自分のパターンがわかるようになるそうです。

私の場合、特に、生理前だからこれらの症状が強く見られる、ということはありませんでした。むしろ、それよりも関係があったのは、「夫の休み」でした。

夫が休日で家にいる日は、生理前でも生理中でも、疲れも眠気も、甘いもの欲求もイライラも、判断力や集中力の低下もあまり感じませんでした。

夫と分担できることで、私の家事や育児の負担が減り、疲れも感じにくかったようです。

ところが、夫が仕事で朝から家を出る日や、帰宅しない日などは、チェックには「×」が並んでいました。

子どもが生まれて幸せな家族

 

イライラと甘いもの欲求の連鎖

身体症状も精神症状もきつい日がありました。

そういう日に、まっさきにチェックが入ったのは「イライラ」と「甘いもの欲求」。

そして、「イライラ」のチェックが入っているところには、高い確率で「甘いもの欲求」にもチェックが入りました。

イライラすると、ほとんど自動的に甘いもの、特にチョコレートを食べたくなる気持ちが沸いてくることに気づいたのです。他方、イライラしなければ、甘いものを食べずともやり過ごせる、と知ったことはプラスでした。

自分を観察していて気づいたのは、甘いものを食べるとイライラがなくなるかというと、残念ながらそうではないということです。

甘いものを食べたその一瞬だけ楽になれても、今度はもっと頻繁に、そして多くの甘いものを求めてしまっている自分がいました。

イライラする→甘いものを食べる→ちょっと回復する→やがてまたイライラする→もっと多くの量の甘いものを食べたくなる…。これは無限ループのようでした。

食べた甘いものは、体に蓄積してしまいます。ただの繰り返しではなく、全体として悪い方向に進んでいることに気づきました。

体の不調は、心に伝染し、不機嫌になりやすくなります。その結果、「夫の不在時はなんとなくいつも不機嫌な状態で育児をしている自分」が見えてきたのです。

ストレスがあるから甘いものを食べるのは当然!と開き直るのではなく、甘いもの以外でのストレス解消源を見つけなければ!と思いました。

甘いものがすきな女子

 

子育て中のPMS

セルフチェックをつけてみたところ、どうやら私の育児のイライラは、PMSに直結するかは判断しにくかったものの、「どういうときにイライラしがちなのか」(=夫が不在でワンオペで育児するとき)がわかり、さらには、「そのイライラが自分だけでは解決できていなかった」(=甘いものを食べてもその場しのぎでしかなかった)ことにも気づけました。

とはいえ、PMSという言葉を知り、「PMS」かも?と疑ってセルフチェックしたことによって、自分のイライラを客観的に見るまなざしを作れたと思っています。

今後、育児でイライラしたときには、「今、私、イライラしているな」と自覚したり、「ここで甘いものを食べても解決にならない」と自分に言い聞かせることができそうです。そして、明日も育児をしていくために、たまには育児から離れる時間を積極的に作ることを心がけようと思いました。

PMSは、産後、その症状が重くなる人もいるそうです。PMSは心理的な要因によって出方が大きく変化するものであり、仕事をしながら働いていたり、ワンオペで家事育児を担っていたり、といったことがPMSとなって現れていることもありそうです。

子どもにイライラが向かってしまいそうになったら、鏡で自分の顔を見る、深呼吸して10秒数える、「私はPMSなんだ」と思い出す、などの方法もあるそうです。

積極的なセルフケアや、受診で一歩踏み出す

前述の本『PMSとうまくつきあう』によると、PMSは、セルフケアでよくなることもあるそうです。

・食生活(ビタミンB6やマグネシウムが神経伝達物質の働きをよくする)

・運動(血液循環がよくなるとPMSに多い冷えが改善できる)

・リラックスする(副交感神経優位のゆったりした状態でよく眠れるようになる)

・睡眠をしっかりとる(夜型生活を改めると、ホルモン分泌のバランスが整う)

といったことが、PMSの症状の改善に有効だとされています。

また、受診してPMSという診断がつくと、それだけで症状が軽くなる方もいるそうです。女性のホルモンバランスによる不調は、男性にはなかなか共感しづらいことかもしれませんが、診察を受けることで、パートナーの理解も得やすくなることも考えられます。

気まぐれでイライラしているのではなく、感情のコントロールがしづらい状況になっていることがパートナーに理解されることは、大きな一歩になりそうです。

まずはセルフチェックから

PMSではなかったとしても、チェックカレンダーをつけ始めたことで私は、「生理の前だ。イライラしやすくなるかも」と自分で自分にアラートを鳴らせるようになりました。

そして、「甘いものに救いを求めるのはやめよう」と決意できました。

子育て中は、とにかく体が資本。

家族との楽しい毎日のためにも、自分をいたわるためにも、現状を知り、そして改善に向かうためのセルフチェックを、今日からでもつけてみるのはいかがでしょうか。

参考図書

丸本百合子(2008)『PMS(月経前症候群)とうまく付き合う』保健同人社

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