生理が上がるときって? 閉経に近づいているってどんな感じ?

*2024年10月28日更新

生理(月経)が終わりに近づいているときって、どんな感じになるの?

更年期から閉経に向かう生理の変化についてお伝えします。

文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

更年期の生理の乱れ方には、個人差あり!

生理(月経)が終わりに近づくサインは、人によって大きく異なります。

閉経の平均年齢は、50.5歳。45歳以上で1年間、生理の出血がない状態だと、閉経と診断されます。

でも、生理の出血が完全になくなる前に、40代になると徐々に生理周期の乱れや、出血量の変化が生じます。

どのような生理のリズムの乱れが生じるのか、今から不安だと思います。

更年期の生理周期の乱れは、卵巣の働きが衰え始めれば、すべての人に必ず起こります。でも、どのように生理周期が乱れるかは、個人差があって、同じような月経異常、月経不順が起こるわけではありません。

生理が乱れる原因は卵巣の老化!?

でも、更年期の生理(月経)のリズムの乱れには、ある一定の順序は、あります。

その秘密は、卵巣から分泌される女性ホルモンです。

卵巣の中の卵胞は、胎児のときがいちばん多くて、生まれてから毎年、減っていきます。この減り方はひとりひとり異なり、生まれる前の胎児のときにすでに決まっていると言われています。

女性は、生まれるときに、この原始卵胞を卵巣に約200万個、蓄えています。しかし、生理が始まる思春期には、約170万個から180万個が自然に消滅し、生殖年齢のころには約20~30万個まで減少していきます。

その後も1回の生理の周期に、約1000個が減り続けていると言われています。

そして、更年期には、卵巣の機能が低下して、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の量も減ります。

関連記事:35歳から始まる“卵巣力”の低下は、くい止められるの?

脳が頑張っても、卵巣からホルモンは分泌されない…

女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあって、卵巣から分泌されますが、実は、卵巣は脳からの指令でコントロールされています。

更年期になって、卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が減ると、脳はそれを感知し、焦って卵巣に「ホルモンをもっと分泌しなさい!」と脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)⇒脳下垂体からホルモン(卵胞刺激ホルモン=FSH、黄体形成ホルモン=LH)を分泌させ、指令を出します。

けれども、更年期になると、卵巣機能が衰え、卵胞の老化、減少が進んでいるため、脳がいくら頑張って、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)を増加させても、卵巣からの女性ホルモンは残念ながら分泌されません。

生理の乱れは、自律神経の不調にも関係

いくら指令を出しても、ホルモンバランスが崩れるため、脳は混乱します。

自律神経系(体温コントロールにも関係)に乱れを起こし、これがほてり、発汗、冷え、めまい、不眠、うつなど、更年期の不調につながります。

これが更年期障害の症状の一部です。

最終的には、脳からのホルモンも卵巣からのホルモンも低下し、女性ホルモンはほとんど分泌されなくなり、ほぼゼロに。生理の出血がなくなって、閉経します。

極めて少量のエストロゲンは、閉経後も脂肪組織などから分泌されていると言われています。

更年期障害

閉経までの生理パターン

この女性ホルモンの分泌が減少していく過程で、生理(月経)周期や出血量(経血量)などがさまざまに変化して、閉経へといざなわれます。

その典型例をご紹介します。

1~5の順に、生理が変化することが多いですが、個人差もあり、すべての女性がこの順序で進むわけではありません。

(1)正常な生理(月経)

 

正常な生理(月経)の条件は、

正常な生理(月経)周期

① 自然に始まる(ホルモン剤や低用量ピルなどを服用して起こる出血は、月経とは言いません)

② 生理の開始日から、次の生理の開始前日までの日数は25~38日。長い周期と短い周期との差が6日以内です。

たとえば、ほとんどの月経周期は35日なのに、ときに29日周期があったとしても、正常です。

③ 生理が続く日数は、3~7日です。

④ 生理は、自然に終わります。

(2)生理(月経)周期が短くなります

生理(月経)周期が短くなる

 

更年期の生理の変化は、周期が短くなる(「頻発月経」)ことから始まることが多いようです。

たとえば、今まで28日周期だったのが、22~23日周期などと短くなります。同時に生理の出血量(経血量)が少なくなり、生理が続く日数も短くなります。

周期が短くなる理由としては、

① 卵巣機能が低下し、卵胞の数が減ると、エストロゲンの分泌量が減ります。

② すると、脳は視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を出し、それを受けて、脳下垂体はFSH(卵胞刺激ホルモン)を卵巣へと多く分泌します。

③ それによって、卵巣は一時的に刺激されて、卵胞の発育が短期間に進みます(卵胞期短縮)。

そのため、生理から排卵までの期間が短くなり、基礎体温の低温期(卵胞期)が短くなります。

しかし、排卵後の高温期(黄体期)は、この段階では変わらないため、周期が短くなるのです。

まだ、この時期には、“排卵している可能性”があります。ただし、極端に短い周期(15~19日)で生理が来る(頻発月経)場合は、排卵していないことが多いと言われています。

(3)生理(月経)期間がダラダラと長く続きます

生理(月経)期間がダラダラと長く続く

 

さらに、卵巣の機能が低下していくと、ホルモンバランスが崩れ、生理周期が長い短いにかかわらず、生理(出血)期間が8日以上続くというケースも出てきます。「過長月経」と呼ばれています。

長い人では、2週間~1か月も生理の出血が続く人がいます。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が減り、エストロゲン(卵胞ホルモン)だけが少量分泌され、子宮内膜が厚くならないうちに、すぐに剥がれてしまうので、生理は“排卵のない”「機能性出血」のことが多いのです。

しかし、多くの場合、排卵はありませんが、たまに排卵している場合もあり、どちらとも断定できない状態です。ですから、妊娠を望んでいない人は避妊が必要です。

「機能性出血」は、更年期世代は閉経に向かう過程でもありますが、若い世代はストレスや生活習慣によるホルモンバランスの乱れで起こることが多いと言われています。

参考記事:

生理の終わりかけにナプキンなしで過ごせる快適な方法とは?

生理を早く終わらせる方法とは?布ナプキンや月経血コントロールはどうなの?

(4)生理(月経)周期が長くなります

生理(月経)周期が長くなる

 

生理周期が39日以上と長くなり、2か月に1回程度しか生理の出血がない場合もあります(「稀発月経」)。卵巣機能がかなり衰えた状態です。

しかしながら、「更年期だから…」と自己判断は禁物です。何かの病気による不正出血の可能性もありますので、更年期になっても、婦人科検診は年1回は行きましょう。

(5)閉経します

1年以上生理(月経)がないと閉経

 

最終の生理開始日から1年経っても月経がない場合、「閉経」とみなします。

この順序には、個人差があります。2⇒3⇒2⇒4⇒5 などのように行きつ戻りつ、閉経する人もいますし、 4⇒5といきなり閉経する人もいます。

更年期だから…と自己判断しないで! 病気が隠れていることも

更年期は、隠れた病気による不正出血と、生理的な月経の乱れの区別がつきにくい時期です。

年1回は婦人科で、子宮や卵巣を経腟超音波検査などでチェックすることをおすすめします。

出血が長引く場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮体がん、子宮頸管ポリープなどの病気が原因のこともあります。また、「頻発月経」(周期が短い生理)が長期間続くと、貧血の可能性がありますので、こちらも注意が必要です。

40代からの体の変化が、今後40~50年ある人生を楽しく、元気に生きるためのいいきっかけになるといいですね!

参考記事:

どのくらい乱れると生理不順なの? 妊娠じゃないのに生理が乱れるわけ!?

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