PMSかも?改善への第一歩は症状を記録して知ること
2024.12.19生理前にイライラしたり、落ち込んだり、体がだるく感じたりするなど、PMS(月経前症候群)の症状に悩む女性は多いのではないでしょうか。
実は、日本では生理のある女性の70〜80%が、生理前に何かしらの症状があるといわれています。しかしながら、その原因や対策はあまり知られていません。
この記事では、PMSの原因や症状、対策方法について解説します。自分の症状を確認できるチェック表や、日々の記録に役立つアプリも紹介しますので、ぜひご活用ください。
PMS(月経前症候群)ってどんな症状?
PMSは、生理前3〜10日の間続く、身体的および精神的に不快な症状を指し、生理が始まると自然と症状が消失していくのが特徴です。
身体症状の例
- 下腹部痛、頭痛、腰痛、お腹や胸の張り、むくみ、倦怠感、便秘や下痢など。
精神症状の例
- 情緒不安定、イライラ、抑うつ、急な不安感、憂うつ、集中力の低下など。
PMSの症状は多岐にわたり、200種以上とも言われています。人によって症状が違ったり、同じ人でも月によって症状が変わったりするため、不調がPMSによるものだと気づかない人も多いです。
まずは、自分の症状がPMSに該当するかどうかを知ることが、適切なケアの第一歩です。
PMSの原因とは?
PMSが起きるメカニズムは完全には解明されていませんが、女性ホルモンの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の変動が関係していると考えられています。
- 卵胞期(生理後から排卵前):エストロゲンの分泌量が増加
- 黄体期(排卵後から生理前):プロゲステロンの分泌量が増加後、生理開始直前に急激に低下
このホルモンの急激な変動が、脳内のホルモンバランスや神経伝達物質(セロトニンなど)に影響を与え、不安やイライラなどのPMS症状を引き起こすとされています。
ただし、女性ホルモンの変動だけが原因とは言えません。ストレス、生活習慣、栄養状態なども脳内のホルモンや神経伝達物質に影響を与えるため、PMSは複数の要因が組み合わさって起きている可能性も考えられます。
PMSをチェックしてみよう
以下の症状が過去3ヶ月連続で、生理前の5日間に1つ以上起こり、3つの★に当てはまる場合はPMSを疑ってみてください。
(1)体の症状
- 乳房の痛み
- 頭痛
- おなかの張り
- 腰痛
- 手足のむくみ
(2)精神的な症状
- 抑うつ気分
- 混乱
- イライラ
- おこりっぽくなる
- 不安
- ひきこもり
★生理開始後、4日以内に症状が消え、13日目まで再発しない
★薬やアルコールによる症状ではない
★社会的・経済的に明確な障害が認められる
参照:ACOG A Resource manual 4th Edition 2014
症状を記録して自分のパターンを把握しよう
生理前に起こる症状がPMSかどうかを判断するには、まずは上記のチェックリストを確認し、PMSを疑う場合は、日々の記録をつけてみましょう。
生理に関連する体調の変化が把握でき、婦人科での診断や治療方法を決める際にも役立ちます。体調の変化が生理に関連していない場合は他の疾患を疑うこともできますので、少なくとも2ヶ月間は続けてみましょう。
主な記録内容:
- 症状の種類
- 症状が始まるタイミングと終わるタイミング
- 症状の強さ
記録をつけることで得られるメリットはほかにもあります。
例えば、日々の症状や気分を客観的に書き出すことで、自分に何が起きているのかを冷静に把握できるようになり、PMSに対する考え方が少しずつ変わっていきます。
「抑えられないイライラが女性ホルモンの変動によるものだと知り安心した」「体の不調や情緒不安定の原因がPMSだと分かり、自分を許せるようになった」という声もあります。
さらに、PMSの症状が出やすい時期はスケジュールに余裕を持たせるなどの、実践的な対策も立てられるようになります。自分の心と体に寄り添うためにも、ぜひ記録をしてみてください。
生理管理アプリ「Oh My Flow」なら簡単に記録できる
毎日の記録には、生理管理アプリ「Oh My Flow」を活用するのがおすすめです。
「Oh My Flow」は、香川大学医学部 周産期学婦人科学の鶴田智彦准教授の監修のもと開発された、経血量が簡単に記録できる生理管理アプリです。このアプリでは、生理周期やPMSの可視化もサポートします。
- 周期がひと目で確認できる
ホーム画面では、自分が今「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」のどの周期にいるのかが一目でわかるため、日々のホルモンの状態による、体調の変化を理解しやすいです。 - 日々の症状や気分を記録できる
記録画面から該当するアイコン(以下に一部を紹介してます)をタップするだけで、症状や気分を簡単に記録できます。選択項目は、PMSで出やすいものも多く入っているため、婦人科受診の際にも役立ちます。自由記載の項目もあるため、日記としても活用できます。 - レポートで自分のパターンを把握できる
周期ごとに出やすい症状や気分をグラフで確認できるため、自分のパターンが把握しやすくなります。
PMDDとは?PMSとの違いと改善方法
PMSの中でも、特に精神的な症状が際立って強く出てしまう場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。
PMDDは生理のある女性のうち1.8〜5.8%に見られ、激しい怒りやイライラ、不安や緊張、抑うつ、情緒不安定などの症状に加えて、睡眠障害や食行動の変化などにより、日常生活に大きな影響を与える状態を指します。しかし、はっきりとした原因はわかっていません。
抑えられない精神的症状が、実はPMSが原因で起きているにも関わらず、それを知らずに自分を責めたり、人間関係がうまくいかず落ち込んでしまう人も少なくありません。そういう方にとっては、PMDDという病気があることを知るだけでも気持ちが楽になり、症状が和らぐケースもあります。
一方で、PMDDの症状の度合いによっては、医師による診断と、低用量ピルや漢方薬、抗うつ薬(SSRI)などの服用が有効です。症状がつらい場合は早めに受診しましょう。
症状がつらいときは婦人科受診を検討してみて
PMSは症状が軽い場合、生活習慣の見直しなどのセルフケアで改善が期待できますが、早めに受診して適切な治療を受けることで、日々の生活が大きく改善します。
次のような場合は、婦人科の受診を検討してみてください。
- PMS症状が身体的にも精神的にも改善せず、生活の質が大幅に低下している
- 自己ケアや市販薬では症状が和らがない
- 毎月、生理前になると強い感情の不安定さや憂うつ感があり、日常生活に支障をきたしている
- 仕事や家庭生活、人間関係に悪影響が出ている
婦人科で受けられるPMSの治療法とは?
婦人科では、症状に応じて以下のような治療が用いられます。
- ホルモン療法(低用量ピル)
低用量ピルはホルモンバランスを安定させ、PMSやPMDDの症状を軽減する効果があります。最近ではPMSに特化したピルも登場しています。 - 抗うつ薬(SSRI)
精神症状が強い場合、セロトニンの分泌を調整する抗うつ薬が処方されることがあります。これにより、不安感やイライラを和らげる効果が期待されます。 - 漢方薬
東洋医学では、体質改善を目的に漢方薬が処方されることがあります。当帰芍薬散や加味逍遥散などは、PMSに悩む女性によく用いられます。 - カウンセリングや行動療法
ストレスや不安を軽減するため、心理カウンセリングや認知行動療法を併用することも効果的です。
さいごに
PMSは多くの女性が経験するものですが、辛いのが当たり前でも、我慢しなければいけないものでもありません。症状が重い場合は治療が必要です。
症状を正しく把握し、婦人科で適切なサポートやケアを受けることで、生活の質を向上させることができます。日々の症状や気分が簡単に記録できる「Oh My Flow」などのアプリを活用して、毎日記録をつけることを習慣にし、自分に合ったケアを見つけていきましょう。