子宮内避妊器具を知っていますか。英語の略称IUD（Intrauterine device）やIUS（Intrauterine system）の略で、避妊リング、あるいはミレーナという商品名で知られています。

ミレーナは、世界の約130カ国のガイドラインで過多月経の治療薬としても推奨されており、日本でも2007年に避妊薬として承認され、2014年9月から過多月経の治療に対してミレーナが保険適用を受けています。

そのことから、最近「ミレーナを入れていても月経カップは使えるの？」というご質問をいただくようになりました。答えは、「はい、使えます」。ただし、装着してからの期間や子宮頸部の位置、ミレーナの紐の長さなどによって注意していただきたいことがあります。

筆者（40代）は月経カップユーザー歴5年ですが、1年前にミレーナデビューしました。ミレーナ装着後も月経カップを使っています。この記事では、月経カップユーザーがミレーナを使うとき、あるいはミレーナユーザーが月経カップデビューするときに気をつけていただきたいポイントをご紹介します。

ミレーナとは？

ミレーナはやわらかいプラスチックでできた32mmほどのT字型の器具で、子宮に装着して使用します。黄体ホルモン（レボノルゲストレル）が子宮内にゆっくり持続的に放出されることで、一度装着すれば最長で５年間効果が継続します。

ミレーナには、過多月経・月経困難症の症状緩和と、避妊の2つの効果があります。

ミレーナから放出される黄体ホルモンは、子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜は薄い状態になり、経血量を減少させるとともに生理痛を軽くします。

また、内膜が薄い状態となることで、受精卵の着床（妊娠の成立）を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内に侵入するのを妨げたりすることで避妊効果を発揮します。

ミレーナは、一度装着すれば5年間そのまま使用できるため、今後妊娠の予定がなく、過多月経や生理痛に悩んでいる人には魅力的な選択肢かもしれません。妊娠希望があれば、ミレーナを抜去することで再び妊娠可能となります。

費用は、月経困難症や過多月経の治療として装着する場合には保険適応となり12,000円前後です。避妊目的の場合には自費診療になるため、病院によって異なりますが40,000円〜60,000円くらいです。

ミレーナ装着後いつから月経カップを使えるの？

ミレーナは、「脱出」といって、子宮の中に装着したはずのミレーナが自然に子宮口から出てきてしまうことがあります。脱出が起こる時期は、装着後の最初の 3ヶ月から 1 年以内が多いといわれています。

そのため、月経カップの使用は、ミレーナが子宮内で安定するまでの最初の3ヶ月間は控えるほうがよいといわれています。心配な方は、ミレーナ装着後の定期検診で、ミレーナが子宮内の正しい位置にとどまっていることを医師に確認してもらってから、月経カップを使用するのがおすすめです。

ミレーナ装着後に月経カップを使用する際の注意点

ミレーナの紐の長さを調整しましょう

ミレーナを装着している状態で、月経カップを使うときに注意したいことは、カップを取り出すときに、子宮口から出ているミレーナの紐をカップではさみ込まないことです。

ミレーナには、取り出すときのために紐がついています。カップを取り出すときに、密着を解除するためにカップをぎゅっとつぶしますよね。そのときに、ミレーナの紐が長いと、カップに紐が一緒にはさまれてしまう可能性があるのです。紐が引っ張られると、ミレーナも一緒に取り出されたり、位置がずれたりしてしまう恐れがあります。

特に、子宮頸部の位置が低め（腟の長さが短め）の方は、月経カップと子宮頸部が近い位置にあるので注意が必要です。

そこで、おすすめしたいことは、ミレーナを装着してもらう医師に、月経カップユーザーであることを伝え、月経カップがミレーナの紐に干渉しないように紐を短めに調整してもらうことです。

月経カップは密閉を解除してから取り出しましょう

月経カップを取り出すときに、腟壁とカップが密閉状態のままステムを引っ張ると、子宮内のミレーナのポジションがずれてしまう可能性があるという人もいます。カップを取り出す際は、腟壁とカップの密閉状態を解除してから取り出しましょう。これは、ミレーナを装着しているかどうかに関わらず、痛みなくスムーズに取り出すポイントです。

いきなりステムを引っ張るのではなく、おしっこを勢いよく出すように腹圧をかけると、カップが下のほうに降りてきます。指先がカップの底部に触れたら、親指、人差し指、中指を使って、カップの下3分の1をぎゅっとつぶすことで、密閉を解除します。焦らず丁寧に取り出しましょう。

ミレーナ装着後の不正出血に吸水ショーツがおすすめ

月経カップを使い慣れている人にとって、ミレーナが子宮に安定するのを待つまでの3ヶ月間はわずらわしいかもしれません。黄体ホルモンの影響で、不正出血が数ヶ月続くことがあるからです。

そんなときに活躍するのは吸水ショーツ「エヴァウェア」です。一枚で履けてナプキンのようにゴワゴワせず、快適に過ごせます。

エヴァウェアは、ミレーナによって経血量が減った生理中にも使えるので1枚あるととても便利です。

ミレーナ×月経カップで、生理の負担がほぼゼロに

ミレーナデビューしてからというもの、とても快適です。装着後1年以上経った今では、生理の出血は1～2日で終わる程度になりました。経血量も月経カップ2分の1程度です。そのため、月経カップをリセットするタイミングも安定しました。なぜなら「多い日」がなくなるからです。朝セットしたら夜までOKです。それが2日間だけ。生理の負担はゼロに近いです。

生理が始まるころに感じていた鈍い腰の痛みもなくなり、生理痛の薬を飲むこともなくなりました。

以下のブログに経験談を載せています。

過多月経かも？生理を軽くしたくて、ミレーナにしました。
ミレーナの経過。月経カップを併用して使っています。

ミレーナと月経カップの併用は筆者にとって、閉経前の快適な生理のための欠かせないパートナーになりました。多くの女性の選択肢の一つとして検討されることを願っています。

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