生理は本来そんなに痛くない!ひどい月経痛は治療できます
2019.09.03月経(生理)のトラブル、特に生理痛は、多かれ少なかれ誰でも経験するものです。でも、生理中に現れる強い下腹部痛や腰痛などで日常生活や仕事に支障が出たり、毎回、月経のたびに鎮痛剤を続けて飲むようなら、月経困難症の可能性があります。ひどい月経痛は、治療で改善できます。月経(生理)は、本来そんなには痛くないものです。ひどい月経痛への対処法をまとめました。
文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)
月経困難症と月経痛の違いは?
月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合を「月経困難症」といいます。痛みが強いため、月経のたびに継続して鎮痛剤がないといられない、仕事ができないような状態である場合は、月経困難症の可能性があります。
通常の月経痛との違いは、日常生活や仕事に支障があるかないかで判断できます。たまに鎮痛剤を2、3回飲めば改善するくらいなら、よくある生理的な月経痛です。しかし、日常生活に支障が出るような月経痛は、月経困難症と診断されます。
月経困難症の症状には、腹痛、腰痛のほかにも、悪心(気持ちがわるくなる)、嘔吐、フラフラする、頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。
月経困難症は、月経のある女性の30%に見られ、子宮内膜で作られる痛み物質(プロスタグランディン)により、子宮が収縮するため腹痛や頭痛、吐き気、下痢などが起こります。
傷みは我慢せず、鎮痛剤も正しく使って
つらい月経痛があったら、我慢せずに痛み止め(鎮痛剤)を服用します。鎮痛剤にはいろいろな種類があります。市販のものでも婦人科で処方されたものでも、自分に合って副作用が少ないものを選びます。
鎮痛剤は、痛みが強くなってから飲んでも効きにくいと言われています。「そろそろ痛くなるな」と思ったら飲むことが大切です。吐き気があって経口薬を飲みにくい人は、座薬の鎮痛剤もあります。
体によくないからと鎮痛剤を我慢する人もいますが、用法用量を守って月に2~3回飲む程度なら問題ありません。痛みの記憶を残さないほうが大事です。また、ひとつの鎮痛剤があまりよく効かないと思ったら、鎮痛剤の種類を変えてみることもできます。
月経困難症には種類あります
月経困難症には、器質性と機能性があります。
なんらかの原因となる病気(子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症など)があったら器質性月経困難症です。一方で、検査をしても原因となる病気がない場合を機能性月経困難症と言います。
どちらも治療すれば、月経痛は改善できます。鎮痛剤があまりよく効かない、症状がひどくなってきたと思ったら、我慢せず婦人科を受診しましょう。
機能性月経困難症なら、婦人科で処方される鎮痛剤
婦人科では、月経痛が機能性(原因となる病気が見当たらない)か、器質性(原因となる病気がある)かを検査して診断してもらうことが大切です。診断は、比較的容易です。
検査は、内診や超音波検査で、子宮筋腫や子宮内膜症などが認められないかどうかを見ます。
婦人科で処方される鎮痛剤は、市販薬より種類も多く、効き目がシャープなものや自分に合ったものを見つけやすい利点があります。
婦人科処方の鎮痛剤には、痛みの原因となるプロスタグランディンをブロックできる薬(プロスタグランディン合成阻止剤)があります。
また、ボルタレンなどの鎮痛剤が処方されることもあります。また、痛みがかなり強く、早く痛みをとりたいときは、鎮痛剤の坐薬は、即効性があります。
鎮痛剤を使うときのコツは、早めに使うことです。もう我慢できないといった強い痛みがきてから服用するより、早めに、あるいは痛みが始まる前に服用したほうが、少量で済みますし、よく作用します。
低用量ピル(OC)は月経痛に効果的です
機能性月経困難症(原因となる病気がない月経痛)は、排卵した後、卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用が原因です。
この黄体ホルモンの分泌を抑えれば、月経痛は予防できます。つまり排卵を一時的にストップするわけです。
そのためには、低用量ピル(OC)が効果的で、安全な方法と言われています。低用量ピルは、排卵をストップするため、避妊薬としても使いますが、月経痛の治療薬としても使うことができます。
超低用量ピル(LEP)は、月経困難症治療薬、子宮内膜症治療薬として、健康保険で治療できます。
排卵を抑えれば、月経の量が減り、痛みも治まります。加えて、月経周期が安定するので、予定や計画を立てやすくなります。もちろん避妊の効果もあります。
ホルモン剤に抵抗がある人は漢方薬を試してみましょう。いずれにしても自分にあった治療法を選ぶのがいちばんいい解決法です。
適度な運動は月経痛軽減に効果があります
月経前は、骨盤の血流の流れがうっ滯します。うっ血は、月経痛を強くすることにつながります。
適度な運動は有効です。軽いジョギング、ウォーキング、スイミング、あるいはヨガやピラティスなどを行いましょう。簡単な全身のストレッチなどもいいでしょう。
月経痛を当たり前とあきらめずに受診しましょう! 女性は、症状がなくても自分の健康のため、予防のために年1回は婦人科を受診し、経腟超音波で子宮や卵巣の様子をよく診てもらいましょう。子宮頸がん検診を同時に行ってもらうのも大切です。
参考文献:
『新版 知っておきたい子宮の病気』上坊敏子(新星出版社)
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