はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと②:自分の体のしくみを理解する
2020.01.20「体の奥に入って取り出せなくなることはないの?」
「繰り返し使うことで感染したりしないの?」
「使ってみたけど、うまく入らない...」
これらは、はじめて月経カップを使う方から多く聞かれる不安や疑問です。
実は、カップを使う前の不安や疑問の多くは、自分の体の構造やしくみをよく知らないために出てくるものです。
「はじめて月経カップを使う前にやっておきたい3つのこと」の2つ目は、「自分の体の構造やしくみについて理解すること」。
自分の体のことをよく知らないまま、なんとなくカップを挿入しようとすると、痛みや違和感の原因になることあります。
そして、一度痛みを感じると、「自分には無理かも…」と、とても不安になりますよね。
それでは、カップを使うときに必ず役立つ、これだけは知っておきたい私たちの体についてみていきましょう。
関連記事:はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと①:月経カップの特徴や構造を理解する
腟は後傾している
まず、女性の内性器を正面から見てみましょう。
保健体育の教科書などにも載っているので、だれでも1度は見たことがありますよね。
この図では、腟は子宮口に向かってまっすぐに位置しているように見えます。
次に、横から見てみましょう。
左がお腹、右がお尻、黄色が膀胱と尿道、オレンジが腟、ピンクが子宮、茶色が大腸です。
このように横から見ると、腟は後傾しているのが分かると思います。
私たちは正面からの図を見慣れているので、カップは腟口から真上に挿入するものだと思いがちですが、カップを真上に挿入しようとするとうまく入っていかず、痛みや違和感の原因になります。
正しい挿入角度はななめ後ろで、折りたたんだカップの先端を、尾てい骨の方向に挿入していきます。
取り出すときも同じです。
真下ではなく、ななめ前の方に引き出していくと、膣口にカップが引っかかることなくスムーズに取り出すことができます。
関連記事:女性の性器のしくみ、知ってる? 外性器と内性器を知ると体のことがよくわかる!
カップは体の奥に入ってしまって消えることはない
腟は、終わりのないブラックホールではありません。
個人差があるものの、およそ7〜8cm、ひと差し指から中指くらいの長さといわれています。
実際に、腟に指を挿入してみると、子宮口に触れることができるんですよ。
触ってみると、子宮口はギュッと閉じていることがわかります。
はじめてカップを使う方から、「カップが体の奥深くまで入り込んでしまったらどうしよう…」「子宮に入ってしまいそうで怖い」という声をよく聞きますが、安心してください。
挿入したカップは7〜8cmの腟内に必ずあり、子宮の中や体内のどこかに入ってしまうことはありません。
このことを知っているだけで、カップの挿入や取り出しについての不安がかなり減りませんか?
体に力が入ると腟が閉じやすい
人は焦りや不安、痛みを感じると、自然と体が緊張して力が入り、同時に腟も閉じやすくなります。
そのような状態では、カップをスムーズに着脱することはできませんよね。
カップが挿入できなかったり、取り出せなくなったりする原因の多くが、不安やパニックによるものです。
うまくいかないときは一旦休憩し、足と膝を広げてゆっくりと深呼吸をしてみましょう。
「ふぅ〜。」と、声が出るくらい息を吐き出すのがポイント。
月経カップは、決して1回で絶対に成功させようと焦らないでくださいね。
まずは、リラックス!リラックス!
腟には常在菌による自浄作用がある
カップは体内(腟)に挿入するものなので、「体内にものを入れるなんて感染しないの?」「カップは毎回殺菌消毒するべきなのでは?」という質問を受けることがあります。
みなさんは、セックスの前に、必ずパートナーにシャワーを浴びてもらったり、手指を消毒してもらったりしていますか?
考えてみると、そちらのほうが、自分の腟に入っていた月経カップよりも清潔ではなさそうですよね。笑
実は、膣内には常在菌が存在し、健康な女性では膣内が酸性に保たれ、外部からの細菌の侵入や増殖を阻止する自浄作用があります。
口の中にも常在菌が存在して私たちの体を守ってくれていることは、みなさんも知っていると思います。
私たちは食事のとき、おはしやスプーンなどを殺菌消毒しませんよね。
月経カップも同じです。
お手入れは、1日1回低刺激の石けんで水洗い、そして生理周期ごとに煮沸消毒をするだけで十分です。
どの石けんを使ったらいいか不明な場合は、月経カップ「ディーバカップ」用の洗浄剤「ディーバウォッシュ」がおすすめです。
ディーバウッォッシュは医療用シリコーン製の月経カップのために作られた洗浄剤のため、ディーバカップに限らず、すべての医療用シリコーン製カップの洗浄にピッタリです。
また、外出先のトイレで取り出したカップを水洗いできない場合は、トイレットペーパーやウェットティッシュで経血を拭き取って再び挿入し、帰宅後にていねいに水洗いすれば大丈夫です。
市販のアルコールなどの消毒液や、洗浄用のタブレット、抗菌石けんなどは、カップの素材であるシリコーンを劣化させたり、腟粘膜へ刺激を与えたりする可能性がありますので、お手入れ方法としてはおすすめできません。
感染予防のために一番大切なことは、清潔な手指でカップを扱うことです。
挿入や取り出しの前には手洗いを忘れないようにしましょう。
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下腹部に力を入れていきむと、カップは押し出される
カップは正しい位置に装着しても、体の動きや姿勢などによって、自然に奥の方へ入ってしまうことがあります。
取り出そうとしたときに、カップが見つからないと焦りますよね。
しかし、そんなときは下腹部に力を入れながら排便するようにいきむことで、カップは少しずつ押し出され、指がステムに届くところまで下がってきます。
コツは、息を深くゆっくり吐きながら、カップを“産むイメージ”でいきむこと。笑
直立の姿勢だとカップは上に上がりやすいので、座ったり、中腰の姿勢、またはスクワットの姿勢でおこなうのがおすすめです。
いきみをやめるとカップは再び奥の方に逃げてしまうので、1回のいきみをゆっくり長めにすることを意識して、数回いきんでみてください。
焦って体にムダな力が入ってしまうと、カップが上に上がってしまいやすいので、できる限りリラックスすることを意識します。
うまくいかないときは一度やめて、好きなテレビ番組や映画をみたり、お茶を飲んだりして、気持ちと体をリセットして、少し経ってから再びトライしてみましょう。
関連記事:月経カップの取り出しに苦戦している方へ 3つのケースと解決方法
さいごに
はじめて月経カップを手にしたら、私たちはついついカップの使い方ばかりに注目してしまいますよね。
もちろんそれも欠かせないことなのですが、実は、これからカップを入れる自分の体の構造を理解し、不安や疑問に思っていることを解消していくことが、カップを早く使いこなせるようになるための近道なのです。
カップ使用歴2年以上の筆者も、はじめてカップ挿入したときは、3割のワクワクと7割の緊張で、変な汗がたくさん出てきたのを覚えています。
当時は、体のことについて今ほど理解していなかったので、万一のことを考えたら胸がドキドキして息苦しくなりました。
今振り返ると、もっと事前に体のことを知っておけばよかったなぁと感じています。
「よく分からないまま、なんとなく使いはじめちゃった」という方も、まだ遅くはありません。
月経カップのさらなるスキルアップのためにも、この機会に、一度自分の体についての理解を深めて、今後のカップライフに活かしていってくださいね。
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