はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと③:腟の外で行うイメージトレーニング
2020.01.20*2024年11月15日更新
月経カップの唯一のデメリット強いてあげるとすると、ナプキンと違って、慣れるに何度か練習が必要ということです。
筆者は20年以上水泳をやってきましたが、泳ぎのフォームを修正するときや、新しい練習法を取り入れるときに、いつもコーチに言われていた言葉があります。
「陸でできないことは、水中で絶対できない」
例えば、クロールの腕のかきを修正しようとしたときに、まずは良いフォームをイメージしながら陸上で動きの確認をして、理想的な動きができるようになってから、はじめて水中で同じことをやってみます。
一見、遠回りに感じるこの方法が、結果的に正しいフォームを早く身につけるための近道でした。
筆者は、月経カップも同じだと感じています。
「腟の外でできないことは、腟の中でも絶対にできない」
そうなんです。カップを腟に入れる前に、腟の外でできるイメージトレーニングが必要なのです!
今回は、「はじめて月経カップを使う前にやっておきたい3つのこと」のうち、3番目は、おそらく世界初!?となる「腟の外で行うイメージトレーニング」をご紹介します。
イメージトレーニングをおすすめする3つの理由
筆者がカップビギナーの方にイメージトレーニングをおすすめする理由は以下の3つです。
- 腟の中でカップがどのような動きをしているのか想像できるようになるので、コツをつかみやすい。
- 挿入や取り出しに対する不安が減り、ワクワクした前向きな気持ちで使うことができる。
- カップの特性を理解すると、上手くいかないときも焦らずに対処できる。
もっともおすすめしない方法は、不安や恐怖を抱えながらカップを使いはじめることです。
そのような状態では不安や緊張から体に力が入り、カップはどんどん挿入しづらく、取り出しにくくなってしまいます。
うまくいかなないときにパニックにならないためにも、事前のイメージトレーニングは入念にやっておきましょう。
カップを折りたたんでキープする練習
まずカップを手にとったら、つぶしたり、半分に折ってみたり、裏返してみたり…と、とにかくたくさんカップを触ってください。
そうすると、カップの上部と下部で弾力が異なることや、リム(縁)の分厚さ、折りたたんだあとに元の形に戻る反発力の強さなど、カップの特徴を指の感覚で理解することができます。
次に、カップを正しく折りたたむ練習をしましょう。
筆者の経験から、おすすめの折り方は「Cフォールド」「パンチダウンフォールド」「セブンフォールド」の3つです。
挿入や取り出しを安定させるには、指の力が少し必要になるので、カップを折りたたんだあとは、2本(または3本)の指で形をキープする練習もしてみてください。
「折りたたむ→指をカップの下部に移動→そのままキープ」の動きをスムーズにできるようになったら、OKです!
折りたたみやすいフォールドや、挿入しやすいフォールドは、カップの大きさやブランド、個々の感覚、使い方の上達具合などによって変わってくるので、最初のうちに3つともよく練習しておくことをおすすめします。
利き手と反対の手を使った月経カップのイメージトレーニング
腟の外での月経カップのイメージトレーニングは、自分の手を腟に見立てた、誰にでもできる簡単な方法でできます。
腟の外でスムーズにできないことを、目で見えない腟の中で行うのはむずかしいということは想像できますよね。
ひとつずつ段階を踏みながら、カップを使うときのイメージをふくらましていきましょう。
(1)カップを挿入するイメージトレーニング
筆者は右利きなので、左手を腟に見立てて挿入の練習を行います。
【準備】
① 左手(利き手ではない手)で筒状の輪を作ります。輪の大きさはカップの直径と同じか、少しせまいくらい。5本の指はすべて力を抜いてリラックスしましょう。
② 親指とひと差し指側が下になるように、腕を少しひねります。
【挿入】
① カップを好きなフォールドに折りたたみ、形をキープしたまま指先で保持しましょう。
② 左手の輪を準備し、カップの先端から斜めの角度で、挿入していきます。カップを保持している指先を少しスライドさせて、カップを回転させながら挿入するとスムーズに入っていきます。このとき、輪を作っている左手の力はゆるめないようにしてくださいね。
③ カップ本体の3分の2(指の第二関節)くらいまで入ったら、指を離しカップを開かせます。そのとき、挿入された左手の輪の親指側から見ると、ちょうど腟の方からカップを見ていることになります。筆者はこれを「腟ビュー」と呼んでいます。
カップの底部にゆがみを感じた場合は、以下のいずれかの方法で、カップを完全に開かせましょう。
- カップの底部をつまみ、カップを半回転させる
- カップの底部をポコポコと数カ所押してみる
- カップの底部をつまんで、小刻みに押したり引いたりしてみる
⑤ 左手の輪の中で、カップがパコッと開いた感覚があり、腟ビューからカップの底が丸くなったことを確認できたら挿入は完了です。
まれに、挿入して指を離したら何もしなくてもパコッとカップが開くことがありますが、それでもほとんどの場合に、挿入後の調整が必要になります。左手の輪を少しきつめにセットし、わざとゆがみを作った状態にして、そこから完全に開かせる練習もしておきましょう。
(2)カップを取り出すイメージトレーニング
次は同じように、左手を腟に見立てて、取り出しの練習をしていきます。
私たちは、腟の中に入っているカップを見ることはでないため、実際にカップを使うときは腟の中を頭の中でイメージしながら、挿入や取り出しをしなければいけません。
取り出しでは、子宮側からカップを見る「子宮ビュー」がポイントになります。
子宮ビューとは、腟ビューとは反対側の左手の小指側からカップを見たときのビューのことです。
手をかなりひねらないと見えないなので、鏡を使って確認することをおすすめします。
【取り出し】
① カップが完全に開いて装着されている状態の子宮ビューを見て、カップのリムはきれいな丸になっていることを確認してください。
② カップを取り出すために、ステムをそっと引っ張って、カップ本体の下のほうの3分の1くらいが外に出てきたら、親指をぐっと押し込みます。
③ 押し込んだ親指の両脇を支えるように、ひと差し指と中指でカップを保持します。このとき、カップのリムの形が「U」の字になるくらいまで押して、カップを手のひら(腟壁)から離し、密着を解除するのがポイントです。
月経カップの底部を親指でつぶして腟壁との密着を解除する「子宮ビュー」。腟側から見ると、手のひら(腟壁)との密着が解除されたことがわかります。
④「U」の形をキープしながら、斜め下の方向に取り出します。途中で「U」の形が崩れると、輪の入り口(腟口)でリムが引っかかりやすくなります。これが取り出しの際に痛みや違和感の原因になるので、気を抜かずにカップが完全に外に出てくるまで指でしっかりと「U」をキープしましょう。
さいごに
カップが挿入しづらかったり、取り出せなくなったりする理由の多くが、不安やパニックによるものです。
私たちは腟の中の世界を見ることができないからこそ、事前に折りたたむ練習をしたり、左手や鏡を使って、腟の中でのカップの動きをイメージすることがとても大切になります。
また、すでにカップユーザーで挿入や取り出しがうまくいかないと感じている方も、このイメトレの方法でひとつひとつの動きを確認していただければと思います。
ぜひ自信がつくまで何度も練習してみてくださいね!
今回ご紹介したイメトレの方法は、YouTubeの動画でもご紹介しています。合わせてご覧ください。