生理カップの素材は本当に安全なの?

2019.07.08

生理カップ(月経カップ)の選ぶ際にチェックしたいポイントには、形、サイズ、やわらかさ、カラーなどいろいろあると思います。

特に、生理カップは膣内に装着して使用するため、腟の粘膜に長時間触れるものだけに、どのような素材が使用されているのかは気になりますよね。

主な生理カップ(月経カップ)の素材には、シリコーンとTPE(熱可塑性エラストマー)があります。

今回は、生理カップに使用されている素材の特徴や安全性についてみていきましょう。

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そもそもシリコーンって何?シリコンとは違うの?

シリコーンが使われている製品のことを、一般的には「シリコン製」などのように「シリコン」とひとくくりで呼ばれることが多いですが、正確には、シリコーンとシリコンは全く別のものです。

シリコンとは
元素の種類であるケイ素のこと。地球上の地殻の約28%はケイ素の元素からできていて、その量とは酸素についで2番目に多い元素です。石や砂はケイ素の酸化物です。つまり、シリコンとは形にはなっていない元素のことなのです。

シリコーンとは
自然界に存在しているケイ石に、人工的に化学反応を加えたものが原料になる化合物。その中で、有機基の結合しているケイ素が酸素と連なってできている高分子化合物をシリコーンと呼ぶそうです。シリコーンは天然には存在しない物質です。

 

つまり、シリコンはシリコーンを形づくるための元素であるケイ素で、シリコーンはケイ素であるシリコンと酸素、炭素、水素などを使って繰り返し結合された高分子化合物のことです。

シリコーンの科学的安定性は、ずば抜けており、さまざまな条件や環境において他の物質と化学的に反応しにくいという特徴があります。

シリコーンは、外部から熱や摩擦などの多様な攻撃を受けても変質しないうえ、生体適合性(材料を生体内に使用した際に、材料が生体に優しく副作用など有害な影響を与えない)をもっているため、万一誤って食べてしまっても人体には害がないといわれており、医療、食品、化粧品関連の分野に多く使用されています。

みなさんもよく知っているものでは、美容整形手術などで胸や鼻などにシリコーンゴムを埋め込んだりしていることもシリコーンの安全性を示していますよね。

 

シリコーンは何年、何十年もその性質が変わりづらいといわれています。

また、アレルギー反応もほとんど起きないことでも知られており、シリコーン製の生理カップは、タンポンのようにTSS(トキシックショック症候群)を発症するリスクがほぼないといわれています。

一方で、最近出回るようになった中国製などの激安生理カップの中には、「医療用グレード」よりも安全性の低い「食品グレード」のシリコーンを使用していたり、「医療用グレード」を使用していても100%ではなくその他の原料と混ざっている場合があるので注意が必要です。

 

参考:

「シリコーンとは」SIAJシリコーン工業会

山谷正明監修「シリコンとシリコーンの化学」信越化学工業(2013年)

 

シリコーンとTPE(熱可塑性エラストマー)のどっちがおすすめなの?

生理カップに使用される素材には、シリコーンの他にもTPE(熱可塑性エラストマー)があります。

どちらも優れた素材で、外観は一見どちらも同じように見えるのですが、実は全く違う特徴をもっています。

 

TPE(熱可塑性エラストマー)

  • 素材そのものがシリコーンと比べて安価。
  • 製造工程が少なく迅速な加工が可能なため、エネルギー消費が抑えられる。
  • 使用後に溶かしてリサイクル可能。
  • 軽くてやわらかい。
  • 時間が経つと形状が失われやすい。
  • 色移りやニオイ移りがしやすい。
  • 耐熱性、耐油性、耐摩擦性が低く、劣化が早い。

 

シリコーン

  • 素材そのものがTPEより高価。
  • 製造工程の最後にシリコーンを硬化させるためのコストがかかる。
  • 形状を維持できるため長年変形しにくい。
  • 耐熱性、耐久性が高く、長年劣化しにくい。

 

シリコーンのなかでも「医療用シリコーン」は、添加物や不純物を含まず、医療用としての品質保証されたもので、ISO 10993-1 および USP Class VI (選択試験)により生体適合性(材料を生体内に使用した際に、材料が生体に優しく副作用など有害な影響を与えない)が立証されています。

これらの情報から、TPEは製造の容易さ、リサイクル可能性および材料コストが安価であることにより量産における生産性が高いことが最大のメリットかもしれません。

一方、医療用シリコーンは、製造コストは高いですが、他の素材とは比較にならない優れた生体適合性、商品の寿命と安定性など、生理カップを使用するお客様にとって、より多くのメリットがあると考えています。

 

まとめ

今回は、生理カップを選ぶ際に重要なポイントとなる生理カップの素材についてご紹介しました。

私たちの皮膚や粘膜からの吸収について、腕の皮膚と比べて頭皮は3.5倍、口の中の粘膜は10〜20倍、腟の粘膜はなんと42倍も吸収率が高いといわれています!

私たちは、女性の身体にやさしく、より長く安心して使用していただける生理カップを提供したいという想いから、「エヴァカップ」と「スーパージェニー」は医療用シリコーン100%を使用しています。

最近は、TPEなど他の素材のカップを使用していたお客様が、におい移りや色落ちを気にして、医療用シリコーン製のカップに買い替えている方もいらっしゃいます。

実際に、筆者はエヴァカップとスーパージェニーを2年ほど愛用していますが、におい移りや色落ちも全くなく、やや高価ではありますが、長い目で見れば、医療用シリコーンのほうが断然お得だなぁと感じています。

そして、生理カップを安全に使用するためには、素材選びだけでなく、清潔に使用することが重要です。

使用する際には、必ず手を洗って清潔にすること、長くても12時間ごとにカップを取り出してきれいに洗うことなどカップの正しい使い方を守ってくださいね!

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インテグロ株式会社  生理ケア&生理カップアドバイザー

1990年東京生まれ。筑波大学体育専門学群 卒業、中高保健体育教員免許取得。筑波大学人間総合科学研究科体育学専攻 博士前期課程 修了。

小さいときから身体を動かすことが好き。3歳から水泳を始め、約18年間競泳選手として活躍。大学院在学中は、スポーツを通じた国際協力としてNGOにてカンボジアの小学校の体育科教育の普及に携わる。また、日本では小学生から大人までの幅広い年齢層に水泳の指導を行う。

2017年生理カップと出会い、生理中の過ごし方や生理に対する捉え方が大きく変わり、生理カップを通じて女性がより快適で自由に過ごせるように、社会や家庭でアクティブに活躍する女性たちをサポートしたいと思うようになる。世界中の数十種類もの生理カップを試してきた経験から、生理カップの選び方や使い方、経血量やライフスタイルに合わせた生理ケアについて、アドバイスを行ったり、ワークショップを開催したりしている。

現在、女性の体や性教育、妊娠・出産・子育てについてより専門的な知識を身につけるため、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会(代表理事:丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄先生)主催「これだけは知っておきたい」講座を受講中。