月経カップを買ったけど、あきらめようかな。自分には合わないかも。という人へ
2021.04.02*2022年4月26日更新(挿入画像、挿入リンクを追加・更新しました)
ナプキン、タンポンに続く第3の生理用品といわれる、月経カップ。
2020年以降、テレビや雑誌、SNSなどで取り上げられることが増え、興味を持った数多くの女性たちがチャレンジし、使いこなせるようになっています。
インテグロ公式月経カップアンバサダーである筆者、梅つま子のもとに届くのは、「快適!もっと早く使っていればよかった!」「コツをつかめば簡単」「生理の不快さが減った」などなど、ポジティブなメッセージがほとんどです。
しかし、ごく少数ではありますが「私には使いこなせなかった」「もったいない買い物をした」「月経カップはやめた」と、あきらめてしまうケースもあります。
この記事は、購入したけど、うまく使えずにあきらめてしまった方、失敗して気持ちがくじけてしまった方などに、「あきらめないで!もう少しがんばれば、快適に使えるようになるかもしれませんよ!」という気持ちで書いています。
月経カップが難しいと思えるとしたら、それはなぜなのか、そしてどうしたらあきらめずにチャレンジできるか、考え方のコツを伝授します!
月経カップにちょっと興味がある方、これから使おうかなと思っている方にもぜひ読んでいただき、「月経カップってこういうアイテムなんだ!」と、心の準備をしてもらえたらうれしいです。
月経カップは「失敗しやすいアイテム」?
ネットショッピングのサイトをみると、総合評価が高くランキングの上位に入っている月経カップにも、少数ではあるもののネガティブなコメントが入っているのを見ることがあります。
ネガティブなコメントの背後には、何があるのでしょうか。
もちろん、体質などの問題で月経カップが合わないこともありますが、それは本当にごく一部。
大部分はもう少しがんばれば使えるようになりそうなのに、あきらめてしまうパターンのように感じます。
そんなレビューを見るたびに、「せっかく購入した月経カップを『高い勉強代だった…』で終わらせず、快適に使いこなせるようになってほしい!」という気持ちでいっぱいになります。
果たして、月経カップは失敗しやすいアイテムなのでしょうか?
もし、月経カップに、ほかのグッズと異なる特徴があるとしたら、それはどういう点なのかを次の章で考えてみましょう。
購入したときの気持ちは?
あなたが月経カップを購入した(あるいはこれから購入する)ときの気持ちは、下のA、Bのどちらに近いでしょうか。
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「よし、やってみよう!使いこなせるようになったら、どんなに快適だろう?」と、ワクワクしたポジティブな気持ち
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「私にできるかな…。失敗しないかな。痛くないかな」と、心配でドキドキした気持ち
もし、あなたの気持ちがBに近いとしたら、不安は不安を呼ぶもので、思い切って購入した後も、ネガティブな気持ちを払拭できない場合もあります。
「ポチってしまったけど、うまく使えるかな」「実際に手に入れてみたら、思ったより大きいんだけど、どうしよう」などと、気持ちが落ち着かなくなってしまうことも。
また、真面目な人ほど、「月経カップは、エコで体にも優しいと聞くし、有名人も使っているらしい。…私も使ったほうがいいかな?」などと、まだ心の準備ができていないのにもかかわらず、使ったほうがいいに違いないと思い込んで、義務感のような気持ちが芽生えてしまうことがあります。
月経カップにチャレンジしているときに、積極的になりきれず、心のどこかで「ほら、やっぱり使えなかった。…私には無理だったんだ!」というストーリーを予期してしまっていることも考えられます。
このような状態に陥ってしまうと、残念ですが、月経カップを使いこなすことができるようになる前に、あきらめることになりかねません。
無理に自信を持ってほしいとはいいませんが、使いこなせるようになった自分をイメージして、楽しく、明るい気持ちでチャレンジしたほうが、いい結果をもたらしやすいものです。
誰かに相談しづらい
月経カップユーザーはまだまだ超少数派なので、身の回りに月経カップを使っている人がいないケースの方が多いでしょう。
聞きたくても、聞ける相手がいないうえに、生理のことは話題はしにくいと感じる人もいると思います。
こうした場合、月経カップを使うことは、孤独なチャレンジになりがちです。
ましてや、腟まわりのプライベートゾーンは、人に見せられないどころか、位置的にも構造的にも、自分にさえよく見えない場所。
月経カップを使いはじめたとき、違和感があったとしても、その違和感の原因が何なのか、カップが腟の中でどうなっているのかがよくわからないし、うまく言葉で説明することも難しいものです。
誰かに相談したいなと思ったり、月経カップの使い方でつまづいたりしたときに、具体的な情報を知りたくても得られないので、「やっぱり、チャレンジするのをやめよう…」と思ってしまいやすい状況になると考えられます。
一番最初が一番むずかしい
月経カップの「腟の中に入れること」「使い捨てではないこと」などの特徴は、特にナプキンユーザーには目新しく映るはず。
これまでやってこなかったことなのですから、「自分にはむずかしいかもしれない」と思えても当然です。
さらに、腟は緊張すると周りの筋肉も締まってしまい、月経カップはさらに中に入れにくく、取り出しにくい状態になってしまいます。
つまり、月経カップのチャレンジは、多くの場合、「一番最初が、一番むずかしい」のです。
もっとも不安で心細いときに、一番の難題を突きつけられているのですから、くじけたくもなりますよね。
それに、くじけたところで、逃げ道はあるのです。
それは、「もとの生理ケアに戻る」というチョイス。
忙しくて時間がない、何かにチャレンジする元気がないなど、状況によっては、がんばって使い続ける気になれず、「もとの生理用品を使おう」と思ってしまってもおかしくありません。
月経カップは「購入してからが本番」
月経カップは、生理用品としては高めの値段であり、購入にちょっと勇気のいるアイテムかもしれません。
長年迷って購入した場合などは、「買った!」ということだけで満足したり、力を出し尽くした気がしたりしてしまうことも考えられます。
しかし、月経カップは、買っておけばOK!のアイテムではありません。
むしろ、購入してからが本番なのです。
たとえば、初心者の方がギターを購入したら、「いつ練習するか」、「どれくらい練習するか」、「何の曲を目標にするか」などを考える必要がありますよね。
ゴルフでも、車でも、それがそれまでやっていなかったことを「習慣」にするには、技術や慣れ、そして、ライフスタイルに合わせたあわせた調整が不可欠なのです。
月経カップも同じです。
楽器やスポーツのように、期待通りにレベルアップしないようにみえるときもありながら、試行錯誤や研究をくり返して、上達していくものなのです。
そう、月経カップは、タオルやマグカップのように、「買ったらすぐに日常生活に取り入れられる」アイテムではないのです。
月経カップをあきらめてはいけない理由
月経カップがもし、「失敗しやすいアイテム」と思われているとしたら、ここまで見てきたように、「ネガティブな気持ちを持ちやすいこと」、「人に相談しづらいこと」、「購入後に時間をかけてレベルアップする必要があるアイテムであること」などが挙げられます。
「そんなに大変なの?…なら、チャレンジしたくない」と思われるかもしれません。
それでも、月経カップを手に取った方のほとんどは、実際に月経カップを使いこなせるようになっているのです!
そんなみなさんの共通点は「すぐにあきらめず、くり返し使ってみる」こと。
月経カップアンバサダーとして、月経カップはどんなにあきらめたくなっても、「3クールは使ってほしい」と思っています。
それでは、月経カップを使いこなしている方々が、一体どのような過程を経て使い方をマスターしていったのか、一緒にみていきましょう。
月経カップに慣れるまでの「3ヶ月プラン」
月経カップはどんなにあきらめたくなっても、「3クールは使ってほしい*」と言いましたが、では、なぜ「3クール」なのでしょうか?
それは、月経カップが「いきなり使いこなせるようにはならないアイテム」だからです。
たとえ、はじめてチャレンジしたときに、うまく入って、うまく取り出せたとしても、「なぜうまくできたのか」を理解していなければ、次回チャレンジしたときにうまくいくとは限りません。
うまくいくとき、うまくいかないときの法則をつかむ必要があります。
その法則がわかってくるのが、だいたい3ヶ月くらいなのです。
*アレルギーや痛みなど、体に大きな負担がかかっている場合などは別です。そういう場合は、月経カップを購入したメーカーのカスタマーサポートや、婦人科の医師の指示を仰ぐ必要があります。
関連記事:
月経カップを使用しはじめたころ直面する問題点とその解決法をご紹介!入れ方編
月経カップを使用しはじめたころに直面する問題点とその解決法をご紹介!取り出し方編
月経カップを使いこなすための3つのチェックポイント
月経カップを使いこなす上でのチェックポイントは、大きく分けて3つあります。
ひとつずつチェックしていきましょう。
1. 基本テクニックのマスター
月経カップを手にしたらまずはじめにするべきこととして、カップの折りたたみ方をマスターすること、そしてどの折りたたみ方が自分に合っているかを、試して、見つける必要があります。
折りたたみやすいから入れやすいとか限りませんし、入れやすくても、開きにくいのはNG。
どんなに上手に入れられたとしても、腟の中でカップがパコっと完全に開かなければ、経血は漏れやすく、快適とはいえません。
「入れる、開かせる、取り出す」
この3つのアクションは、すべての月経カップユーザーがマスターすべき基本のテクニックです。
まずはこれらのアクションを、それほど時間をかけず、無理なくスムーズにできるようになるのが目標です。
そのためには回数をこなして、慣れる必要があります。
2. リセットの場所、タイミング
私たちは、経血が溜まった月経カップを取り出し、中身を捨て、再挿入することを「リセット」と呼んでいます。
月経カップは、経血量によって、平均して1日に1~3回ほどリセットする必要があります。
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場所はトイレにするか、お風呂にするか
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どんな体勢で行うとラクにできるか
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朝、昼、夜、どのタイミングでリセットするのがよさそうか
などを、自分のライフスタイルに合わせて、ざっくりとしたパターンを決めておくと、いちいち考えずに、スムーズに行動できるようになります。
どのやり方がベストなのかは人それぞれ。
「この人はこうやっているから、私もこうしなきゃいけない!」とは思わず、その日、その時々のスケジュールに合わせて、ぴったりのタイミングを見つけてみてください。
3. 仕事やおでかけ、旅行など、イレギュラーな状況での対応
普段は規則的な生活を送っているとしても、生活しているうちに、いつかはイレギュラーな状況が発生しますよね。
たとえば、急な出張や、旅行、子どもの行事など。
いつもと違うところでリセットする必要が出てきた場合は少し焦ります。
しかし、こうしたイレギュラーな状況での対応を一度でも経験しておくと、月経カップユーザーとしての自信がつきます。
家以外の不慣れな場所でリセットするときのお助けアイテムとして、トイレに流せるウェットティッシュや、水を入れたミニボトルなどを使うユーザーもいます。
イレギュラーな状況なときに、どんなアイテムがあるといいのかを考えて用意しておくと、ほぼどんな状況でも対応できる力が身につきます。
ぶっつけ本番が不安な場合は、家のトイレを外出先のトイレだと想像し、あえていろいろなアイテムを試して練習しておくのも有効だと思います。
関連記事:
月経カップを使うと手が汚れる!?手指につく経血を最小限にする方法
トライアンドエラーで自分のベスト見つけよう
どんな技術もそうですが、月経カップのスキルも、トライアンドエラーをくり返して身についていくものです。
もちろん、ネットにあるブログや動画などの情報で、あらかじめコツを知っておくことはできます。
そうすることによって、最短距離をねらうことはできます。
しかし、それはあくまでも、そのブログや動画を投稿した「その人の場合」なのです。
誰かにとってベストだとしても、自分にとってのベストとは限りません。
自分の体や、自分のライフスタイルに合っているかどうかは、実際に月経カップを使ってみて確かめていく必要があります。
そのための、3クールなのです。
長く使えば使うほど、よさを体感できる
ここまで読んでいただき、「月経カップを使いこなすのは、意外と大変だ」と思われたでしょうか。
月経カップは、確かに「誰にでも、すぐ使える」と約束できるアイテムではありません。
月経カップと過ごす生理期間に慣れて、月経カップを使いこなせる自信がつくまでは、不安かもしれません。
しかし、修行のような苦しい道のりだと思わずに、自分を信じて、できるだけ楽しい気持ちで、この期間を過ごしてほしいと思っています。
使っている生理用品を変えるというのは、人生にそう何度もある経験ではありません。
変化を恐れず、新しい生理用品に向き合っている自分を誇らしく思ってほしいと思います。
自分の体の状態を知ることができることや、毎月の生理用品のゴミが出なくなることなど、月経カップを使うことで得られるメリットは計り知れません。
また、長く使えば使うほど、そのよさを体感できるアイテムです。
筆者は、3年間月経カップを使い、経済的な負担が軽くなったり、快適さを手に入れたりしただけではなく、生活や考え方まで変わってきました。
これは、月経カップを使い始めたころには気づかなかった月経カップの魅力です。
関連記事:
快適だけじゃない。カップ歴3年の40代主婦が感じている、月経カップのプライスレスなメリット
使えるようになるまでのジャーニーを楽しもう!
この記事では、月経カップの難しさも正直に書いてきました。
それは、月経カップの特徴を正しく知ったうえで、それでも月経カップにチャレンジしてほしいと願っているからです。
せっかく思い切って手に入れたのに、途中であきらめて終わらせてほしくありません。
月経カップについて調べ、購入する時点で、あなたにはすばらしい勇気があるのです。
「うまく使えないな」と思っているのは、あなただけではありません。
多くのユーザーが、挫折しそうになりながら、トライアンドエラーをくり返し、コツをつかんでいきました。
月経カップは、生理とともに生きる女性の大きな味方です。
ぜひ使いこなせるようになって、新しい生理の世界を知ってみませんか。
「1回の使用でカップを自分のものにしてやる」と思わずに、長い目で付き合ってほしいです。
難しいからこそ、使いこなせたときの喜びも大きいものです。
あなただけの、月経カップ。ぜひ使えるようになるまでのジャーニーを楽しんでくださいね!
関連記事:
はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと①:月経カップの特徴や構造を理解する
はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと②:自分の体のしくみを理解する
はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと③:腟の外で行うイメージトレーニング