新しい生理用品「月経カップ」とは?メリットとデメリット

*2024年10月29日更新

女性なら誰でも長い年月付き合っていかないといけない生理。生理が来るたびに腹痛や頭痛、気分の落ち込み、不安感など、さまざまな不調に悩まされる方が多いのではないでしょうか。

ナプキンやタンポンは、生理中の女性にとっては必要不可欠のアイテムです。しかし最近、ナプキンやタンポンに替わる新しい生理用品「月経カップ」が登場してきました。

この新たな生理用品は、今後私たちの生理中の憂鬱を軽減してくれるかもしれません。

では一体月経カップとはどのようなものなのか、これまで使ってきたナプキンやタンポンとの違い、特徴、メリットやデメリットなどを整理して見ていきましょう。

新しい生理用品「月経カップ」とはどのようなものなのか

月経カップとは

名称

日本語では月経カップや生理カップ、英語では「Menstrual Cup(メンストラルカップ)」と呼ばれ、主に欧米ではさまざまな種類のカップが製造•販売されています。

日本でのカップユーザーはまだまだ少数派ですが、欧米ではユーザーも多く、種類も豊富。ナプキンやタンポンと同じように、薬局で気軽に手に取ることができる地域もあります。

特徴

大きさは大体ニワトリの卵くらいで、形は鈴型、V字型、丸型など、いくつかの種類があります。

素材には、医療用シリコーンや天然ゴム(ゴムアレルギーには不向き)が使用されているので、体内に挿入しても安心です。腟内で経血をキャッチするため、ナプキンのような蒸れやかぶれが発生することはありません。

さらに、経血が空気にほとんど触れないので酸化せず、生理中の大きな悩みのひとつである「臭い」の心配もありません。

正しく使用すれば、快適に生理中を過ごすことができる新しいアイテムとして注目されています。

耐久性

月経カップの寿命は、適切に洗浄•保管をすれば数年間から最大10年間程度使用できるという驚きの耐久性があります。

現在広く使われている生理用品は主に使い捨てですよね。

数年前に話題となった布ナプキンは、洗って繰り返し使えるため、エコ商品として今でも多くのユーザーがいると思います。しかしその耐久性については、使用方法にもよりますが5年程度。

また、汚れるたびに洗濯するため、普通の日でも1日4〜7枚(個人差あり)は所持しておく必要があるそうです。さらに経血の汚れをしっかり取るには、通常の洗濯洗剤ではないアルカリ性の洗剤を使用したり、浸け置きをする必要があったりします。

身体と環境にはよくても、かなりの手間がかかりそうです。

その点、月経カップは水でサッと拭いたり洗ったりするだけで再使用可能ですし、生理中は1日1回低刺激性の石けんで洗浄すれば大丈夫です。

最近では、医療用シリコーン製の月経カップのために作られた洗浄剤ディーバウォッシュ」もあるので、初心者でも簡単にカップのお手入れをすることができます。 

ナプキンとタンポンとどう違うのか

月経カップの基礎知識がわかったところで、さらに具体的に今使っているナプキンやタンポンと月経カップにはどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。

ぶら下げた生理用ナプキンとタンポン

ナプキンのメリットとデメリット

ナプキンのメリットは、比較的安価で手に入り、どこでもだれでも簡単に使用できること、そして使用後はすぐに捨てられる手軽さでしょうか。

これまで初めての生理のときに母親からナプキンを渡されて以来、「生理=ナプキン」ということに、何も疑いも待たない環境で育った私たちとしては、あらためてそのメリットを考えたことが少ないかもしれません。

一方、デメリットはすぐにいくつか思いつきます。

  • 経血の量や季節などによって蒸れが生じて不快である
  • 長時間蒸れることで、かぶれやかゆみ、かぶれが出ることもある
  • 臭いが気になる
  • 動いているうちにナプキンがずれて漏れることもある
  • 量が多い日は頻繁に交換する必要がある
  • 朝起きたら漏れていて、洋服や布団を汚してしまうことがある
  • 荷物がかさばる
  • ナプキンに使われる化学物質が身体に悪影響を与えるのではないかと心配

などなど女性は常にこれらの悩みと共に生理中を過ごしていることでしょう。

タンポンのメリットとデメリット

タンポンのメリットは、ナプキンよりも長時間の使用が可能なことでしょうか。腟内で経血を吸収することから、入浴や水泳時に使ったことのある方も多いと思います。

個人差はありますが最大8時間使用可能な製品が多く、看護師やキャビンアテンダントなど、自分のタイミングでトイレに行けない職種や、スポーツをする女性などには重宝されている製品なのではないでしょうか。

本体の先には紐がついているので取り出しも簡単ですよね。

しかしデメリットとしては、量が多い日は4時間程度で本体の吸収量のキャパをオーバーしてしまい、紐を伝って漏れてしまうこと。過多月経の場合は、2時間程度で交換が必要なこともあるようです。

そもそも腟内に筒状のものを挿入することに抵抗がある方も多いと思います。

長時間放置することによって腟内が不衛生になり、トキシックショック症候群(次項で説明)という病気を引き起こす危険性もあります。

トキシックショック症候群

トキシックショック症候群(以下:TSS)とは敗血症の一種でごく稀な病気ではあり、男性、女性、子供、高齢者の誰もがかかる可能性のある感染症です。

TSSは黄色ブドウ球菌によって引き起こされ、急な発熱や吐き気、失神に近い症状が出ることもあります。

ここで驚くのがTSSはごく稀な病気でありながら、発症した患者の半数がタンポン使用者であることが研究の結果から分かっています。

タンポン使用とTSSの関連性は明らかになってはいませんが、少なくとも要因があることは示唆されています。(参考:一般社団法人 日本衛生材料工業連合会(JHPIA)HPより)

普段なにげなく使用している生理用品ですが、使い方を誤ると命に関わる危険性があることを念頭においておきましょう。

参考:「TSS(トキシックショック症候群」について」 一般社団法人日本衛生材料工業連合会

月経カップ使用時におけるメリット•デメリット

ナプキンやタンポンのメリットやデメリットをあらためて整理しました。

ではここから、新しい生理用品「月経カップ」のメリットとデメリットについて解説していきます。 

メリット

(1)長時間使用可能

月経カップは製品ごとに差がありますが、ナプキンやタンポンよりも長時間使用が可能となっています。

筆者がおすすめするエヴァカップスーパージェニーディーバカップは最大12時間まで連続使用が可能です。

経血量には個人差があるので、量が多い日はもう少し短い時間でリセットする必要がありますが、ナプキンやタンポンよりも長い時間を安心して過ごすことができるため、確実にトイレに行く回数を減らすことができます。

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(2)蒸れたりかぶれたりせず快適

月経カップは、腟内にカップを挿入し、腟内で経血を溜める仕組みになっているため、下着の中が蒸れたりかぶれたりする心配がありません。

正しい位置に装着できれば、違和感も漏れもなく、普段と同じように過ごすことができます。

生理のたびに肌がかぶれてツライという方に特におすすめです。

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(3)臭いが気にならない

生理中気になるのが「臭い」という方は多いのではないでしょうか。

この臭いは、経血が空気に触れて酸化することで発生します。月経カップは取り外すまで経血が空気に触れることがないので酸化することがありません。したがって臭いを気にせず使うことができます。

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(4)長期間使えるため、お財布にも優しく、エコ

使用方法や頻度によりますが、月経カップは正しく洗浄•保管すれば数年間から最長10年間程度使用できるともいわれています。

毎月ナプキンやタンポン、必要によってはサニタリーショーツなどを購入し続けることを考えるとお財布にはかなり優しく、さらにゴミを出さないため地球環境にも優しくエコです。

2020年以降、ようやく日本でもエコの意識が高まりレジ袋が有料になりましたよね。なんと、ナプキン1枚作る工程で、レジ袋約4枚分のプラスチックを使用しているのはご存知ですか?

私たちは、生理用品を月経カップに変えるだけで、地球環境に大きく貢献できるのです。

 

(5)荷物が減る

楽しみにしていた友達とのおでかけ、パートナーとのデート、温泉旅行、海外旅行などなど…大事なイベントに生理が重なってしまった経験は誰もがあると思います。

ただでさえ荷物が多いのに、それに加えて生理用品を過不足なく用意しなくてはいけません。それだけでうんざりしますよね。

しかし月経カップはポーチやカバンのポケットにひとつ入れておくだけで済み、荷物がかさばりません。移動中や宿泊先で漏れの心配もなく楽しむことができるでしょう。

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デメリット

(1)慣れるまでは練習が必要

ピンポン球サイズの月経カップを、見えない腟の中に挿入することは正直なところ最初は難しく、慣れるまでは少し辛抱が必要です。

腟がどこまでも続いている道のように感じて、取れなくなったらどうしようという心配もあると思いますが大丈夫。個人差はあるものの、腟の長さは平均で7〜10センチと言われています。

指1本分くらいの長さなので、体の中で月経カップが迷子になることはありませんし、月経カップの装着位置は、タンポンよりも手前なので思ったよりもすぐそこにあります。

慣れた先にはこれまでにない快適さが待っていると信じ、根気強く何度かトライすることをおすすめします。

インテグロの調査*によると、3サイクルほど使用すると約80%の人がスムーズに使えるようになることがわかっています。 

 

(2)手が汚れる

トイレで月経カップを取り出す際、どうしても指が汚れてしまいます。自宅ならまだしも外出先のトイレでの処理は慣れるまで難しいでしょう。心配な方はウエットティッシュを用意しておくと安心です。

自宅であればシャワーの時間にカップの洗浄とリセットを同時におこなってしまうと、汚れてもすぐに洗えるので楽チンです。

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(4)初期投資がかかる

月経カップは種類にもよりますが安くても3000円以上はします。数百円で手に入れられるナプキンに比べたらかなり高価な印象を持つでしょう。

しかし今後数年間使用できると思えば、十分に元は取れると思いませんか?

月経カップの使用上の注意点

(1)1日1回は洗浄する

生理期間中、少なくとも1日1回は石けんで洗浄してください。石けんは低刺激性のものをおすすめします。

もし、どの石けんを使ったらいいか不明な場合は、月経カップ「ディーバカップ」用の洗浄剤「ディーバウォッシュ」がおすすめです。

ディーバウッォッシュは医療用シリコーン製の月経カップのために作られた洗浄剤のため、ディーバカップに限らず、エヴァカップスーパージェニーなど、全ての医療用シリコーン製の月経カップにも使えます。

植物由来・天然成分100%で、抗菌成分、漂白剤、オイル、合成香料、パラベンや石油系界面活性剤を使用していないため、月経カップの素材を傷めたり、腟に刺激を与えることはありません。

腟のpHに合わせた弱酸性で、腟の健康を保っている常在菌のバランスを崩さないように考慮して作られています。

(2)無理に取ろうとしない

タンポンのように先に紐が付いていないため、取れなくなったらどうしようという心配があると思います。だからといって無理やり取ろうとしないでください。爪で腟内を傷つけたり、ステムの破損の原因となるので注意してくださいね。

腹圧を入れながら排便をするときのようにいきむと、月経カップのステム(尻尾)部分を指先で確認することができます。

(3)使用前後は手を洗う

月経カップの挿入•取り外しの際は腟内に指が触れることになります。腟には常在菌による自浄作用がありますが、快適に過ごすためにも、カップを扱う手指はいつも清潔にしておきましょう。

トイレを出たあとは誰でも手を洗うと思いますが、カップを使う場合は、トイレに入る前にも手を洗いましょうね。

まとめ

新たな生理用品「月経カップ」について、その特徴、従来のナプキンやタンポンとの違い、そのメリットとデメリットについて説明してきました。

初期投資が思った以上にかかるかもしれませんが、長い目でみればコスパは最高。

これまで生理が憂鬱でしょうがない、特に蒸れやかぶれなどに悩んでいる方、経血量が多くていつも漏れを心配している方、エコに興味関心のある方、いろいろなことにアクティブに活動している方はぜひトライしてみてください。 

まずは、月経カップの特徴、使い方などについて動画をチェック!

 月経カップ使用歴約3年の梅つま子さんがまとめた、快適だけじゃない。カップ歴3年の40代主婦が感じている、月経カップのプライスレスなメリットもおすすめです。

月経カップはただ快適なだけではなく、長年使ってきたからこそ感じるメリットや発見、心境や生活の変化を、「プライスレスなメリット」という視点で紹介しています。

ぜひ参考にしてみてください。

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