月経(生理)って何? 何で起こるの? 知らないとチコちゃんに叱られます!
2019.08.15月経(生理)って何か知っていますか?月1回出血があって大変だとか、面倒だとか、思っていませんか?なかには月経痛(生理痛)で苦しい期間と思っている人もいるかもしれません。でも、月経のしくみを知ると、自分の体が愛おしくなると思います。そして、不調対策や予防にも役立てられます。月経がどのように起こるかを紹介します。
文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)
月経の出血と一緒に体の外に出てくるものは何?
子宮の内側にある子宮内膜は、妊娠するととても厚くなり、胎盤の一部になります。胎児期の赤ちゃんを育てるフカフカのベッドになるのです。
毎月、子宮内膜は、受精卵がやって来て、着床する準備をして待っています。
妊娠しなければ、このフカフカのベッドの子宮内膜は剥がれ落ちて、出血と一緒に腟を通り、体の外に出てきます。これが月経です。
子宮内膜は、毎月、お掃除されて新しくなるのです。
この月経は個人差がありますが、平均28日前後、多くの人は23~35日の周期で、月経の出血を繰り返します。このことを月経周期と言うのです。
月経は、脳と卵巣のネットワークで起こる出血!
月経は、女性の体内でいろいろなホルモンが正常に、かつ周期的に、分泌されることによって起こる自然の出血です。
このことを性周期といいます。
性周期は、脳の視床下部、脳下垂体、卵巣から分泌されるホルモンがお互いにコントロールし合うことによって、正常に繰り返されています。
視床下部や脳下垂体から分泌されるホルモンは、卵巣のホルモン分泌をコントロールしていますが、同時に卵巣から分泌されるホルモンによって、コントロールされています。これをフィードバック機構といいます。排卵や月経などの女性の性周期は、脳と女性の性器を繋ぐホルモンのネットワークによって、正常の周期を保ちながら維持されているのです。
脳の視床下部⇒脳下垂体⇒卵巣⇒そして、女性ホルモンが分泌!
視床下部から、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌され、これが脳下垂体を刺激します。
その刺激によって、脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)という2種類の性腺刺激ホルモンが分泌されます。
この2つのホルモンは、血液の流れに乗って、卵巣に到達し、卵胞を刺激します。
卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて、卵巣のなかにある卵胞は、成熟し始めます。女性ホルモンのエストロゲンが分泌するのは、このときです。
そして、このエストロゲンが子宮内膜に働きかけて、子宮内膜の細胞の増殖が開始! 子宮内膜は、受精卵のベッドを作るために、徐々に厚くなっていきます。この時期は、“増殖期”と呼ばれています。月経が終わり、排卵が起こるまでの間の時期です。
排卵が起こるのは、エストロゲンが脳に働きかけるから
次に、このエストロゲンが脳下垂体に働きかけ、脳下垂体は一気に大量の黄体形成ホルモンを分泌します。
この黄体形成ホルモンの刺激で、卵巣では、“排卵”が起こります。排卵とは、卵胞の中にあった卵が、卵巣の外に飛び出すことをいいます。
排卵して、卵が飛び出した後の卵胞は、今度は“黄体”という組織に変わります。
黄体からは、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが分泌されます。プロゲステロンが分泌されると、子宮内膜は増殖するのを止め、受精卵が着床する準備状態に入ります。
妊娠すると、黄体はさらに大きくなって、大量のプロゲステロンを分泌します。
妊娠しなかったときには、黄体は少しずつ小さくなり、14日ほどで消えていきます。
それと同時に、エストロゲンとプロゲステロンの分泌もなくなり、やがて子宮内膜がはがれ落ちて、出血が始まり月経が来ます。これが月経のサイクルです。
このように、性周期が毎月、繰り返されているのが、20代から40代の女性です。この時期は、妊娠・出産が可能な“性成熟期”と呼ばれています。
私たち女性の体は、妊娠に備えて毎月毎月、体の中を整えて待っているのです。妊娠しなかったときに、整えていた体をリセットして、また次の妊娠に備える…これが月経。なんだか自分の体が愛おしくなりませんか?
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参考文献
『新版 知っておきたい子宮の病気』上坊敏子(新星出版社)