布ナプキンとは?気になるメリットとデメリットを理解しよう!
2020.12.08
現在、日本で販売・使用されている生理用品は、紙ナプキンが主流です。
紙ナプキン、タンポンといった使い捨て生理用品がメインであるなか、近年、布ナプキンの存在も知られるようになってきました。
布ナプキンは、従来の紙ナプキンでは肌がかぶれてしまう敏感肌の方や、天然素材などナチュラルなものをチョイスしたい方など、体のケアに関心の高い方から特に注目されているようです。
さらには、ゴミを減らしたいと考えているエコ志向の方、生理用品を毎月買いに行ったり、トイレにおいて管理する手間から解放されたい方からも関心を集めています。
でも、使い捨てではなく、洗って再利用できるってどういうこと?布なのに、漏れないの?などといった疑問や不安もありますよね。
この記事では、これから布ナプキンを使用してみたいと思っている方のために、布ナプキンを6年間使用してきた筆者、梅つま子が、布ナプキンの種類や使い方、メリット・デメリットなどについてご紹介します。
布ナプキンとは?
布ナプキンは、その名のとおり布でできたナプキンのこと。生理用品の一つです。
ネットショップでは専門店もありますし、ハンドメイド通販サイトなどでも販売されています。
そのほか、ドラッグストアやオーガニックを扱う実店舗などでも最近では見かけるようになってきました。
布なので、洗って乾かすことで、何度も使用できます。
表面に使われている布は、綿や麻が主流で、綿にはガーゼやネル、リネン、パイルなどの生地タイプがあり、肌触りの好みで選ぶこともできます。
かわいい色や、おしゃれな柄の布で作られたナプキンなどもあり、バリエーションも豊富です。
布ナプキンの使い方
布ナプキンの使い方は、基本的に紙ナプキンのようにショーツに当てるだけでOK。
生理が始まったときや、始まる少し前のタイミングで、ショーツにセットしておきます。
経血は布ナプキンに染み込んでいくので、トイレに行くたびに布ナプキンの汚れ具合を確認し、取り替えたいなと思ったタイミングで新しい布ナプキンに取り替えます。
外出先の場合、使用済みの布ナプキンは、汚れた面を内側におりたたみ、ビニール袋などに入れて持ち帰ります。
臭いや汚れ防止のため、ジップ付きの密閉できる袋だと安心です。
布ナプキンの種類
紙ナプキンに、「昼用・夜用」「羽根つき・羽根なし」などの種類があるように、布ナプキンにもいくつかの種類があります。
紙ナプキンのようにポリマーを使っていないので、吸収量は布の大きさ・厚さに比例します。
防水布が入っているタイプは、経血が漏れるのを防ぐので、量が多い日や夜にオススメです。
羽根つきタイプ(一体型)
紙ナプキンと似たような形をしています。
紙ナプキンのような粘着シールがついていない代わりに、サイドのスナップボタンでショーツのクロッチ部分をくるみ、パチンと留めます。
製品によって、リバーシブルのものや、肌に触れる面が決まっているものがあるので、使用前に確認しておきましょう。
ホルダーとパッドタイプ
布ナプキンの本体(左)とパッド(右)が分かれているタイプです。
本体のホルダー(写真ではレース部分)に、パッドを挟んで使います。
パッドはリバーシブルになっているものが多いので、汚れたらひっくり返して使うことも可能です。
プレーンタイプ
プレーンタイプは、別名ハンカチタイプともいわれています。
その名のとおり、四角い布の形をしているので、三つ折りや四つ折りなどして細長くし、紙ナプキンと同じようにショーツに当てて使います。
テープはついていないので、ズレが気になる場合は、羽つき一体型のホルダーに挟んで使うこともできます。
プレーンタイプは、汚れたら折り返すことで1枚で2回使用が可能です。
布ナプキンの洗い方
使用した布ナプキンには、当然ながら経血がたっぷりと染み込んでいます。
筆者は、布ナプキン販売サイトなどを参考にしながら、以下のように洗っていました。
-
経血を流水で洗い流す
血液は温かいお湯を使うと凝固して、汚れが取れにくくなるので、40度以上のお湯は使いません。 -
セスキ炭酸水の溶液につけおきする
布ナプキンを軽く絞ってみて、経血が出てこなくなったら、1リットルくらいの容量に水を溜めます。
このときに、「セスキ炭酸ソーダ」を小さじ1杯(5グラム)程度入れ、1時間程度つけおき洗いします。
*セスキ炭酸ソーダとは
セスキ炭酸ソーダは、重曹と炭酸ナトリウムで構成された「アルカリ剤」で、合成界面活性剤(石油系合成洗剤)に比べて環境負荷が低いのが特徴。そのため、ナチュラルクリーニングの素材として使用されます。
-
すすぎをする
溶液を捨て、容器に水を溜めなおして2,3回すすぎをします。 -
洗濯機で洗う
他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗います。
(ネットに入れることを推奨している布ナプキンブランドもありますが、私は使用していませんでした。) - 干す
- 布ナプキンの形を整え、干して乾燥させます。
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布ナプキンのメリット
筆者は布ナプキンデビューをしてから、たくさんのメリットに気づきました。
- ゴミが出ない
- 生理のたびにナプキンの買い置きを確認しなくて済む
- 自分の生理を大事に扱っている気持ちになれる
- 経血がとてもたくさん出ていることに気づく
- 市場に流通している生理用品が、一番よい、一番自分に合うとは限らないと知る
- 尿漏れやおりもの用にも使える
- パンツが直接汚れない
多い日は当然、経血がたっぷりと布ナプキンに染み込みます。
洗面台が血の海のようになりましたが、そのことさえ、「自分の体からこんなに経血が出ているとは…!」と、新しい発見をしたように思いました。
こんなに出血しているのだから、普段と同じようにがんばれなくて当然だと、自分をいたわる気持ちも生まれましたし、お気に入りの柄の布のナプキンを身に着けていることで、気分もアップしました。
今まで当然のように紙ナプキンを使ってきたけれど、TVでたくさん宣伝されているものや、スーパーやドラッグストアに並んでいるもの以外にも選択肢があるんだ!と知ったことも新鮮な驚きでした。
また、産後の尿漏れが心配な時期でもあったので、生理の期間ではなくても布ナプキンを当てておくことで、もしものときにも安心感がありました。
布ナプキンのデメリット
たくさんのメリットがあった一方で、紙ナプキンのときには感じなかったデメリットもありました。
- 遠くへの外出、長時間の外出がしづらい
- ズレる、落ちる
- 蒸れる、ニオイが気になる
- ゴワゴワし、タイトな服が着づらい
- トイレのたびに取り替えたくなる
- 洗い替え用に布ナプキンのストックが必要
- 乾きづらい
- すぐに洗わないとならない
- 外で干しにくい
多い日に外出が重なると、布ナプキンひとつでは間に合わず、かといって濡れた布ナプキンを持ち帰るのも大変で、出かけるのが億劫になってしまいました。
また、スナップボタンが気づかないうちに外れていて、ズレてしまったり、落としてしまうこともありました。
便器の横に落ちたときは、経血がついた面が下になると掃除が手間ですし、なんと、便器のなかにポチャンと落ちてしまう失敗もありました。
このときは気がついて、取り出すことができましたが、もしうっかり水を流してしまっていたら、便器の奥で詰まっていたかもしれません。
布ナプキンはコットンやリネンを使っているため、紙ナプキンのように、「ポリマーが吸収して、経血が逆戻りしない」ということはありません。
取り替えない限り、経血がついた布を再びデリケートゾーンに当てることになります。
それが嫌で、家にいるときはトイレのたびに取り替えたくなり、その結果、昼用の布ナプキンは5つ、夜用は3つも持つことになりました。
ある調査*では、平均で22枚持っているというデータもあるようです。
また、他の洗濯物のように「数日分まとめて洗う」ということができないため、使用済みの布ナプキンは基本的には、外したらすぐに洗うことになります。
特に、疲れている夜に洗い物が増えてしまうことは、ちょっと負担でした。
布ナプキンは日光に当てて干すことで殺菌効果も期待できるため、外干ししたいところでしたが、我が家のベランダは道に面しているため、人目も気になり、常に室内干しでした。
室内干しを繰り返していて、本当にきれいに洗えているのかは、自信のないところでした。
*山浦麻子(2015)「布ナプキンはじめてBook」泉書房
布ナプキンと産後の尿もれ問題
布ナプキンの機能やお手入れに関するデメリット以外に、私は布ナプキンの安心感に甘えて、産後の悩みであった尿もれ問題を見逃してしまったこともデメリットにあげられます。
布ナプキンをしていることで「多少の尿もれは平気!」と、安心感をくれましたが、これはプラス面もあった一方で、「布ナプキンをしているから、いいや」と、安易に考えてしまっていた面もありました。
なぜ尿もれが起きるのかといえば、産後は骨盤底筋にダメージを受けているからでした。
本来は、ダメージを受けた骨盤底筋をどう回復していけるのかを先に考えたほうがよかったのです。
骨盤底筋は、毎日のちょっとしたトレーニング(腟周りの筋肉を締める、緩めるを交互に繰り返す)で改善することができるのに、私は、布ナプキンをしていることで、尿もれ問題に向き合えていなかったのです。
布ナプキンという便利なアイテムに甘える一方で、本当はきちんと問題に向き合わないといけない、とも思っていました。
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「買い置き不要、洗濯不要の生理用品」との出会い
このように、布ナプキンには、メリットも多い反面、無視できないデメリットもありました。
メリットのうち、最もうれしかったのは、「買い置きが不要なこと」。
使おうと思ったら最後のひとつだったとか、逆に、まだたくさんあるのに間違って購入してしまい、棚に入りきらなかったり。
常に適量の紙ナプキンをキープしておくのは意外と難しいと感じていました。
買い置きのナプキンがなくなったときはすぐに買い物に行きたいけれど、天気や体調が悪くて外出しにくい。家族にも頼みにくい。といったこともあり、悩まされていたので、布ナプキンというすぐに使える生理用品が、いつでもそこにあるのは大きな安心材料でした。
一方で、最も大きなデメリットは「洗濯が大変であること」でした。
布ナプキンは、使用後はすぐに洗わなければなりません。
特に冬の時期は、手洗いが原因で、手荒れもひどくなってしまいました。
セスキ炭酸水ソーダは、適量を守ればそれほど肌に負担をかけるものとはされていませんが、すでに肌が乾燥しているときに、うっかり多めにセスキ炭酸水ソーダを入れてしまったりしたのが原因だったかもしれません。
セスキ炭酸水ソーダは粉末なので、こぼしてしまったり、子供がいたずらしないようにしまっておく場所が必要だったりと、少しわずらわしくも感じていました。
また、厚手の布だからそもそも乾きにくいものであるのに、きちんと乾かさないと雑菌やニオイの発生にもつながります。雨の日などは乾きづらいのも大変でした。
このように、布ナプキンはいいものだけど、自分のズボラな性格もあり、「清潔に使えるように習慣をキープするのは、厳しいかも」と次第に思うようになっていきました。
買い置きが不要で、洗濯も大変じゃない、夢のような生理用品があったらいいのにな…と思っていたころ、本当にそのような生理用品に出会いました。それが、月経カップです。
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月経カップと布ナプキンとの併用
月経カップは布ナプキンと同じく、繰り返し使用できる生理用品です。
医療用シリコーンなどの素材でできていて、小さめの卵のような大きさのカップです。
腟の中に挿入し、経血を溜めておくので、数時間ごとに取り出し、再挿入できます。
私が愛用しているエヴァカップ、スーパージェニー、ディーバカップは、どれも最長12時間使用可能。
これまでの生理用品が、ナプキンにせよ、タンポンにせよ、「経血を、布または紙に吸わせる」ものであったのに対して、「経血を、液体のまま取り出す」ことにびっくりしました。
けれど、経血のたっぷり染み込んだ布ナプキンの洗濯に大変さを感じていた私は、「液体のまま処理できれば汚れ物も洗い物も出なくてすごくラクではないかしら…!」と思い、ネットで購入して試してみることにました。
月経カップデビューするとき、布ナプキンの経験を生かすことができました。
最初は月経カップをうまく腟で開かせることができず、漏れてしまったのですが、布ナプキンが受け止めてくれました。
布ナプキンを使っていたおかげで、経血のついた下着を自分で洗うことに抵抗がなくなっていたのです。
それに、月経カップはうまく開かなくても多少はカップの中に溜まるものなので、布ナプキンだけしかつけていないときに比べて、格段に経血は少なく、洗うのも簡単になりました。
それまで、ほぼ紙ナプキンしか使ってこなかった私が、月経カップという新しい選択肢に出会い、使うことができるようになったのは、布ナプキンというステップがあったおかげでもあったと思っています。
布ナプキンから吸収型サニタリーショーツへ
月経カップを使い始めてしばらくは、月経カップと布ナプキンの併用で過ごしていました。
月経カップの使用に上達してきたおかげで、布ナプキンにつく経血もかなり減ってきました。
布ナプキンを「洗う」点では、経血があまりつかなくなったのでラクになりましたが、「乾かす」という点については、相変わらず乾きにくいというデメリットはありましたし、ゴワゴワして不快だったたり、ズレたりトイレで落としてしまったり、といったミスは続いていました。
そこで気がついたのは、月経カップは、使えば使うほど上達するアイテムだけど、布ナプキンは上達することがあまりないと気がつきました。
月経カップは3ヶ月から半年で、入れ方や出し方にもかなり慣れ、装着や取り出しにかかる時間も短くなっていき、さらに、最初は苦手だった外出時のリセットなどもできるようになりました。
それに対し、布ナプキンは、基本的には最初に使用したときと同じです。
洗濯のプロセスも、経血がつけば手洗いはどうしても必要だし、しっかり乾かすことも必要。
割愛したり、ラクできるところがないと感じていました。
ズレる、トイレに落ちてしまうといったことだけでも防げないかと思っていたところ、超吸収型サニタリーショーツ「エヴァウェア」に出会いました。
エヴァウェアは布ナプキンのように、経血を吸収させ、洗って乾かし何度も使える生理用品です。
いってみれば、布ナプキンとサニタリーショーツが一体型になっている構造であり、吸収面はおしりまでカバーしてくれるので、後ろ漏れの不安もありません。
(上:まえ側、下:おしり側)
クロッチ部分の厚さを比べると、エヴァウェアの方が断然薄いので、履き心地は普段用のショーツとほぼ変わらず、ゴワゴワしません。
筆者はエヴァウェアを着用するようになってから、「布ナプキンをこんなに持つ必要ないな」と気づき、1枚減り、2枚減り…。
月経カップでの漏れもほとんどなくなったところで、「多い日は月経カップとエヴァウェアの併用、少ない日は月経カップと通常のショーツで乗り切れる」と自信もつき、とうとう、布ナプキンは一枚残らず処分してしまいました。
そのときの心境をまとめた記事はこちらです。
愛用していた布ナプキンをやめることにした理由。私の感じたデメリット3つ。
エヴァウェアの構造や活用方法については、関連記事をご参照ください。
ナプキンのいらない吸収型サニタリーショーツ。気になるけどゴワゴワしないの?
漏れ、汚れはもう怖くない!本当におすすめのサニタリーショーツの使い方
生理中のトラブル!ナプキンの「蒸れ」「かぶれ」の原因とその対策
複数の生理ケア方法を知り、自分なりの「ベスト」を知っておきましょう
この記事では、布ナプキンってどういうものだろう?と思っていらっしゃる方に向けて、筆者の体験談を交えつつ、布ナプキンの種類や洗い方などをご紹介しました。
布ナプキンの使い方は簡単で、ショーツに取り付けるだけ。
1,000円前後で購入できるものが多いので、気になる方は一度試してみてください。
自分で自分の経血のついた布ナプキンを洗う経験だけでも、経血の色や量を知ることができますし、経験してみることで、自分にとって、何が快適で、何が不愉快なことか、何が避けたいことか、大切なことかを感じられると思います。
どんな方法でもそうですが、メリットもあれば、デメリットもあるもの。
布の肌触りは好きだけど、洗うのは大変と感じたり、洗うのは苦にならないけど、ゴワゴワするのは嫌だと感じたり。
人によってさまざまなはずです。
私の場合も、布ナプキンを試してみたことで、自分の好みや性格を理解して、より快適な生活につながっていったと思います。
私は約3年前に「月経カップ」と出会ってからは、メインの生理用品が月経カップになり、最終的には布ナプキンとはお別れをしてしまいました。
しかし、布ナプキンを経験していたことで、「あまり知られていない、広く流通していない生理用品でも試す価値はある」と確信していて、すんなりと月経カップの世界に入っていくことができました。
そして月経カップにしてからは、布ナプキンのときは行きづらかった、温泉やプールにも気軽に出かけられるようになり、今まで、無意識に制限していたことも含め、生理にまつわる心配事がすごく減ったと感じています。
さらに、うれしいことがありました。
布ナプキンを使っていたときは、布ナプキンに甘えて向き合うことができなかった、尿もれ問題。
月経カップを使うようになって、骨盤底筋を意識する機会が増え、うまく力を入れたり抜いたりすることができるようになり、尿もれが劇的に改善したのです!
まとめ
この記事を読んでくださっている方にぜひお勧めしたいのが、複数の生理ケア方法を試しておくこと。
そうすれば、災害時や緊急時など、自分のいつもの生理用品が手に入らない場合でも、しのぐことができます。
生理ケアの「ベスト」は、誰かが決定するものではありません。
紙ナプキン派、タンポン派、布ナプキン派、月経カップ派、それぞれの理由があり、それぞれの立場があってしかるべきだと思います。
自分なりの理由で、「自分にはこれがベスト!」と自信を持っていえるアイテムを使えば、憂鬱になりがちな生理期間も、少しでも明るく過ごすことができると思います。
「これしか持っていないから…」、「これしか知らないから…」と、ネガティブな理由で選択肢を制限するのではなく、いろんな選択肢を試して、快適さや便利さなど、ポジティブな理由で、生理期間を過ごせる方法を見つけていきましょう。
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