生理中のランニングのメリットと注意点。スポーツの秋こそ楽しく走ろう!

*2024年10月30日更新 

記録的猛暑が続いた夏が終わり、すっかり秋が深まってきました。

さわやかな心地よい気候のなかで、ダイエットや健康のためにもスポーツを始めたいなと思っている方は多いのではないでしょうか?

そう、「スポーツの秋」到来です。

10月・11月は全国各地でもっともマラソン大会が多く開催されるシーズン。

ランナーにとって自己記録を狙う絶好の季節ともいえますね!

しかし、多くの女性ランナーにとって心配なのが「生理中のランニング」やその「対策法」なのではないでしょうか。

今回は、女性ランナーが抱える「生理中のランニング」に対する疑問や問題について考え、対策法についてご紹介します。

生理中のランニングは大丈夫?

思い切ってランニングを始めてみたものの、生理中は練習を控えた方よいのでは?と心配に思う方も多いと思います。

「月経期間中のスポーツ活動に関する指針」(日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会,2010年)によると、「基本的には本人の自由意志が大切であり、特に禁止する必要がない」と示されており、「自由意志を尊重しすぎて生理期間中という理由だけでスポーツを絶対に行わないということのほうが問題」という指摘もあります。

さらに、「健康管理の面でもむしろ生理期間中にスポーツをおこなうことが望ましい」とも述べてられているので、生理中のランニングは強制するべきではありませんが、走っても問題ないことがいえます。

生理中にランニングをおこなうメリット

日課のランニングをする女子

まず、生理中にランニングをおこなうことで得られるメリットをご紹介します。

① 血流が良くなり、むくみが軽減される

生理中は身体が水分を溜め込むため、むくみやすくなります。

生理中に洋服がきつくなったり、体重が増えたりして「太った」と感じるのは、体内の水分量が増えたことによるものです。

筋肉は心臓と同じように全身に血液送るポンプのような働きがあるため、筋肉を動かさずにいればいるほど血流や老廃物は滞り、身体の不調を招きます。

したがって、体内に滞っているものを流すのに全身の筋肉を動かすランニングは有効と言われているのです。

ランニングは「有酸素運動」といい、筋トレや短距離走のような「無酸素運動」に比べると、身体への負担が少なく長い時間継続して運動ができるため生理中でも実施できるスポーツです。

さらに、骨盤周辺の血流を良くすることで生理痛が和らぐという効果もあります。

参照:苫米地 真弓ほか月経随伴症状に対する有酸素運動の有効性についての検討母性衛生 49(2), 374-381,日本母性衛生学会2008年7月)

② 気持ちがスッキリする・リラックスできる

スピードと強度を上げすぎると逆効果になりますが、「気持ちいい」と感じる軽めの強度でおこなうランニングは、心のリフレッシュにつながり、生理前や生理中の不快症状の緩和に有効です。

ゆっくり無理せずに走ることは副交感神経が優位になるため、リラックス効果を得たり自律神経が整う効果もあります。

生理中のランニングにおすすめの対応策は?

① ランニングウェアの工夫

前項でも述べたように、生理中は水分をため込みやすく、むくみが出やすい時期になっています。

したがって、生理中は締め付けの強すぎるランニングウェアは避けましょう。

また、万が一経血が漏れてしまった時のために白などの薄い色のウェアよりは、濃い色のウェアを着用しておいた方が良さそうです。

身体が冷えると血流が悪くなり、生理痛などを強める原因になりますので、半袖短パンのような薄着で走るのも避けましょう。

② 低用量ピルの使用

マラソン大会に生理が重なる場合には、低用量ピル(経口避妊薬)を使用するのも有効です。

独立行政法人 日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS)が発行している「女性アスリートのためのコンディショニングブック」では、試合と生理が重なった場合を想定し、低用量ピルを使用した「月経移動」(=生理日を試合日からずらす)の方法を紹介しています。

ピルを計画的に服用することで、生理を予定よりも早めたり遅くしたりすることが可能です。

このコンディショニングブック には、「自ら月経周期をコントロールしてベストなタイミングで試合を迎えようとする発想があってもよいと思います。」という記載があります。

生理周期をコントロールすることに抵抗がある方もいるかもしれませんが、トレーニングをする以上目標にしている大会に万全な状態で臨みたいと思うのは当然のことです。低用量ピルを使用して生理周期をコントロールする選択肢があってもよいと思います。

この方法は、事前に専門の先生に相談して処方してもらい、事前に計画的に服用することが必要です。

低用量ピルの使いこなし術。避妊だけではない、生理痛や生理周期のコントロールにも!

低用量ピルの使いこなし術。避妊だけではない、生理痛や生理周期のコントロールにも!

低用量ピルは避妊薬のイメージがありますが、生理痛の治療薬として使われていたり、自分の予定に合わせて生理周期をコントロールしたりなど、さまざまなメリットがあります。

③生理用品の工夫

・ナプキンとタンポンの併用

ランニングは全身を動かす運動で、特に下半身を継続して動かすため、ナプキンだけでは走っている間にずれて経血が漏れてしまう可能性があります。

そこで、より経血漏れをふせぐためにはタンポンと併用するのがおすすめです。

タンポンのみの使用だと、経血量が多い日は数時間で容量がいっぱいになってしまい、紐をつたって漏れることがあります。

万が一のためにナプキンを付けておくことでウェアへの染み込みは回避できるでしょう。

もし、タンポンを使用したくないという場合は、多い日用や夜用の大きなナプキンを使用したり、「羽根つき」のナプキンを選んでズレを防いだりと、走る距離や時間に応じて適切な組み合わせを見つける必要があります。 

・月経カップ

月経カップとスポーツ

ナプキンをつけて走ると、汗をかいてどうしても蒸れ、かゆみ、においなどでいつも以上に不快ですよね。

ランニング時におすすめの生理用品は、「月経カップ」です。

新しい生理用品として、日本でも徐々にユーザーが増えている月経カップは、タンポンと同じように腟に挿入し、腟内で経血を溜めるという仕組みです。

カップに経血が溜まったらカップを取り出し、経血はトイレに流し、カップを洗って再度装着します。

従来の生理用品と異なる大きなメリットは、「長時間連続で使用できる」「漏れない」「洗って繰り返し使用できる」ことです。

ナプキンやタンポンの3〜4倍の容量があり、最長で12時間の連続使用が可能のため、経血量にもよりますが走る前に装着すれば走り終えて家に帰るまでは、ナプキンのように新しい物と交換する必要がありません。

なにより、ナプキンのような蒸れや不快感がないこと、走るときに生理用品を一切持ち歩かなくてもよいことは、ランナーにとってうれしいポイントですよね。

・吸水ショーツ「エヴァウェア」

吸水ショーツ エヴァウェア

経血量が多くて、月経カップだけでは経血漏れが心配な場合には、吸水ショーツ「エヴァウェア」と併用するのがおすすめです。

月経カップと併用して1枚履いておくだけで、万一、長時間の走行中にカップがいっぱいになってしまってもウェアまで汚すことがないので安心です。

通常のショーツより少し値段は高めですが、エヴァウェアがひとつあれば、ランニング中の漏れの心配がなくなり、走ることに集中できます。

経血量が少ないときにはエヴァウェアを履くだけでもOKですが、多い日は、タンポンやナプキンとエヴァウェアという組み合わせがおすすめです。

個人的には、経血漏れ知らずの最強の組み合わせは、「月経カップ&エヴァウェア」ですね。

この組み合わせで漏れたことは一度もありません。

生理中のランニングにおける注意点

① 涼しいからこそウォーミングアップはしっかりおこなう

涼しくなると身体が冷えやすいため、急にスピードを上げると怪我のリスクが高まります。

怪我のリスクを下げるためにも、運動前には必ずストレッチをおこない、走り始めはゆっくりと、徐々にスピードを上げていくなどのウォーミングアップが重要になります。

また、薄着だとなかなか身体が温まらないので衣服の調整も必要です。

ウォーミングアップ中は着込み、身体が徐々に温まってきたら薄着になるなど、体を冷やさない工夫をしましょう。

② がんばりすぎない

秋は夏に比べて汗をかきにくく、非常に動きやすい気温のため、ついつい走るスピードが上がってしまいます。

特に、夏から継続して走っているランナーにとっては、走りやすくなったことで自然とスピードが上がり、距離も伸びるでしょう。

スピード・強度・距離が上がれば、身体への負荷もかかり、怪我のリスクも高くなります。

オーバーワークにならないように適切な負荷を守り、計画的にトレーニングをおこなうようにしてください。

特に生理中のランニングは無理をすると貧血につながることもあります。

自分が気持ち良いと感じる程度に抑えてリフレッシュを目的に走るのがおすすめです。体調と相談して、ウォーキングに切り替えてもいいと思います。

もし生理痛や過多月経で身体がつらい時は無理せずに休みましょう。

③ 走ったあとは冷えに注意する

走ったあとは汗をかき、身体も熱くなるためついつい薄着で過ごしてしまいますが、外の気温は涼しいためそのままでいると身体はすぐに冷えます。

走り終えたあとこそ、身体が冷えなように、汗をしっかりふいてすぐに上着を着る習慣を身につけましょう。

これからますます気温が下がっていきますので、風邪をひかないように注意しましょう。

さいごに

ランニングの練習をするカップル

生理中というと、「安静にしていなければいけない」というイメージがあるかもしれませんが、決してそういうわけではなく、特に今の時期に実施しやすいランニングは、血流改善によるむくみの軽減、生理痛の緩和、心のリフレッシュなどの効果が期待できます。

最近では月経カップ吸水ショーツなど生理用品の選択肢も増え、これまで以上に生理中のスポーツ参加がしやすくなりました。

これらの商品は、ランニング女子にとってのお助けアイテムになること間違いなしです。

心地よい風を感じ、赤や黄色に色づいた木々を眺めながら走れるのは、この季節ならではですよね。

外へ出て、深まりゆく秋を楽しみながら走りましょう!

生理ってなに?なぜおこるの?誰もが知っておきたい生理の基礎知識

生理ってなに?なぜおこるの?誰もが知っておきたい生理の基礎知識

生理はわずらわしくて恥ずかしいもの?それは、長年、生理は汚いものとしてタブー視されてきたから。生理は女性だけに起こることですが、赤ちゃんを産むための大事なメカニズムのひとつ。男性にも理解して欲しいと考えるのは当然のことですよね。

こちらもおすすめ