紙ナプキンやタンポンより古い生理用品とは?
2020.12.24みなさん、月経カップを知っていますか?
鈴のような形のシリコーン製のカップをタンポンのように腟内に挿入し、経血を吸収するのではなくカップに溜めて使用し、何年も繰り返し使用することができます。
月経カップは、ナプキンやタンポンと比べると、欧米でもまだ比較的新しい生理用品だとされています。
しかし、実はそうでもないのです!
今回は知られざる月経カップの歴史をご紹介したいと思います。
月経カップの歴史
月経カップは、欧米でもまだ比較的新しい生理用品だとされていますが、実はそうではありません。
現在の月経カップのような最初のカップは、1937年にアメリカのレオナ・チャルマーズ(Leona W. Chalmers)という女性により発明されました。
ラテックス(ゴム)製のこのカップは特許も取得したのですが、第二次世界大戦中にラテックス(ゴム)不足が発生し、生産中止となりました。
戦後1950年代初期、チャルマーズはかたいラテックス(ゴム)をやわらかくするなど改良を加えましたが、ちょうどそのころ、現在の紙ナプキンの原形となる使い捨ての生理用品が登場したため、多くの女性は経血を洗って繰り返し使用するカップよりも手軽に使える使い捨ての生理用品を好むようになりました。
1930年代に誕生した月経カップブランドTass-etteは、1950年代後半にTassette Inc.として再スタートしました。
しかし、ラテックス(ゴム)製のカップがかたくて非常に使いにくかったことに加え、そのころの多くの女性は腟内にカップを挿入することや洗って繰り返し使うことに対して抵抗があったため、あまり普及せずに消えてしまったそうです。
その後、1980年代後半にKeeperという月経カップが登場しました。このカップはラテックス(ゴム)製で現在も市場に残っています。
しかし、ラテックス(ゴム)は乾燥すると亀裂が入り耐久性がないこと、またラテックスアレルギーの女性は使用できないという問題がありました。
実際の写真がこちらですが、いかにもかたくてゴツゴツしていそうですね。
世界初のシリコーン製の月経カップ「ディーバカップ」が誕生
その後、21世紀初めに新しい素材の医療用シリコーンが生まれ、月経カップに導入され、2003年にカナダで医療用シリコーン製の月経カップ「ディーバカップ」が発売されました。その後、欧米を中心に多くのカップブランドが誕生しました。
シリコーン製の月経カップは耐久性と安全性、また素材のやわらかさから、多くの女性に受け入れられ欧米を中心に広がり、現在では世界中の女性に使用されるようになったのです。
現在、ディーバカップは世界45ヶ国以上で販売されており、世界シェアNo.1の月経カップです。
月経カップ「エヴァカップ」と「スーパージェニー」の誕生
月経カップ「エヴァカップ」は2014年に米国カリフォルニアで誕生し、その約1年後の2015年に「スーパージェニー」が誕生しました。
市場に存在する月経カップのなかでも比較的新しいエヴァカップとスーパージェニーは、従来のさまざまな月経カップを使用したユーザーからのニーズに応え、人種や年齢などに関わらず多くの女性が使いやすい形、サイズ、容量、リム(縁)やカップ本体の厚みやわらかさのバランス、ステムの形状などに徹底的にこだわり開発されました。
いずれも、医療チューブや哺乳瓶の乳首、コンタクトレンズ、心臓弁などに使用されるものと同じ、医療用シリコーン100%で作られており、厳しい品質管理のもと米国カリフォルニアで開発・製造されています。
まとめ
全く新しいと思われている月経カップですが、なんと80年も前に月経カップの原型を発明した女性がいたなんでおどろきですよね!
レオナ・チャルマーズさんの名前を知ってしまったあなたは、もうかなりの“月経カップ通”ですね。
今のように月経カップが多くの女性に受け入られ広く普及した大きな要因が、女性が使いやすいやわらかいゴムやシリコーンの素材を作るための技術の進化であったことも興味深いです。
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参考:museum of menstruation mum.org(Harry Finleyより画像掲載の許可をいただきました)